厚生労働省の「医療等情報利活用ワーキンググループ」は12月24日、全国の医療機関や患者自身が診療情報を共有する「電子カルテ情報共有サービス」について、2027年1月〜2月頃(2026年度冬頃)の本格運用開始を目指す方針を了承しました。
現在実施されているモデル事業で浮上した課題への対応を進め、現場の利便性を高めた上で全国展開を図る考えです。
サービスの概要と共有される情報
このサービスは、医療DXの一環として、異なる医療機関の間で患者の診療情報を電子的に共有・閲覧可能にする仕組みです。オンライン資格確認等システムのインフラを活用して運用されます。
共有の対象となるのは、以下の「3文書・6情報」に標準化されたデータです。
- 3文書: 診療情報提供書、退院時サマリ、健康診断結果報告書
- 6情報: 傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急および生活習慣病)、処方情報
モデル事業で見えた課題と改善策
現在、全国9地域・22医療機関でモデル事業が行われており、実用化に向けた具体的な課題と対応方針が示されました。
- 文書の視認性向上
技術解説書通りに実装すると「診療情報提供書」などが読みづらくなる懸念があるため、見やすさに配慮した修正を行います。これは2025年12月公表予定の技術解説書(2.0.0版)に反映される予定です。 - システム連携の修正
医療保険の「枝番」がレセコンと電子カルテ間で十分に連携されず、エラーになる事例が確認されました。今後は、情報の周知とシステムの改修を徹底します。 - 情報の信頼性確保
アレルギー情報が古いまま残り続ける等の課題に対し、登録指針を明確化します。また、医療機関ごとに異なる検査結果の「単位」については、現場の負担を考慮し、当面は各機関が現行で使用している単位での登録を可能とします。 - 運用の円滑化
患者が転居する際などに利用する「閲覧保留」機能が複雑で運用が難しいとの指摘がありました。これについては、引き続きモデル事業の中で手順の検討を進めます。
在宅医療への影響
今回のサービス構築により、在宅医療の現場においても以下のような変化が期待されています。
- スムーズな退院支援と情報連携
入院医療機関から提供される「退院時サマリ」や「診療情報提供書」が電子的に共有されることで、在宅医や訪問看護師が患者の入院中の経過をより迅速かつ正確に把握できるようになります。 - 多職種連携の効率化
薬剤情報やアレルギー情報、検査結果などがリアルタイムで共有されることにより、訪問先での処方検討や処置における安全性が向上します。
今後のスケジュール
厚生労働省は、モデル事業での検証を継続するとともに、新たに「電子カルテ情報共有サービスを利用する医療従事者向け」の資料(利用指針・マニュアル)を作成します。
これらを通じて現場の利便性を確保した上で、2026年度冬の全国展開(本格運用の開始)を目指していく方針です。






