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高齢者施設の訪問診療 診療報酬算定のポイント【前編】

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 高齢者施設の訪問診療 診療報酬算定のポイント【前編】

「高齢者施設への訪問診療に関する診療報酬請求について、何を知っておけばいいのかわからない」
訪問診療を始めようと検討している医師の中には、このように思う方もいるのではないでしょうか。

本記事では、訪問診療の概要を解説したうえで、各高齢者施設の特徴や押さえておくべきこと、報酬算定の可否などについて解説します。

これから施設への訪問診療を行う際にご活用ください。

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訪問診療とはどのような医療サービス?

訪問診療とは、自宅療養中で通院が困難な方の住まいに医師が定期的に訪問し、診察等を行うことをいいます。
主には、以下の状態の方が対象です。

  • 病気や障害により移動が困難
  • 人工呼吸器や胃瘻の使用により移動が困難
  • 認知症で通院が困難
  • 終末期で在宅療養生活を送る方


また、ここでいう住まいとは患者の自宅だけでなく、有料老人ホームやグループホームといった施設も対象となります。

訪問診療では、具体的には以下のサービスを提供します。

  • 健康チェック(診察、血圧測定、体温測定など)
  • 治療(点滴、投薬など)
  • 検査(採血、検尿など)
  • 療養上の相談や指導
  • 褥瘡の処置
  • 酸素療法、経管栄養法など
  • 経尿道カテーテル、各種ストーマの管理

病院で提供される医療サービスのほとんどが訪問診療でも提供可能です。

訪問診療の報酬上の評価構造

訪問診療の診療報酬上の評価構造は、以下の3つで成り立っています。

  • 定期的に訪問し、診療を行った場合の評価
  • 総合的な医学的管理等を行った場合の評価
  • 指導管理等に対する評価


これらに加え、検査や処置、その他の医療行為等について出来高で算定が可能です。
以下で、基本となる診療報酬である1〜3について順番に見ていきましょう。

1.定期的に訪問し診療を行った場合の評価

定期的に訪問して行う診療は、居住場所によって段階的に評価します。
具体的には、訪問先の同一建物に2人以上患者がいるかいないかによって、点数が異なる仕組みです。同一建物についての詳細は後述します。
報酬は以下のとおりです。

居住場所 点数 備考
在宅患者訪問診療料(Ⅰ) 在宅患者訪問診療料1 同一建物居住者以外 888点 在宅療養をしている方へ主治医が定期的な訪問診療を行った場合に、週3回まで算定可能
同一建物居住者 213点
在宅患者訪問診療料2 同一建物居住者以外 884点

他院からの診療依頼があった月から6か月間に限り算定可能

患者の状態によっては6か月を超えても可能な場合がある

算定は月1回まで

同一建物居住者 187点
在宅患者訪問診療料(Ⅱ) 同一建物の規定はなし 150点 施設に併設している医療機関からの訪問診療を行った場合に算定

これらに加えて、看取り等の加算もあります。


2.総合的な医学的管理等を行った場合の評価

計画的な医学的管理のもとに訪問診療を行うことで、月に1回算定できる報酬です。
患者の生活場所が自宅か、有料老人ホーム等の施設であるかによって、以下のいずれかを算定します。

  • 在宅時医学総合管理料:自宅(施設入居者以外)で生活する患者の場合
  • 施設入居時等医学総合管理料:施設で生活する患者の場合


また、以下の項目との組み合わせによって、算定できる点数がそれぞれ幅広く定められているのが特徴です。

  • 訪問診療を行う医療機関の類型(在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院など)
  • 病床の有無
  • 一月あたりの訪問診療の回数
  • 単一の建物で一月に算定した患者の数
  • 患者の状態(重症度)


さらに、これらに加えて頻回の診療を行った場合等の加算もあります。

3.指導管理等に対する評価

指導管理等に対する評価には「在宅療養指導管理料」があります。
注射や人工呼吸といった、33項目の特定の医療行為を継続的に実施することで、月1回算定できる報酬です。
医療行為の一部は以下のとおりです。

  • 退院前在宅療養指導管理料:外泊時の在宅療養に関する指導管理に対する報酬
  • 在宅自己注射指導管理料:自己注射に関する指導管理に対する報酬
  • 在宅人工呼吸指導管理料:在宅人工呼吸に関する指導管理に対する報酬

これらの管理料に対して、別途必要な材料を支給した場合に算定できる「在宅療養指導管理材料加算」があります。

また、在宅療養指導管理料には以下の注意点がありますので参考にしてください。

  • ひとりの患者に複数の指導管理を行ったとしても、主たる指導管理の1項目しか算定できない
  • 在宅時医学総合管理料や施設入居時等医学総合管理料などと同時に算定できない報酬項目もある
  • 在宅療養指導管理料を算定しない指導管理についても、要件を満たせば算定できる材料加算がある

高齢者施設の訪問診療 診療報酬算定のポイント【後編】」へ続きます。
【後編】では高齢者施設の種類、各施設の算定のポイントを早見表付きで解説していきます。

ぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

すずや

医療・介護ライター/理学療法士。2008年理学療法士免許取得。介護老人保健施設に勤務し、入所・通所・訪問リハビリに携わる。理学療法士として働くかたわら、ライター業を行う。保険制度や医療・介護系職種のキャリア、疾患やリハビリについての記事作成を専門とする。

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