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厚生労働省は、10月15日に開かれた「第5回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」で、「新たな地域医療構想策定ガイドライン」の素案を提示しました。2040年に向けた医療提供体制の構築を目指す中、今回の素案で注目されるのが、慢性期の医療需要に対する受け皿として「介護保険施設」を明確に位置づけた点です。
「介護保険施設」も慢性期の受け皿として検討へ
素案の背景には、2040年に向けて85歳以上の医療・介護ニーズを抱える層や、認知症高齢者、独居高齢者が増加するという人口動態の変化があります 。
こうした状況を踏まえ、今回の素案では、地域の「調整会議」で協議すべき具体的な検討事項が示されました。
特に「介護との連携」の項目では、「療養病床の病床数、介護保険施設の定員数、在宅医療の提供状況等をあわせて検討する」ことが考えられると言及されています 。
さらに、協議すべき具体的な事項として「慢性期の医療需要に対する受け皿整備の検討(在宅医療、介護保険施設、療養病床)」が明記されました 。
これは、慢性期の療養が必要な患者の一部を、介護老人保健施設や特別養護老人ホームといった介護保険施設で受け入れる方向性を、国が明確に示したものと言えます。
在宅医療業界への影響
今回の素案は、訪問診療クリニックの役割と地域連携に大きな影響を与える可能性があります。
介護保険施設が慢性期の受け皿として公式に位置づけられることで、医療機関からの退院支援先として、また地域の慢性期患者の療養先として、その重要性が一層高まることになります。
訪問診療クリニックには、介護保険施設とのより緊密な連携体制の構築(協力医療機関としての機能強化、施設内での看取り体制の整備など)が求められることが予想されます。
まとめ
新たな地域医療構想の素案において、「介護保険施設」が慢性期医療の受け皿の一つとして検討事項に明記されたことは、重要な論点です。
今後、在宅医療、介護保険施設、療養病床が、地域の実情に応じて慢性期医療の受け皿としてどのように機能分担していくのか、今回の素案を基にしたガイドラインの策定と各地域の議論の動向を注視していく必要があります。








