調布市・府中市・三鷹市を拠点に訪問診療を展開する「悠翠会 うえまつクリニック」。
消化器内科から在宅医療へ転身した植松理事長は、がん終末期医療や在宅緩和ケアに力を注ぎ、患者と家族の「自宅で過ごしたい」という願いに応え続けています。地域と連携し、24時間365日対応の体制を整えた在宅医療の取り組みと理念を語ります。

※本文は「【PICK UP!在宅医療機関 024】訪問診療と緩和ケアの最前線|植松理事長が描く地域包括ケアの未来」を一部転載したものです。2025年9月に公開されたインタビューをもとに構成されており、内容は当時の情報に基づいております。
植松淳一理事長/院長のプロフィール
経歴:
2008年 聖マリアンナ医科大学 医学部卒業
2008年 東京医科大学病院卒後臨床研修センター 初期初期研修医として勤務
2010年 東京医科大学病院消化器内科学分野 臨床研究医として勤務
2011年 国際医療福祉大学三田病院消化器センター医員として出向
2015年 医療法人社団ARCWELL 入職 在宅医療に従事
2019年 うえまつ在宅クリニック開設
2020年 医療法人社団悠翠会を設立し、理事長に就任、東京医科大学地域医療指導教授に就任
2021年 医療法人社団悠翠会 悠翠会うえまつクリニック開設
2023年 医療法人社団悠翠会 ゆうすい会訪問看護ステーション開設
2025年 東京医科大学病院高齢総合医学分野客員講師に就任
資格:
医学博士
日本内科学会内科認定医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本消化管学会胃腸科専門医
厚生労働省緩和ケア研修会修了
東京都難病指定医
身体障害者福祉法指定医(肢体不自由、ぼうこう又は直腸機能障害、小腸機能障害の診断)
医療の世界だけにとどまらない自分の道を探す
— 医師を志したきっかけを教えてください。
子どもの頃から「医者になる」という思いが自然と心にありました。
周囲に医師がいたわけでも、強く勧められたわけでもなかったのですが、不思議と他の職業を考えたことはありませんでした。
また、医師としての道を目指していく中で、将来的には独立し、起業したいという思いも抱いていました。
医師という職業への憧れと、自分の力で何かを成し遂げたいという気持ちが、自然と重なっていったように思います。

— 研修後に消化器内科に進まれた理由を教えてください。
研修医時代を過ごした東京医科大学病院の消化器内科の医療の質の高さや、世界的にも有名な先生方の存在感に強く惹かれたことが大きかったです。また、内視鏡という手に職をつけることに魅力を感じ、さまざまな科の中で迷いながらも、最終的に消化器内科に進んだことは、今の自分にとって正しい選択だったと感じています。
消化器内科から在宅医療へ、未来を見据えた新たな選択
— 卒業後、どのようなキャリアを歩まれたのですか。
2008年に聖マリアンナ医科大学を卒業後、東京医科大学病院にて初期臨床研修を行い、2010年に消化器内科へ入局しました。
消化器疾患全般の診療に従事しつつ内視鏡検査と治療の技術を中心にスキルを高めるべく、国際医療福祉大学三田病院でも経験を積みました。内視鏡技術の習得や専門医の免許を取得し、そろそろ将来の方向性を考えていた頃、先輩から「在宅医療をやってみないか」と声をかけていただきました。
初めは不安もありましたが、新たなことへのチャレンジ精神と人と関わることが好きだったこともあり、まずは挑戦してみようと思い、2013年の1年間は大学病院に籍を置きながら、非常勤医師として在宅医療に関わるようになりました。
— 在宅医療に進まれてみて、いかがでしたか。
在宅医療は患者さまの生活の中に一歩入り、医療を行います。できる医療は限られておりましたが、患者さまとの何気ない日々の会話や、2週間おきに表情を拝見することで、体調の変化や健康状態が、特別な検査や診察をしなくてもわかるようになり、「生活の上に成り立つ医療」というものに非常に興味を持つようになり、自分自身の医療への向き合い方が変わるようになりました。
また、患者さまの生活に関わることで、病院以上に“人と人との関係性”が深まる場であることも実感しました。
これからの超高齢社会において、在宅医療は間違いなく必要とされる分野であり、より患者さまに寄り添った医療が実現できると実感し、「今の自分にとって、本当に必要な医療は在宅医療だ!」と強く思うようになり、気づけばその魅力に引き込まれていきました。
そうした思いから、消化器内科医から在宅医へ転身すべく、2014年に在宅医療を専門とする医療法人に入職することを決めました。
在宅医療に深く関わる中で見つけたやりがい
— 終末期医療と在宅緩和ケアに注力されるようになったとお聞きしました。詳しく教えてください。
在宅医療の患者さまは通院困難な方を対象としており、疾患や年齢、生活背景も多岐に渡ります。
多くは介護保険制度を利用されている高齢者の方が多く、認知症や廃用、サルコペニア、脳血管障害により通院が難しくなった患者さまや、腰椎圧迫骨折や関節リウマチなどの整形疾患の患者さまもたくさんいらっしゃいます。
また、がんの終末期、慢性疾患や老衰による終末期医療をご自宅で過ごされる方も多く、住み慣れたご自宅で大切な家族と一緒に最後を過ごしたいと願う患者さまの思いに寄り添う医療を実現することができます。
私はこの終末期医療と在宅緩和ケアについて非常にやりがいを感じるようになり、自宅で最後まで過ごすことができた患者さまと、そのご家族の人生のドラマに少しでも関わらせていただけることに誇りと感動を覚えるようになりました。
地域全体を在宅医療で支え、在宅医療を通じた社会貢献を実現する
— 開院当初はどのような日々でしたか。
2019年に「うえまつ在宅クリニック」を狛江市に開院しました。
ありがたいことに、開院当初から患者数は増え続け、2020年の新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的流行は当院にとって逆に追い風となりました。
当院はCOVID-19感染者の自宅療養支援において、地域自治体や医師会と共に協力し、自宅療養者への往診対応も積極的に行いました。
その結果、日本の医療情勢としては、新型コロナウィルスの影響で外来受診者数や病院受診者数の減少が問題となりましたが、地域における在宅医療の認知が広まり、訪問診療患者数の増加に繋がりました。
もちろん、通常診療である通院困難な患者さまの訪問診療も行いつつ、地域医療の発展を目指して在宅医療の応報活動や普及活動も行なっていたため、気づけば300人を超える患者さまを一人で診る日々となっておりました。
連日深夜のお看取りや日々のオンコールもすべて自分自身で対応し、約2年間はほぼ休みなく走り続けました。
しかし、その後に体調を崩したことをきっかけに「自分が倒れたら誰が患者さまと、このクリニックを支えるのか」と考えるようになり、常勤医師と非常勤医師をお迎えし、「悠翠会うえまつクリニック」を調布に開院すると共に、日々の業務の分担と24時間365日対応のオンコール体制を強化し、随時緊急対応に備えるようにしました。

「訪問診療と緩和ケアの最前線|植松理事長が描く地域包括ケアの未来」の開業ストーリーや目指す姿、在宅医療における課題など、インタビューの続きはこちらからお読みください。
悠翠会うえまつクリニック
〒182-0026 東京都調布市小島町3-69-14第2荒井麗峰ビル4F・5F
TEL:042-452-8199/FAX:042-452-8189
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