
沖縄県那覇市にて「医療法人 真成会」を運営されている屋宜亮兵理事長です。医療法人 真成会の特長、患者さんや訪問診療にかける思いを熱く語っていただきました。
※本文は「【PICK UP!在宅医療機関 015】医療法人 真成会 屋宜亮兵理事長(おうちde医療)」を一部転載したものです。2025年3月に公開されたインタビューをもとに構成されており、内容は当時の情報に基づいております。
医療法人 真成会 屋宜亮兵理事長
経歴:
2006年 国立大学法人 琉球大学 医学部医学科 卒業
2006年 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 臨床研修
2008年 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 救急専従医
2012年 社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 救急総合診療部
2016年 ゆずりは訪問診療所 開設
2018年 医療法人真成会 理事長就任
2022年 医療法人育泉会 理事長就任
資格・役職等:
日本救急医学会 救急専門医
日本内科学会 認定内科医
日本在宅医療連合学会 在宅医療専門医・認定指導医
地元沖縄に貢献したいという思いから医師を志す
— 医師を目指されたきっかけについて教えてください。
地元である沖縄県に貢献するような仕事をしたいと思ったことが、一番の動機です。沖縄が大好きなんです。
中学生の時、進学のために一度県外で暮らしたことがあるのですが、やっぱり沖縄が自分にとって住みやすい場所だなと感じまして。
将来は沖縄で働いて、地元の役に立てたらいいなと思い、医師を目指しました。
— 医師になられてからは一旦、救急の分野へ進まれたのですね。
はい。沖縄県立南部医療センターで、救急専従医として勤務しました。
救急科であれば様々な経験が積めると思ったのです。
それは思った通りで、搬送されてきた患者さんを一番に診るのは救急科であり、どんな患者さんでも初期治療は救急科がやるといった感じでした。
夜勤も多くて大変でしたが、こちらでの経験が医師としての力をつけてくれたと思っています。
救急医療の現場で在宅医療の必要性を感じた
— 救急医療の現場での経験が、今に生きているんですね。訪問診療に興味を持ったのも、この時でしょうか。
この頃はまだ、訪問診療の制度について詳しくは知らなかったです。
ただ、患者さんを最初から最後まで診てあげたいという思いは、初期研修医の頃からありました。
救急医療で携わるのは初期治療の段階だけだったので、患者さんのその後はカルテで追うぐらいしかできなかったんです。
また、医師がもっと外に出て行くべきだということも感じていました。
救急の現場では、かなり症状が悪化した状態の患者さんを診ることも少なくありませんでした。
例えば、重度の精神疾患の方を病院に連れて行くとなると、家族の負担が大きいため、ギリギリの状況まで我慢してしまう場合が多いんですね。
病院に行きたいけれど、いろいろな事情で行けない人がいる。そういったところに手を差しのべていく必要があるのではないかと感じていました。
転機となったのが、浦添総合病院への転職でした。
転職時に、訪問診療をやってみたいということを病院に伝えると、「救急の仕事に支障が出なければ、やってもいいよ」と言ってもらえました。
さらに、浦添総合病院には、実際に訪問診療を行っている先生がいたんです。その先生に色々と教えてもらいながら、訪問診療のキャリアをスタートさせました。
ただ、最初から訪問診療をメインでやっていこうと思っていたわけではないです。
あくまでもメインはプレホスピタル・救急・集中治療でした。
当時は、自宅まで診に来てほしい患者さんがいれば、訪問診療をするというスタイルでやっていこうと思っていました。
訪問診療所の立ち上げ、奔走する日々
— そうなんですね。その後、訪問診療をメインでやっていこうという思いになったのは、なぜですか。
医師である友人がとある理由で急性期病院で働くことが難しくなってしまいまして、何とかしてその友人が医師として働き続けられるようにしてあげたいと思い、訪問診療だったらできるかもしれないということで、このゆずりは訪問診療所を立ち上げたんです。
ゆずりは訪問診療所
— 立ち上げのきっかけは、ご友人だったのですね。それが今となっては先生の専門になったということですか。
友人のためというのもありましたが、ちょうど私自身も訪問診療の必要性を感じていたところだったので、診療所の開設は本望ではありました。
患者さんに「今後の治療どうしたいですか」と尋ねた時に、「家でできるなら、家がいい」という患者さんは多くいました。
でも、当時は訪問診療もそこまで普及していなかったので、在宅医療を望んでいる患者さんも、病院に搬送されてしまうという現状がありました。
私には、そのような状況を変えたいという思いがあったんです。
— 診療所を立ち上げられた当時の状況について、聞かせていただけますか。
すごく大変でした。私がたった一人で開設したようなものなので、最初の頃は電話対応なども全部自分で行っていました。
立ち上げから1か月ぐらい経過後に事務員さんが来てくれて、訪問診療や在宅医療の点数やレセプトについても、事務員さんと一緒に一から勉強しました。そのようにして徐々に体制ができていった感じでした。
でも、本当に24時間365日休みなく働いていたので、寝る時間も食べる時間も正直足りていなかったです。
当時の私を知る人に聞くと、「どんどん痩せていくから心配だった」と言うんですよ。自分では全然気がつかなかったんですけどね。
今思えば、相当業務にのめり込んでいたんだと思います。
— 今は組織の基盤などもしっかり出来上がっている状態でしょうか。
そうですね。組織としてはだいぶ形になってきたかなと思います。
ただ、最初の頃は組織づくりについても試行錯誤していました。私、何でも自分でやってしまう性分なんですよ。
スタッフには定時の17時半で帰宅してもらって、自分は21時ぐらいまで働いてそのままオンコールに突入ということをしばらくやっていました。
これは少し違うなと思いまして。
もちろんスタッフのことは第一に考えています。
でも、トップの私だけが何でも引き受けて、個人プレーみたいになってしまうのは、組織のあり方としてどうなのかなと、疑問に思うようになりました。
そこから少しずつ体制を整えていき、今ではスタッフに安心して現場を任せられるようになっています。
「医療法人 真成会」の開業ストーリーや目指す姿、屋宜理事長が考える在宅医療における課題など、インタビューの続きはこちらからお読みください。
医療法人 真成会
〒903-0815
沖縄県那覇市首里金城町三丁目32番地
TEL:098-885-7001/FAX:098-885-7002
・ゆずりは訪問診療所
・ゆずりは訪問看護ステーション
・まつりか定期巡回ステーション
・ひまわり居宅介護支援センター
WEB:https://shinseikai.okinawa/