
後期研修なしで在宅へ進む医師たち 新たな可能性を秘める「直在」というキャリア
初期研修を終えたばかりの若手医師が、後期研修を経ずにそのまま在宅医療の現場へと進む――。
いわゆる「直在(ちょくざい)」と呼ばれるこのキャリアパスを選ぶ医師が、近年増えつつあります。
高齢化に伴う在宅医療ニーズの高まり、医師自身の働き方への意識の変化、医局に縛られない自由なキャリア形成。
さまざまな要因が重なり、「直在」は新しい医師像として注目を集めています。
この記事では、直在を選ぶ医師の背景や意図、メリット・デメリットを整理しながら、これからの医師の働き方を考えます。
「直在」医師とは何か?
「直在」とは、初期研修修了後、後期研修などを経ることなく、直接在宅医療の領域に進む医師のことを指します。
正式な医学用語ではありませんが、近年、このルートを選ぶ若手医師が着実に増えています。
直在増加の背景――ライフスタイル重視、病院勤務の限界感
直在という選択が増えている背景には、さまざまな要因が重なっています。
一つは、超高齢社会に伴う在宅医療ニーズの高まりです。
在宅医療を受けている患者数は年々増加しており、2023年には過去最高となる、1日当たり約24万人に達しました。
それに比例するかたちで、在宅医療を担う医師の需要も急増しています。
(出典:厚生労働省「2023年 患者調査の概況」)
また、医師自身の価値観の変化も背景にあります。
2024年から本格化した「医師の働き方改革」により、長時間労働の是正や勤務環境の改善が進められていますが、それでも病院勤務では夜勤や当直など、過酷な勤務が求められる場面が少なくありません。
こうした状況において、プライベートと仕事の両立を重視する若手医師が、当直や夜勤の少ない訪問診療という働き方に魅力を感じるようになっています。
さらに、近年は医局に属さず、自分らしい働き方を追求する医師も増加。
在宅医療の分野は、そうした医師にとって選択肢のひとつとなっています。
実際、後期研修を経ていない医師でも受け入れる施設は増えており、医師向けの求人サイトにも、そうした条件を提示する訪問診療クリニックの求人が多く見られます。
例えば、在宅医療専門の人材紹介サービスを展開するメディカルインフォマティクス社の実績によれば、紹介された医師のうち約2割が後期研修未修了者であり、この割合は今後も増えていくと考えられます。
「直在」と「直美」の違い
初期研修修了後、すぐに次のキャリアへ進むという点で、「直在」と類似する言葉に「直美(ちょくび)」があります。
これは、保険診療の経験を経ずに、自由診療中心の美容クリニックなどへ進む医師を指します。
両者はいずれも、医師のキャリア初期において、従来の後期研修とは異なる選択をする点で共通しています。
いずれも当直が少なく、比較的早期から高収入が得やすいというメリットもあります。
一方で、志向や求められるスキルには明確な違いがあります。
直美を選ぶ医師は、収入面を重視する傾向があり、就職先も都市部に集中しているため、都市志向が強いケースが多いと考えられます。
対して直在を選ぶ医師は、地域医療や全人的なケアへの関心が高く、看取りやACP(アドバンス・ケア・プランニング)まで含めた医療に関わる意欲を持つ人が多い印象です。
家族も含めた支援が求められる在宅医療の現場では、より総合診療的な視点が欠かせず、こうした資質が重視されます。
直在のメリットと注意点
【主なメリット】
- 家族を含めた患者の人生全体に寄り添う医療が可能
- 看取りやACPにも関わることができる
- 当直が少なく、ライフスタイルに合わせやすい
- 早期から比較的高収入が得やすい
- 将来的に在宅医療専門医の取得も可能
直在の大きなメリットは、病院勤務に比べて柔軟な働き方が可能であり、プライベートとの両立がしやすい点です。
訪問診療では当直や夜勤の負担が軽く、働き方の自由度が高いのが特徴です。
また、在宅医療の現場では、複数の病気や認知症などを持つ高齢者への全人的医療や生活課題など、さまざまな問題に多職種と連携しながら対応していく必要があります。
このため、より広い視野での総合診療力が求められ、やりがいも大きい分野といえます。
加えて、地域やクリニックによっては、訪問件数に応じたインセンティブがあり、早い段階で安定した収入を得やすいことも若手医師にとって魅力です。
このほか基本領域の専門医ではないものの、日本在宅医療連合学会が認定する専門医制度もあり、将来的に専門性を高める道として活用できます。
【留意すべき点】
一方で、直在にはいくつかのリスクもあります。
最も大きな課題は、臨床経験の不足です。
病院での後期研修を経ないため、救急対応や専門的な診療経験が十分に積めず、医師としての基礎力に差が出る可能性があります。
また、総合内科専門医や外科専門医など、基本領域の専門医資格を取得するのが難しくなり、将来的に病院勤務へ戻る際に選択肢が限られる懸念もあります。
直在が向いている医師・向いていない医師
【向いている人】
- ワークライフバランスを重視しつつ、医師としてのやりがいも求めたい人
- 総合診療的なアプローチに興味がある人
- 将来的に訪問診療で開業を考えている人
【向いていない人】
- 基本領域の専門医資格を取得したい人
- 病院での豊富な臨床経験を積みたい人
- 手術や救急、集中治療など、高度な専門技術を追求したい人
まとめ
「直在」は、これまでの医師のキャリアパスとは異なる、新たな選択肢として注目されています。
高齢社会の進行により在宅医療のニーズが急増するなかで、初期研修直後から現場で活躍する医師が増えているのは、時代のニーズに応じた流れでもあります。
臨床経験や専門性の面での課題はあるものの、在宅医療の現場では、患者の生活そのものに関わり、医師としての新たなやりがいを見いだすことができます。直在というキャリアのあり方は、今後の医師像を大きく変えていく可能性を秘めるといえそうです。
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