
2024年11月に札幌市手稲区にて「巡る診療所」を開業された飯田智哉院長に、開業までの道のり、そして今後の在宅医療にかける思いを熱く語っていただきました。
※本文は「【PICK UP!在宅医療機関 001】巡る診療所 飯田智哉院長」(おうちde医療)を一部転載したものです。2025年2月に公開されたインタビューをもとに構成されており、内容は当時の情報に基づいております。
巡る診療所 院長
飯田 智哉 先生
経歴:
2010年 札幌医科大学医学部医学科 卒業、同第一内科 入局
2010年 小樽市立病院 初期臨床研修医
2012年 札幌医科大学附属病院 第一内科
2013年 市立室蘭総合病院など複数の市中病院で消化器内科医として研鑽を積む
2015年 札幌医科大学大学院 入学
2017年 日本学術振興会 特別研究員(DC2)
2019年 札幌医科大学大学院 卒業
2020年 札幌在宅クリニックそよ風 入職
2021年 札幌在宅クリニックそよ風 院長
2024年 巡る診療所 開業(11月1日)
資格・役職:
医学博士
日本在宅医療連合学会在宅医療専門医・指導医
日本緩和医療学会緩和医療認定医 (研修指導者)
日本内科学会認定医・総合内科専門医
日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
難病指定医
認知症サポート医
日本在宅医療連合学会研究委員会委員、次世代委員会委員
日本ホスピス緩和ケア協会北海道支部幹事
日本死の臨床研究会北海道支部世話人
北海道在宅ケア連絡会幹事
札幌市在宅医療協議会幹事、事業部副部長
これまで
-これまでの経歴について教えてください。
札幌医科大学に入学後、幅広い診療ができる医師に憧れ、大学1年生の頃から札幌医科大学第一内科に進むことを決めていました。当時の第一内科では消化器、血液、膠原病など多岐にわたる領域を診療することができたため、迷うことなく入局しました。
その後、小樽市立病院にて2年間の初期研修を行い、沢山の優れた上級医の指導を受けながら医師としての基礎を固め、医師4年目と5年目には市立室蘭総合病院で勤務しました。こちらでも素晴らしい指導医に恵まれ、貴重な経験を積みました。
専門は消化器内科になります。専門に選んだ理由は、広範囲の疾患を診療できる一般内科的な要素に惹かれたためです。どの病院でも消化器内科は様々な疾患を扱う機会が多く、その幅広い診療ができる点が魅力でした。
2015年には札幌医科大学大学院に入学し、基礎実験や論文執筆に注力しました。研究活動を通じて、日本学術振興会特別研究員(DC2)として、マウスを用いた炎症性大腸発がんに関するメカニズム研究に取り組み、数多くの論文を執筆し、学術的な成果も多数挙げました。
-在宅医療に進まれたきっかけについて教えてください。
大学院を卒業後、海外留学を考えていたのですが、自分の目指す医療が何か分からなくなっていました。弟が小児科医として活躍し、多くの子どもを診療している姿を見て、基礎実験に没頭している自分に疑問を感じ始めました。さらに、娘から「パパは何のお医者さんなの?」と聞かれたことも大きなきっかけとなり、実際に誰のために医者をしているのかという根本的な問いに直面しました。
そんな中で転職活動を始め、エージェントから「在宅医療」の提案を受けました。当初は興味が湧きませんでしたが、見学した「札幌在宅クリニックそよ風」での診療現場を目の当たりにし、若手医師の患者・家族に対する真摯な姿勢に感銘を受けました。彼らが患者の病状のみならず、生活や心に寄り添い、チームで医療を提供している姿に、真に自分がやりたかった医療の姿を見出すことができました。
その体験を通じて、「ここなら医者の心を取り戻せる」と感じ、在宅医療の道に進むことを決意しました。
「札幌在宅クリニックそよ風」にて
―「札幌在宅クリニックそよ風」では院長として、スタッフ約50名を率いられご苦労があったかと思います。何かエピソードがあればお話しください。
私が入ったころはまだ20数名の規模でした。私がやりたいことは「在宅医療の啓発」であり、在宅医療を広めたい、在宅医療をする人を増やしたい、という思いのもと、雇われ院長として組織の拡大を行ってきました。
経営する立場の方であれば皆が経験されることかと思いますが、どこか組織を大きくすることを優先してしまって、大きくなるにつれて、組織の理念がうまく浸透しなくなってしまい、そこは本当に苦労しました。組織を引き継ぐということの難しさを知りました。
患者数は増えましたし、組織も大きくなりましたが、でも行っていることはこれで正しいのだろうか、本当に自分のやりたいことなのだろうか、という疑問が湧いてきて、そこが一番難しかったです。
―当時はショッピングモールでの在宅医療のイベント開催をおこなったり、ラジオに出演したり普及啓発に尽力されていたようですが、現在の取り組みはいかがですか。
一般市民向け、医療従事者向けの活動を続けています。
一般市民に対しては、10月にはイオンモール札幌平岡で在宅医療の普及啓発イベントを予定していますし、11月には在宅医療推進フォーラム(東京)でも講演する予定になっています。在宅医療を今必要としている方々だけではなく、もっと下の世代にも知ってもらうことが重要だと考えていて、個人的に小中高校生向けの講演なども行っています。
医療従事者に対しては、医師会や学会を通じた活動も大切にしています。
これからも在宅医療を少しでも多くの方に知ってもらえるよう、繰り返し、繰り返し、行っていきます。
―「札幌在宅クリニックそよ風」には約4年在籍されていましたがどのような4年間でしたか。
本当に学びの4年間でした。在宅医療の初心者としてスタートして、患者、家族、多職種の方々から多くのことを学ばせてもらいました。
在宅医療の楽しさ、難しさ、その両面を教えてもらった4年間だったと思います。
さらに管理職としても3年間経験させてもらって、人を管理したり、組織を維持したりする難しさを本当に学ばせてもらった期間だったなと感じています。
「巡る診療所」の開業ストーリーや目指す姿、飯田院長が考える在宅医療における課題など、インタビューの続きはこちらからお読みください。
巡る診療所
〒006-0032
北海道札幌市手稲区稲穂2条8丁目1-3
診療時間
平日 9:00~17:00
土曜 9:00~12:00
休診日 土曜午後・日曜・祝日
※ご契約者様については24時間365日対応
WEB:https://www.meguru.clinic/