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【解説記事】病院と訪問診療クリニックへの転職時の違いについて転職エージェントが徹底解説

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医師の転職活動は、キャリアのステップアップや働き方の見直しにおいて重要なターニングポイントです。

在宅医療と急性期医療の間には、転職におけるマッチングの観点で大きな違いが存在します。

急性期病院から在宅医療専門への転職時にミスマッチを減らすためにも、事前にクリニックの特色や求められるスキルを把握し、自身の希望や適性と照らし合わせることが重要です。

今回は、在宅医療専門の人材採用支援を行うコンサルタントに、病院と訪問診療クリニックへの転職時の違いについて伺い、実際の事例を交えながら解説していただきました。

在宅医療と急性期医療、転職マッチングにおける3つの大きな違い

ーーはじめに、在宅医療と急性期医療では転職マッチングにどのような違いがあるか教えてください。

在宅医療と急性期医療への転職時の違いは主に3つあると考えています。

1つ目は、勤務先の規模と業務範囲の広さです。急性期病院は200床以上の大規模な組織であるところも多く、業務が細かく分業化されています。

例えば物品の準備や採血など、看護師や他のスタッフが対応することが一般的です。
一方で、小規模な訪問診療クリニックでは、常勤医師が1人、看護師数名という体制も珍しくありません。

そのため、病院では当然のように他の職種が行っていた業務も、在宅医療では医師自身が対応する場合があります。

2つ目は給与体系です。公的な急性期病院では、年次に応じた給与が決まっていることが多いです。

その一方、在宅医療では診療報酬が高めに設定されていることもあり、若手医師でも高給与を得られる可能性があります。

3つ目は比較的残業の少ない点です。

訪問診療クリニックでは、訪問先のスケジュールが事前に決まっているため、緊急の対応がない限りは定時退勤が可能なことが多いです。
夜間対応が必要な在宅医療は『忙しそう』というイメージを持つ医師も少なくありません。

しかし実際には、夜間の対応は外部に委託しているクリニックや、オンコールは曜日指定で担当する体制のクリニックも多くあります。

そのため、急性期病院のように“いつ呼ばれるかわからない”という状況は少ない傾向にあります。

在宅医療の“当たり前”は職場ごとに違う? カルチャーマッチの重要性

ーー業務や給料、働き方において違いがあるんですね。次に、在宅医療におけるカルチャーマッチとは具体的にどのようなものか教えてください。

訪問診療クリニックの中でも、たとえば医師自身が運転して患者さまのお宅に訪問するところもあれば、ドライバーがつくところもあります。

また、採血についても、看護師が対応するケースもあれば、医師が対応するケースもあります。

つまり、医師に求める“当たり前”の水準がクリニックによって異なるのです。
この“当たり前”の違いに気づかず転職すると、思わぬストレスになる可能性があります。

特に小規模な個人開業のクリニックでは、院長の価値観がそのまま組織文化に反映されるため、見極めが重要です。
医師の中には、運転や採血を躊躇する方もいれば、逆に『運転は得意だから大丈夫』と気軽に話す方もいます。

特に大規模な急性期医療で勤務されてきた医師は、このような在宅医療の特色に戸惑われるケースも少なくありません。
我々エージェントの立場では、医師ごとの特徴とクリニックのカルチャーとが合うかを慎重に見極めることが重要だと考えています。

在宅医療で求められるのは専門性より“全身を診る力”と学ぶ姿勢

ーー在宅医療機関側が医師に求めるのは、どのような専門性やスキルですか?

スキルとしては研修医時代に教わるレベルのものも多く、高度な専門性は求められないことが多いと感じています。

特定の診療科の専門性というよりも、内科全般、全身を診ることができる医師が求められる傾向です。

訪問診療クリニックの求人では「未経験歓迎」としているところも多いのですが、そもそも全身を診る機会の少ない診療科の医師だと、マッチングに課題が生じることもあります。

専門性のある医師は、週1回など非常勤での勤務を求められるクリニックが多い印象です。
基本的には、スキルよりも“学ぶ姿勢”と“コミュニケーション力”が重要視されるポイントだと考えています。

ーー特定の診療科やスキルが役に立つということはありますか?

クリニックごとの患者さまの特色にもよるのですが、たとえばがん末期のお看取りが多いクリニックでは、がんを専門に関わってきた医師の経験が重宝されることもあります。

また、認知症の患者さまが多いクリニックでは、認知症をたくさん診てこられた精神科出身の医師が求められたりします。
クリニックの患者層にどのような傾向があるかによって、求められるスキルは大きく異なります。

正しさより“寄り添う姿勢” 在宅医療が求める医師の価値観とは

ーー在宅医療にはどのような性格や価値観の医師が向いていると思いますか?

患者さまやご家族の意向を第一に考えられる医師が向いていると考えます。

在宅医療では、“正しい医療”と“患者の希望”が必ずしも一致しません。

その際に、医療の正解を押し付けてしまうとご家族との間に溝ができてしまいます。
患者さまやそのご家族によって理解力なども異なるので、しっかり分かりやすく説明する力も重要です。

きちんと患者さまとご家族に寄り添えるか、またその努力ができる人が望まれると考えています。

急性期と違い、在宅医療では病気を完全に治すことだけが求められるわけではありません。

“自分が良いとする理想の医療”ができないことにギャップを感じる医師は、在宅医療から離れてしまうことが多いかもしれません。

急性期から在宅医療へ――成功の鍵は“価値観の一致”と事前準備

ーー急性期医療から在宅医療に転職された医師の、実際の成功例があれば教えてください。

救命救急で15年間勤務していた医師が、個人開業の訪問診療クリニックへ転職された事例があります。
紹介先の院長も急性期病院で循環器内科医として勤務していた経歴を持ち、両者ともに急性期医療に対する問題意識があったという点で価値観が一致していました。

価値観が一致したことで意気投合され、スムーズなマッチングが実現したケースです。

ーー逆にミスマッチとなった例はありますか?


在宅医療には患者さまの自宅への訪問がメインのクリニックと、有料老人ホーム等の施設への訪問がメインのクリニックがあります。

老人保健施設を巡回するクリニックは、1日に多くの患者さまと関わる機会があり、短時間で的確な診療を行うことが求められます。
以前、一人ひとりとじっくり向き合いたいと考えていた先生に、施設訪問がメインのクリニックとのマッチングをご支援させていただいたことがありました。

入職後、想像していた診療スタイルとの違いに戸惑う場面もあったようですが、一方で『日々多くの患者さまと接することができる点にやりがいを感じている』ともおっしゃっていました。

ーー自分の経験や希望が、クリニックとマッチングするかが重要なんですね。エージェントとして、転職後に医師がミスマッチを感じないためにどんなサポートを行っていますか?


医師に医療機関を紹介する上で重要なサポートは3つあると考えています。


1つ目は可能な限り診療同行を設定し、現場を実際に見たうえで判断してもらうようにすることです。

求職者が実際に訪問診療業務をお試しで行う場合や、クリニックの院長の診療に同行するだけの場合と違いはあるのですが、

実際に診療同行を挟むと入職後のギャップは防げる印象です。


2つ目は事前に医師のスキルや志望動機をしっかりとヒアリングし、医療機関側にも正確に伝えたうえでマッチングを行うようにしています。

訪問診療の経験があるかどうかや、訪問診療で必要な手技の確認を初回のヒアリングで行い、入職してから技量が足りない、当初聞いていたスキルが足りないとならないようにしています。


3つ目は扱っている求人の内容を在宅医療専用にして、求人を見ただけで自分が希望している医療機関かどうかを判断できるようにしています。

訪問診療特有の項目、たとえば祝日の出勤や第5週の勤務など、総合的な求人会社では提示していないような情報まで求人票に掲載しています。
自分で探したり、知人の紹介では、細かい条件を確認しづらかったり、ここまでのサポートを受けるのが難しい場合もあります。

その点、エージェントを利用すると客観的な立場で調整できるので、ミスマッチの少ない転職につながりやすいと考えます。

ーーありがとうございます。最後に、訪問診療クリニックへの転職を考えている医師に向けて、在宅専科の魅力をおしえてください。


弊社は訪問診療を専門に取り扱っているため、他の紹介会社よりも訪問診療に関する求人数が圧倒的に多く、

情報も手厚くご紹介できることが特徴です。


クリニックの担当者や院長とのコネクションも多数あるので、訪問診療への転職を考えている際には、ぜひご利用していただければと思います。
「在宅医療に興味はあるけれど、自分に合うか不安」という段階でも、気軽にご相談ください。

他の紹介会社と併用していただくことも問題ありませんので、まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。


在宅医療に特化した医師向けの求人サービス『在宅専科』の特徴

『在宅専科』は、在宅医療に特化した医師向けの求人サービスです。

『在宅専科』の特徴は以下の通りです。

  • 年収3,000万円を超える求人が多い
  • 非常勤でも日給10万円を超える案件が50%以上
  • 保有する求人の60%以上が年収2,000万円以上
  • 開業医並みの収入を得られる案件もあり
  • ストレスのかからない転職活動(面接対策など)を支援


在宅医療ならではの「高収入を目指せる環境」が整っており、

給与面だけでなくQOL(生活の質)を重視した求人も充実しています。

ワークライフバランスを重視した公休数や働き方が可能な求人も多く、「高収入」と「高QOL」を両立した働き方が可能です。

『在宅専科』を通じて転職した医師の約50%が、未経験から在宅医療のキャリアをスタートしています。

また、独自の求人情報を複数保有しているため、「他では見つからなかった求人」を提供でき、希望に合った職場を見つけやすい点が特徴です。

在宅医療分野でのキャリアを検討している方は、ぜひ『在宅専科』を利用して、働きやすさと高収入を手に入れてみてください。

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この記事を書いた人

在宅医療カレッジ編集部

在宅医療に関わる方・これから始めたい方を応援する在宅医療の情報プラットフォーム「在宅医療カレッジ」編集部です。 「学ぶ」「働く」「役立つ」をテーマに在宅医療に関するあらゆる最新情報を配信しています。

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