在宅医療の現場では、口腔ケアや摂食・嚥下機能の管理が患者さんの生活の質を大きく左右します。
つばめ医科歯科クリニックは、医科と訪問歯科が一体となった珍しい体制を持ち、北区・荒川区・足立区を中心に地域の包括的ケアに貢献しています。
医科歯科連携をどのように実現しているのか、現場での診療内容、そして地域医療の未来への展望を詳しく紹介します。

※本文は「【PICK UP!在宅医療機関 030】北区・荒川区・足立区で広がる医科歯科連携 ― 在宅医療における口腔内も含めた全身の健康管理への取り組み」を一部転載したものです。2025年11月に公開されたインタビューをもとに構成されており、内容は当時の情報に基づいております。
大原義隆 理事長のプロフィール
経歴:
1997年 藤田保健衛生大学医学部 卒業
1998年 藤田保健衛生大学病院 研修医
1999年 藤田保健衛生大学大学院 入学
1999年 国立循環器病センタージュニアレジデント
2004年 藤田保健衛生大学大学院 卒業
2004年 藤田保健衛生大学 助手
2005年 藤田保健衛生大学 講師
2012年 オリーブクリニック
2014年 つばめ在宅クリニック
2016年 医療法人社団あおば 理事長
現在に至る
資格:
医学博士
麻酔機構専門医
麻酔科専門医
緩和ケア研修終了
PEG在宅医療学会 嚥下機能評価研修 修了
日本老年麻酔学会 評議員
日本麻酔科学会
日本ペインクリニック学会
身体障害者福祉法指定医(肢体不自由、ぼうこう又は直腸機能障害、小腸機能障害の診断)
在宅医療と口腔ケアの原点 ― 全身管理と訪問歯科をつなぐ視点
— まず、大原先生が医師を目指されたきっかけについて教えてください。
実は、大学受験直前まで「医師になりたい」と思っていたわけではないんです。
当時は都内の理系の大学に進学しようかと考えていたのですが、高校3年生の時に「これからの時代、何か手に職をつけた方が良いのではないか」と思い立ち、急遽医学部を目指すことにしました。
ある意味、直感的な決断でしたが、今となってはその選択が自分の人生を大きく方向付けたと感じています。
— 大学時代はどのように過ごされましたか?何か印象的なエピソードはありますか?
大学では6年間、ラグビーに打ち込んでいました。ポジションはウイングやフルバックです。
普通の学生は4年で引退しますが、私は6年生まで続けていました。
チームプレーを通じて仲間との絆を深め、厳しい練習に耐える中で精神的にも鍛えられました。
勉強はもちろんですが、ラグビーを通じて学んだことは、医師としての今の自分を形成する上で非常に大きかったと思います。
特に大きなエピソードはありませんが、淡々と、しかし真剣にラグビーと学業に向き合った6年間でした。

— 数ある診療科の中で、なぜ専門に「麻酔科」を選ばれたのでしょうか?
大学卒業後、藤田医大で2年間のローテート研修を経験しました。
様々な科を回る中で、手術室ならではの緊張感の中で全身を管理するという麻酔科の役割に非常に魅力を感じ、専門として選びました。
人の命に直結する場で、常にドキドキするような緊張感を持ちながら、冷静かつ的確な判断が求められる環境が、自分には合っていると感じたのです。
— 麻酔科医としては、どのようなキャリアを歩まれたのですか?
研修医を修了してからは、特に麻酔科に興味を持ち、大阪の国立循環器病研究センターで2年間ジュニアレジデントとして勤務しました。
最先端の医療現場で多くの経験を積ませていただきました。
その後、大学に戻り、大学院を卒業してからは、助手を経て講師として勤務しました。
学生や研修医、麻酔科後期研修医の指導にも携わり、途中から医局長として当時は手術件数が日本でトップクラスを誇っていた手術室やICU、麻酔科外来などでの医局運営に尽力していました。
ペインクリニック(痛みの治療)や緩和医療、集中治療といった領域にも携わることができ、麻酔科医として専門分野だけでなく、幅広く全身を診る経験を積むことができたのが大きな財産になっています。
— 大学院ではどのような研究をされていたのでしょうか?
大学病院に勤務しながら大学院にも通い、臨床研究を行っていました。
手術室が主な研究の場だったので、上司の研究テーマでもあった肝臓に注目し、手術中の肝血流に関しての研究に取り組んでいました。
臨床の傍ら研究を続けるのは大変でしたが、物事を論理的に深く掘り下げていく訓練は、今の診療にも活きています。

— 先生の経歴を見ると、麻酔科でありながら「総合診療」に近い視点をお持ちのように感じます。
そうかもしれません。
私が専門医になった当時は、まだ「総合診療科」という概念が一般的ではありませんでした。
しかし麻酔科は、手術中の患者さんの呼吸、循環、意識など全てを管理する、いわば「全身管理の専門家」です。その経験が、在宅医療において様々な疾患を持つ患者さんを包括的に診る上で、非常に役立っています。
地域の声から始まった医科歯科連携 ― 北区・荒川区・足立区で広がる訪問歯科ニーズ
— 17年間勤務された大学病院を退職し、在宅医療の道に進まれたきっかけは何だったのでしょうか?
大学病院を退職する際、訪問診療を手がけている先輩から「院長を探しているクリニックがある」と声をかけてもらったのが最初のきっかけです。
当時は在宅医療についてほとんど知識がありませんでしたが、まずはやってみようと、2年間という約束でそのクリニックでの仕事を引き受けました。
— 初めて訪問診療を経験されて、どのような印象を受けましたか?
私が担当したのは、胃ろうや気切状態の寝たきりの患者さんがほとんどで、「こういう医療の世界があるのか」と非常に勉強になりました。病院の中だけでは見えてこない、患者さんの生活そのものに寄り添う医療の形があることを知り、大きな衝撃を受けました。
— その後、2014年に名古屋で「つばめ在宅クリニック」を立ち上げられました。具体的にどのような経緯があったのでしょうか?
先輩のクリニックで2年が経つ頃、ある介護施設を運営されている方から直接ご相談をいただく機会がありました。
その方がおっしゃるには、「今、施設に来てくれているドクターたちと現場のスタッフとの間の距離感が遠く、うまくコミュニケーションや連携が取れていないため、患者さんが求める療養生活が十分に提供出来ていない。
もっと親身になってくれる良い医者はいないだろうか」という切実な悩みでした。
— それが独立の直接的な引き金になったのですね。
はい。詳しくお話を伺うと、その介護施設以外に同様の悩みを抱える介護施設や介護現場が数多くあるとのことでした。
数多くの介護スタッフや患者さんたちが、医療との関係に悩んでいる。この状況を何とかしなければならない、これは自分がやるべきではないかと強く感じました。
現場の切実な声が、私を「自分のクリニックを立ち上げよう」という決意へと突き動かしたのです。
— 開業当初から「医科歯科連携」を強く意識されていたのはなぜですか?
これも現場の声が原点です。
訪問診療を始めた当初から、訪問先の老人施設で「訪問歯科も一緒にやってほしい」「口の中の問題を相談できる人がいない」という要望が非常に多かったのです。そこで、名古屋での開業後、しばらくしてから訪問歯科を併設し、「医科歯科連携」に力を入れてきました。
私たちの医療は、常に現場のニーズに応える形で進化してきたと言えます。
「北区・荒川区・足立区で広がる医科歯科連携 ― 在宅医療における口腔内も含めた全身の健康管理への取り組み」の開業ストーリーや目指す姿、在宅医療における課題など、インタビューの続きはこちらからお読みください。
つばめ医科歯科クリニック
〒114-0013 東京都北区東田端1-2-8 早川住建田端マンション101号室
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