政府、2026年度診療報酬改定に先駆け「医療・介護等支援パッケージ」を閣議決定
政府は11月21日、2026年度の診療報酬改定に先駆け、「医療・介護等支援パッケージ」を緊急措置として実施する経済対策を閣議決定しました。
今回の対策は、物価上昇や賃金改善の必要性を背景に、医療・介護分野に重点的な支援を行うもので、救急医療などを担う医療機関に対して、診療に必要な経費の物価上昇への対応や賃上げを支援します。
医療機関への賃上げ・資金繰り支援
医療従事者に対しては、+3%の半年分の賃上げを実施。
資金繰りに関しては、医療機関や福祉施設に対し、福祉医療機構の「優遇融資」を実施し、経営改善が困難な地域の民間病院に対しては、民間金融機関と連携した「資本性劣後ローン」が提供されます。
ICT導入、病床適正化、生産性向上などの取り組みを支援
さらに、ICT機器の導入・活用、生産性向上、職場環境改善に取り組む医療機関に対して支援を実施。
また、病床数の適正化を進める医療機関への支援も明記されました。
出産数の減少などの影響を受けた産科施設や小児医療の拠点施設への支援も含まれています。
介護分野も報酬改定を待たずに賃上げへ
介護分野では、他産業と比べて賃金差が残っているとの認識が示され、介護職員に対して月1万円の半年分の賃上げを実施。
また、ICT導入、経営の協働化、訪問介護やケアマネジメントの提供体制確保に向けた取り組みに対する支援も明記されました。
障害福祉分野でも、経営状況を踏まえた賃上げ措置などが実施されます。
26年度診療報酬改定の方向性も提示
26年度の診療報酬改定では、以下に留意して実施する方向性が示されました。
- 高度機能医療を担う病院の経営安定化と従事者の処遇改善
- 医療機関の機能に着目した分化・連携
- 地域における医療確保
- 地域包括ケアシステムの推進
- 多剤重複投薬対策
在宅医療への影響
今回の緊急的な賃上げ措置やICT導入支援は、医療・介護双方に対象が及ぶため、訪問診療クリニックや在宅医療事業者の人件費負担緩和や業務効率化に寄与する可能性があります。
一方で、賃上げが補助金による時限措置である点や、医療機関全体で人材確保競争が進む可能性もあり、在宅医療分野では引き続き職場環境の改善と人材確保策が求められる状況が続くとみられます。
また、ICT導入や生産性向上に関する支援は、訪問診療における業務効率化、情報連携、急性期との連携強化などに活用できる可能性があります。
参考資料:
「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~
「強い経済」を実現する総合経済対策」を別紙のとおり定める。
首相官邸










