医療機関経営は、物価や人件費の上昇で一層の困難に直面|異例の環境下で2026年度診療報酬改定に向けた議論がスタート
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中央社会保険医療協議会(中医協)は4月9日、2026年度の診療報酬改定に向けた議論を開始し、今後の主な検討スケジュール案を了承しました。会長の小塩隆士氏(一橋大学経済研究所特任教授)は「本日が改定に向けたキックオフ」と述べ、改定作業の本格始動を宣言しました。
厚生労働省保険局の林修一郎医療課長は、物価や賃金の上昇、医療機関の経営状況の変化など、これまでとは異なる環境下での議論になるとの認識を示しています。
そのため中医協では、点数配分の検討に入る前に、医療提供体制や経済情勢(物価・賃金など)について、初夏にかけて議論を行う予定です。
今回の診療報酬改定は、各都道府県の新たな地域医療構想に基づく医療体制の整備とも連動して進められる見込みです。

スケジュール案では、6月以降に「その1シリーズ」として「入院」「外来」など個別テーマの論点整理を進め、10月以降の「その2シリーズ」から本格的な議論に入る流れが示されています。改定案の諮問・答申は、例年通り年明けを予定しています。
2026年度の診療報酬改定は、物価高騰や地域医療構想の動向など、従来とは異なる複雑な背景のもとで進められます。議論の行方は、今後の医療提供体制と医療機関経営に大きな影響を与えることが予想され、引き続き注視が必要です。
参考)中央社会保険医療協議会 総会(第606回) 議事次第