
狛江市・調布市を中心に在宅医療・訪問診療を行う「うえまつ在宅クリニック」で活躍する杉本院長。
消化器内科で培った専門性を活かし、がん緩和ケアや自宅での看取りに注力しています。
患者と家族の希望に寄り添い、地域の多職種と連携しながら「自宅でその人らしく過ごす医療」を実践する在宅医療への想いを語ります。
※本文は「【PICK UP!在宅医療機関 025】 うえまつ在宅クリニック 杉本暁彦院長(おうちde医療)」を一部転載したものです。2025年9月に公開されたインタビューをもとに構成されており、内容は当時の情報に基づいております。
杉本暁彦院長のプロフィール
経歴:
2010年 聖マリアンナ医科大学 医学部卒業
2010年 東京医科大学病院初期研修医
2012年 東京医科大学病院消化器内科
2013年 立正佼成会附属佼成病院 消化器内科
2015年 東京医科大学病院消化器内科
2016年 東京医科大学八王子医療センター消化器内科 助教
2017年 東京医科大学病院消化器内科 助教
2022年 医療法人社団悠翠会 うえまつ在宅クリニック 院長
資格:
日本内科学会 内科認定医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本医師会認定産業医
厚生労働省緩和ケア研修会修了
日常のなかで芽生えた医師への想い
— 医師を目指したきっかけを教えてください。
私は新潟県の出身で、祖父と父が医師だったんです。
祖父の代でクリニックを開業し、父もそのあとを継いでいて地元の方々から頼りにされている祖父や父でした。
小さい頃からそんな父の背中を見ていたので、「忙しそうだけど、やりがいのある仕事なんだな」と、自然と感じていましたね。
高校進学の時も父に相談しながら、自分も同じ道を志していました。
— 消化器内科を選ばれた理由を教えてください。
聖マリアンナ医科大学に進み、2010年から東京医科大学病院で初期研修を受けました。
研修医時代はいろんな診療科を回ったんですが、消化器内科の雰囲気がとても良くて。
もちろん、かなり忙しい科ではあるんですが、その分、やりがいも大きいんだろうなと。
内科としての学びも深められますし、じっくり腰を据えて成長したいと思って、2012年に正式に東京医科大学病院の消化器内科に入局しました。[
消化器内科で磨いた技術と、患者への思い
— 消化器内科でのキャリアについて教えてください。
2012年に東京医科大学病院で1年間勤務した後、2013年から2015年までは大学に籍を置いたまま、立正佼成会附属佼成病院に勤務しました。
私は上部消化管も下部消化管も両方診ていたんですが、特に内視鏡の手技や診断に力を入れていて、専門的な資格も取れるように、多くの症例を経験するようにしていました。
2015年には再び東京医科大学病院に戻り、その後2016年には東京医科大学八王子医療センターの消化器内科へ勤務し、2017年に東京医科大学病院に戻ってきました。
— 特に力を入れていた分野はありますか?
消化器内科は胃や腸だけでなく膵臓や肝臓など、かなり幅広い臓器を診るんですが、特に注力していたのは胃や大腸のがんの早期発見とがん治療です。がんって、やっぱり早期に見つけられるかどうかで、その後の予後が全然違ってきます。正確な診断と迅速な治療につなげられるようにしていました。
患者さんの“その人らしい最期”を支えたい——在宅医療への転機
— 消化器内科でのキャリアを積む中、在宅医療に関心を持ったきっかけを教えてください。
大学病院や総合病院における消化器内科医として、一緒にがん治療を頑張ってきても、末期になってくると病院なら緩和ケアですし、退院なら自宅で看取りになる事が多いです。
そんなとき、聖マリアンナ医科大学の先輩で同じ消化器内科で働いていた植松先生が開業され、在宅医療に精力的に取り組まれていることをお聞きしました。そして植松先生がクリニックの医師募集をはじめた2021年ごろに、実際にお会いして話を聞くことができました。
在宅医療は人と人が深く関われる場所であること、在宅での疼痛コントロールや看取りなどの医師として求められる能力ややりがいを話してくれました。「在宅医療で患者さんの最期までサポートしたい」と思いが募り、2022年からうえまつ在宅クリニックで勤務を始めました。
訪問診療時に携行する薬剤や医療器材
— 実際に在宅医療に飛び込んでみて、最初はいかがでしたか?
当然ですが、大学病院とはまったく違う環境で、初めは戸惑いの連続でした。訪問先には、がんを患っている方も多く、出会ってから短期間で旅立たれる方もいらっしゃいます。
短い時間の中で信頼関係を築くというのは、慣れるまではとても難しかったですね。
また、「最期は自宅で過ごしたい」と希望されていても、ご本人がご自分の病状をまだ受け止めきれていなかったり、ご家族が現実を受け入れきれていないことも少なくありません。
そうした揺れ動く気持ちに対して、どう寄り添うか。在宅医療では、そうした関係性の築き方がとても大切になると感じました。
— 病院とは異なる点や、新たな気づきがあれば教えてください。
なによりも診察の場所が“自宅”であるということ自体が、大きな違いでした。
病院とはまた違った環境で、患者さんにとっても安心できる環境のため、患者さんがふと本音をこぼしてくれる瞬間があるんです。
「自分はちゃんと寄り添えていたんだな」と実感でき、そんな言葉に出会えることがとても嬉しくて。
また、在宅医療では多職種の連携の密度がすごく高いと感じました。訪問看護師さん、リハビリの先生、ケアマネジャーさん……本当に多くの人が、それぞれの専門性を持ち寄って、地域で一人の患者さんを支えています。 “チームで支える医療”っていうのを実感しました。
「うえまつクリニック」の開業ストーリーや目指す姿、在宅医療における課題など、インタビューの続きはこちらからお読みください。
医療法人社団 悠翠会 うえまつ在宅クリニック
〒201-0014
東京都狛江市東和泉3-12-2 鈴文ビル2F
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