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政府、30年ぶり高水準の本体引き上げに「上乗せ調整」の仕組み
政府は2026年度の診療報酬改定後、物価上昇や賃上げが当初の想定を上回った場合に、2027年度に診療報酬を追加で引き上げる仕組みを設ける方針です。本体部分の改定率を約30年ぶりの高水準とすることに加え、経済状況に応じて柔軟に報酬を調整できる制度を導入することで、医療機関の経営悪化を防ぐ狙いがあります。
本体改定率は3.09%、人件費と物価高への対応を重視
診療報酬改定の本体部分については、19日に首相官邸で行われた協議で改定率を3.09%とすることで決着しました。インフレや賃上げの影響で経営が厳しくなる医療機関が増えていることを踏まえ、1996年度以来となる高い水準の引き上げとなります。
内訳を見ると、医療従事者の賃上げ対応に1.70%、光熱水費など物価上昇への対応に1.29%を配分し、医療の高度化などへの対応分として0.25%を上乗せします。一方、適正化分として0.15%は差し引かれる形です。政府は、インフレ率をおおむね2%程度と見込んだうえで改定率を設定しています。
インフレが想定超なら追加引き上げへ
今回の改定の特徴は、改定後の経済状況を見ながら再調整する仕組みを明確にした点です。2026年末時点で、2027年度の物価や賃金の上昇が想定を大きく超えると判断される場合、診療報酬をさらに引き上げることを検討します。判断にあたっては、内閣府が公表する政府経済見通しなどの指標が活用される見込みです。
前回の2024年度改定では、本体改定率を0.88%とし、過去10年で最も高い水準となりましたが、当時はインフレが本格化する直前であったため、物価対応分は十分に織り込まれていませんでした。その後、賃上げや物価高が想定以上に進んだことから、政府は補正予算で対応を余儀なくされました。
具体的には、2025年度補正予算でインフレ対応の補助金として約3800億円、賃上げ支援として約1500億円を計上しています。賃上げ補助金の扱いを巡っては、財務省が改定率から差し引くよう求めていましたが、協議の結果、診療報酬改定とは切り分けて扱うことで一致しました。
薬価はマイナス改定、全体では2%超に
診療報酬は、診察や処置などの技術料にあたる「本体」と、医薬品価格である「薬価」から構成されています。2026年度は本体の改定年にあたり、薬価はマイナス0.8%台となる見通しです。本体の引き上げと合わせると、全体の改定率は2%を上回る可能性があります。
一方、診療報酬の引き上げは保険料負担の増加につながり、2%の引き上げでおよそ5000億円規模の負担増になるとされています。現役世代の負担を抑えるためには、一定の支払い能力がある高齢者の自己負担の見直しなど、制度面での改革も引き続き課題となりそうです。







