長崎から東京へ。在宅医療との出会い かわかみ内科外科クリニック 川上悠介院長

長崎から東京へ。在宅医療との出会い かわかみ内科外科クリニック 川上悠介院長

長崎大学病院で移植・消化器外科医として研鑽を積んだ川上悠介先生。 結婚を機に上京し在宅医療と出会った後、現在は墨田区の「かわかみ内科外科クリニック」院長として、外来と訪問診療の双方を精力的に展開。 「地域貢献」を理念に多職種と連携しながら、患者の“その人らしい生き方”を支える医療を実践しています。

※本文は「【PICK UP!在宅医療機関 023】かわかみ内科外科クリニック 川上悠介院長(訪問診療:墨田区・江東区・江戸川区)」を一部転載したものです。2025年9月に公開されたインタビューをもとに構成されており、内容は当時の情報に基づいております。

川上悠介院長のプロフィール

経歴:
2009年 長崎大学医学部医学科 卒業
2011年 長崎大学附属病院 移植・消化器外科 入局~至現在
2014年 長崎大学・大学院 医歯薬総合研究科 社会人大学院 入学
2017年 墨田中央病院 消化器外科医 勤務
2019年 長崎大学・大学院 医歯薬総合研究科 社会人大学院 卒業、医学博士
2021年 かわかみ内科外科クリニック 開業
2023年 公益社団法人 墨田区医師会 理事 就任

資格:
外科専門医(Board Certified Surgeon)
消化器病専門医(Board Certified Gastroenterologist)
難病指定医
身体障害者福祉法(第15条)指定医 (ぼうこう又は直腸機能障害の診断)
緩和ケア研修会 修了
PEG・在宅医療学会 嚥下機能評価研修会 修了
内痔核治療法研究会 四段階注射法講習会 修了
厚生労働省指定 オンライン診療研修 修了
厚生労働省指定 緊急避妊薬処方にかかるオンライン診療研修 修了

学会:
日本外科学会
日本消化器病学会
日本ペインクリニック学会

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移植・消化器外科医を目指したきっかけ

— 医師を目指したきっかけはなんですか?

両親が医師だったこともあり、医師という職業にはもともと親しみを持っていました。
しかし、医師になろうと強く意識したのは、中学3年生のときに祖母が乳がんで亡くなった経験が大きかったと思います。
「何もしてあげられなかった」」「もし自分に知識と技術があれば何かできたかもしれない」ーー
そんな悔しさが「がんを根治できる医師になりたい」という明確な目標へと変わっていきました。
病巣を直接切除し、病気の根源に立ち向かう外科医の姿に憧れ、長崎大学医学部医学科へ進学しました。

かわかみ内科外科クリニック 川上悠介院長
— 大学に進学されてからはどのような進路を考えていましたか?

私は「病気の根治を目指して治療を進めたい」と考えていたので、手術を通じて直接的に治療に関わることができる外科に魅力を感じていました。
長崎大学の外科は、呼吸器外科と移植・消化器外科の2つに大きく分かれていたのですが、特に移植・消化器外科の先生が非常に熱心な方でした。
外科医としての医療に情熱を持っているだけでなく、教育にも力を注いでおられ、「この診療科なら自分も成長できる」と感じたのです。
当初は外科のどちらの診療科に進むか迷っていましたが、最終的には先生の情熱に惹かれ、移植・消化器外科を選ぶことにしました。

患者ひとりひとりに向き合える医療を

長崎から東京へ。在宅医療との出会い

— 就職先の長崎大学附属病院ではどのような疾患を主に診ていましたか?

主に胃がんや大腸がんといった消化器疾患の手術を担当していましたが、肝臓移植の後方支援に携わることもありました。
一つ一つの手術が、患者様やご家族にとって人生を左右する大きな転機であり、命の重さや責任の大きさを痛感しながら、移植・消化器外科の医師として多くの学びと経験を積むことができました。
長崎大学附属病院に10年ほど勤めた後、結婚を機に妻の地元である東京へ引っ越し、転居後は東京の墨田中央病院に勤務することになりました。

長崎大学附属病院での教授回診にて
— 在宅医療に出会ったのは東京に引っ越してからというわけですね。

はい、在宅医療に出会ったのは、墨田中央病院の研修がきっかけでした。
診察を通じて在宅医療の現場で患者様と関わる中で、患者様が「自宅」という安心できる環境で生活していることを知り、これまで見落としていた生活習慣や家族背景といった側面にも目を向けるようになりました。
在宅医療とは、単に病気を診るのではなく、人生そのものに寄り添う医療だと気付き、医師である前に一人の人間として患者様と関わることの大切さも実践的に学ぶことができました。
そして、病院とはまた違った形で患者様に寄り添いながら治療を進めていける点に、大きな魅力を感じたのです。
外科は非常にジェネラルな分野であり、患者様の全身状態を幅広く診ながら、総合的な判断を下す力が求められます。
そのため、在宅医療の現場においても、「在宅でできること」「病院でなければできないこと」を的確に見極め、適切な治療方針を立てられるという点は、外科医としての大きな強みだと感じています。

墨田中央病院にて
— クリニックを開業しようと思ったのはいつごろですか?

墨田中央病院で4年ほど働く中で、墨田区という地域の特性や、どのような患者様が多いのかを学ばせてもらいました。
勤務中は、消化器外科だけでなく整形外科の手術や内科診療にも携わる機会があり、2年、3年と経験を重ねるうちに、「地域の役に立つにはどうすればよいか」と考えるようになったんです。
また、並行して在宅医療についても学んでいたことから、「外科医として、地域に根ざしながら患者様一人ひとりに貢献できるのではないか」というビジョンが明確になっていきました。
そうした想いが形となり、令和3年(2021年)に外来と訪問診療の両方を担うクリニックとして「かわかみ内科外科クリニック」を開業しました。

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「かわかみ内科外科クリニック 川上悠介院長」の開業ストーリーや目指す姿、在宅医療における課題など、インタビューの続きはこちらからお読みください。

かわかみ内科外科クリニック 川上悠介院長(訪問診療:墨田区・江東区・江戸川区)

かわかみ内科外科クリニック

〒131-0046
東京都墨田区京島1-22-2
TEL:03-6657-0220
お問合せフォーム
https://kawakamicl.com/contact/

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