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訪問診療クリニック|医師の離職を防ぐポイント3選

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訪問診療クリニック医師の離職を防ぐポイント3選

クリニックの経営者、採用担当者にとって、苦労して採用した医師が離職してしまうのは非常に痛手です。

患者さんやスタッフからの信頼や業務効率を考えても、なるべく同じ医師に長く働いてもらいたいものです。
そのためにも「医師がなぜ離職を考えるのか」理由を知ることは非常に重要であり、離職率を防ぐポイントになります。

今回は訪問診療クリニックの医師にスポットを当て、医師の離職につながるポイントと対策について紹介します。

訪問診療医の特徴/他の科との違いは?

まずは訪問診療医の特徴や、他の診療科やクリニック、病院との違いを見ていきましょう。
  1. 訪問診療は1人の患者さんを包括的に診る「プライマリ・ケア」
  2. 自宅での診療のため、限られた医療資源で診療や治療をしなくてはならない
  3. 対象となる患者さんは、高齢者や終末期の方も多く、積極的な治療だけが選択肢ではない
  4. 緩和ケア、中心静脈栄養、胃ろうや腸ろう、人工透析などの知見も必要


近年病院やクリニックでは診療科が細分化され、医師の専門性が高まっています。しかし、訪問診療医は1人の患者さんの全身を診るため、医療に対する総合的な知識が必要です。
患者さんの体調が悪化したときには、自宅での対応が可能なのか、病院で治療すべきなのか、判断力も求められます。

訪問診療を志す医師に求められる資質

訪問診療を志す医師に必要な資質を紹介します。

コミュニケーション力

訪問医療では治療だけではなく、緩和ケアや看取りなどのデリケートな話題に触れる分、患者さんや家族との信頼関係の構築が重要です。また、多職種の医療従事者が1人の患者さんに介入するため、医療従事者間のコミュニケーションも大切です。

柔軟な考え

訪問診療は患者さんの病気を治すことだけが目的ではありません。自分の治療方針に固執せず、患者さんや家族の意思を柔軟に受け入れる考え方も必要になります。

総合的な医療スキル

訪問診療医は自身の専門を超えて、患者さんを診療しなくてはなりません。

訪問診療は、1人の患者さんとじっくりと向き合いたいという医師には向いている診療科です。

訪問診療医の魅力

訪問診療はやりがいもあり、収入も比較的高い、非常に魅力的な分野です。
訪問診療医のメリットをアピールできれば、より多くの医師が訪問診療を目指すようになるでしょう。
ここからは訪問診療医の魅力について紹介します。

1人の患者さんと深く長く関われる

訪問診療の多くは患者さんの最期まで関わっていきます。患者さんの自宅に出向いて診療することにより、クリニックや病院ではわからなかった一面も垣間見えることもあるでしょう。
患者さんの性格や考え方、家族の意向なども相談のうえ、ベストな診療を一緒に導き出します。
比較的外来診療より時間もとりやすく、患者さんにじっくりと向き合えます。

比較的高い年収が期待できる

訪問診療医の年収は比較的高いといえるでしょう。勤務医でも高収入が目指せるため、病院やクリニックの勤務医から訪問診療医へ収入アップを目指して転職する医師もいます。

広い知見が求められ、医師としてやりがいを感じる

訪問診療では、それぞれの患者さんの希望や全身状態から最適な診療方法を選びます。1つとして正解はありません。そこが難しい部分でもあり、やりがいとなるでしょう。
訪問診療で対象となる患者さんは、様々な疾患を有しています。訪問診療医には、疾患に対する幅広い知見や、自宅でできる処置をおこなう技術、緩和ケアの知識など非常に多くのものを求められます。

訪問診療医の離職の原因

訪問診療医のデメリットは離職の原因になります。デメリットを改善すれば離職率の低下、定着率の増加につながるでしょう。
ここからは訪問診療医の離職の原因について紹介します。

急な呼び出しやオンコール対応が多い

訪問診療は365日24時間オンコール対応です。このオンコール対応は、多くの訪問診療医を目指す医師たちの懸念材料となります。
もちろん、現在訪問診療医として働く医師の負担にもなっています。医師たちは、自分の患者さんという責任感で対応しますが、対応する医師の数が少ないほどより負担は大きくなるでしょう。

書類作成などの業務に追われる

訪問診療医は非常に多くの書類を作成しなければなりません。
訪問診療を開始するときの同意書や計画書からはじまり、各機関への情報提供書の作成、訪問看護指示書や点滴注射指示書、必要に応じて主治医意見書など多岐にわたります。

1人で判断しなくてはならない場面がほとんど

訪問診療で医師は

  • 治療方針の決定
  • 緊急往診するべきか
  • 緊急搬送するべきか


など、1人で判断する局面がほとんどです。責任が大きい分、1人での判断にストレスを強く感じる医師は少なくありません。

訪問診療医の定着率を上げるポイント3選

では、訪問診療医の離職の原因をどのように解決すればよいでしょうか。
それぞれの課題を解決して「この訪問診療クリニックでずっと働きたい」と思ってもらえるようなクリニックを目指しましょう。

時間外のオンコール、夜間勤務の負担を減らす

医師のオンコール対応の負担が大きくなっていませんか。
どんなにコールが少ないといっても「電話がくるかも」という緊張感があっては気が休まりません。緊急診療の可能性もあるため、その日の行動にも制限が出てしまいます。
また、緊急ではない深夜のコール対応に悩まされることもあります。
オンコール当番の頻度が著しく多い場合は、すぐに見直すようにしましょう。
オンコール代行や当直支援などを利用するのも有効です。

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訪問診療医の業務をサポートする体制づくり

データ管理をおこなうためのシステムを導入する場合、運用ルールの取り決めや研修の実施が必要になります。
システムによる電子データを扱う場合は、計画的にスケジュールを組み、データ管理のための環境を整えましょう。

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訪問診療医としてのスキルを高めるための支援

診察時の不安を軽減するためにも、訪問診療医としてのスキルを高めることが非常に重要です。
訪問診療医のスキルを高める支援の例を紹介します。

  • クリニックやグループ内で、経験が浅い医師への教育体制の構築、同僚に相談できる職場環境づくり
  • 在宅医療専門医、老年科専門医、家庭医療専門医などの資格取得の支援
  • 看護師、医療事務、薬剤師、栄養士、ケアマネージャーなど多職種との情報連携


訪問診療医としてのスキルを高めるため、クリニックやグループ全体で支援体制を考えていきましょう。

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医師がしっかりと患者さんと向き合える環境づくりを

訪問診療医の問題を解決するためのポイント

ソフト面
  • オンコール当番の回数の見直し
  • 医療事務の配置などによる雑務の軽減
  • 訪問診療医としてのスキルアップへの支援
ハード面
  • オンコール代行や当直支援などのツールの利用
  • より専門性の高い電子カルテの導入

訪問診療医の定着は、患者さんや家族、他のスタッフの信頼につながり、クリニック経営の安定化につながります。
訪問診療医がストレスに感じる部分、不安に感じる部分を最大限サポートして、100%患者さんに向き合えるような環境をつくれば、仕事への満足度とやりがいは非常に上がるといえるでしょう。
ご自身のクリニックで、訪問診療医の離職につながる問題がないか、ぜひ考えるきっかけにしてみてください。

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この記事を書いた人

岡村 奈津子

医療ライター/薬剤師。昭和大学薬学部卒。病院、ドラッグストア、薬局と様々な分野で経験を積み、現在は地域医療、在宅医療に注力。薬剤師として臨床の現場で働きながら、医療ライターを行っている。多くの人へわかりやすい医療の情報と、医療従事者の姿を届けるべく執筆活動中。

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