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政府が2026年度の診療報酬本体を3.09%引き上げる方針を示しました。約30年ぶりとなる高い改定率ですが、国立大学病院長会議は「経営の危機的状況は解消されていない」との見解を示し、現場の厳しさを訴えています。
30年ぶりの高水準改定も評価は限定的
政府は12月19日、2026年度診療報酬改定において、本体改定率を3.09%引き上げる方針を決定しました。この水準は1990年代半ば以来となる高い改定率です。同日、国立大学病院長会議は東京都内で記者会見を開き、文部科学省と厚生労働省による補正予算と合わせ、一定の前進であるとの認識を示しました。
一方で、会長の大鳥精司氏(千葉大学病院長)は、物価高や人件費増加の影響を考えると、資金繰りの悪化は避けられず、「危機的な状況から抜け出したとは言えない」と慎重な見方を示しました。
支出増は今後さらに拡大する見通し
国立大学病院長会議では、近年と同様のコスト増が続くことを前提に、来年度以降の支出見通しを試算しています。医薬品費などを除いた諸経費の増加に加え、光熱水費や人件費、業務委託費などが大きく膨らみ、2026年度は約500億円、2027年度には約1,000億円規模の支出増になると予測されています。
こうした状況を踏まえ、大鳥氏は「3%程度の引き上げでは到底追いつかない」と指摘しました。補正予算はあくまで緊急的な対応に過ぎず、高度医療に対する評価の引き上げや、休日加算の要件見直し凍結などが行われなければ、安定的な病院運営は難しいと訴えています。
赤字拡大が続く病院経営の現実
今年度上半期の実績を基にした収支見通しでは、全国42大学44病院の合計で数百億円規模の赤字が見込まれています。全体の約7割にあたる病院が赤字となる見通しで、経営環境の厳しさが浮き彫りになっています。
また、人事院勧告への対応も十分とは言えず、昨年度は多くの大学病院で完全実施に至らなかったとされています。近年は現金収支の赤字額が年々拡大しており、大鳥氏は「病院全体が沈み込んでいるような危機的状況だ」と強調しました。
会見に同席した他の病院長からも、診療報酬改定そのものは歓迎しつつも、職員の給与確保や設備投資、高度医療の継続を考えると、なお不十分との声が相次ぎました。国立大学病院の経営改善には、さらなる制度的支援が求められています。








