厚生労働省は12月8日に開催された社会保障審議会医療部会にて、「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性(案)」を提示しました。
DX化等に積極的に取り組む病院を公的に認定する仕組みを創設する一方で、診療所を含むすべての管理者に対し、業務効率化への努力義務を課す方針が盛り込まれました。
また、国は令和7年度補正予算案に200億円を計上し、業務のDX化に取り組む医療機関を幅広く支援する方針です。
病院に対する公的認定制度の創設
厚労省は、業務効率化・職場環境改善に積極的に取り組むことが医療従事者の職場定着にプラスとなり、人材確保面でより有利になるよう、計画的に取り組む病院を公的に認定し、対外的に発信できる仕組みを地域医療介護総合確保法に創設する方針です。
診療所を含む「管理者の責務」の明確化
今回の具体案では、認定制度と並行して、医療法および健康保険法(以下、健保法)上の責務についても方向性が示されました。
現在、医療法において病院・診療所の管理者に求められている「医療従事者の勤務環境改善・確保」への努力義務に加え、今後は「業務効率化」にも取り組むよう努める旨が新たに明確化されます。
また、健保法上の保険医療機関の責務としても、業務効率化および勤務環境改善に取り組むよう努める旨が明記される見通しです。
なお、全ての医療機関が直ちにDX化へ対応できるわけではない実情を考慮し、国は現場の理解を得ながら丁寧に進める方針を示しています。
2025年度補正予算案による幅広い支援
国・自治体による支援策として、令和7年度補正予算案において200億円を計上しました。これまでの試行的・先進的な取り組みへの支援にとどまらず、業務のDX化に取り組む多くの医療機関を支援する方針です。
あわせて、都道府県の医療勤務環境改善支援センターの体制拡充・機能強化を図り、労務管理に加えて業務効率化の助言・指導も行うことを明確化します。
在宅医療業界への影響
今回の具体案において、公的に認定され対外発信できる仕組みの対象は「病院」とされています。
一方で、在宅医療を担う診療所の管理者に対しても、医療法上の努力義務として「業務効率化」が明記されることになります。
また、200億円規模の予算支援は認定病院に限らず「業務のDX化に取り組む多くの医療機関」が対象とされており、在宅医療機関においても、業務効率化に資する機器やサービスの導入に対する支援の枠組みが広がることが期待されます。
資料:医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について(案)(厚生労働省)






