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医療DX推進体制整備加算・在宅医療DX情報活用加算を電子処方箋の導入状況などによって再編成

  • #診療報酬
医療DX推進体制整備加算・在宅医療DX情報活用加算を電子処方箋の導入状況などによって再編成

2025年1月29日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は「医療DX推進体制整備加算」および「在宅医療DX情報活用加算」の施設基準見直し案を了承し、福岡資麿厚生労働大臣に答申しました。今回の見直しでは、電子処方箋の導入状況やマイナ保険証の利用率が新たな評価要素として追加され、医療機関のDX推進が一層強化されます。
本記事では、その背景と具体的な変更点について解説します。

見直しの背景

医療DXの推進と電子処方箋の普及促進

政府は「医療DX」を重点政策とし、医療のデジタル化を推進しています。その中でも電子処方箋の普及は、医療の効率化や患者の利便性向上の観点から重要視されています。しかし、2025年1月時点※で電子処方箋の導入率は病院で3.9%、医科診療所で9.9%と低迷しており、さらなる普及促進が求められています。今回の見直しでは、電子処方箋の導入を加算の要件に組み込むことで、医療機関のDX対応を加速させる狙いがあります。
※参照|厚生労働省|電子処方箋の現状と今後の対応|令和7年1月22日

マイナ保険証の利用率向上

2024年12月に現行の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)が原則化されます。しかし、2024年9月の医療機関受診者に占めるマイナ保険証利用者の割合は20.9%と低く、特に中小医療機関では利用が進んでいません。そのため、加算の要件としてマイナ保険証の利用率を組み込むことで、医療機関に積極的な推進を促す方針が打ち出されました。
※参照|厚生労働省|マイナ保険証の利用促進等について|令和6年10月31日

医療機関間のDX格差の是正

DXの導入状況には医療機関ごとに大きな差があり、大病院では電子カルテや電子処方箋が整備されている一方で、中小規模のクリニックでは対応が遅れています。今回の見直しでは、電子処方箋の導入状況やマイナ保険証の利用率を考慮した加算区分を設定することで、DXの格差を是正し、全国的なデジタル化を促進する狙いがあります。

具体的な変更点

医療DX推進体制整備加算の見直し

加算の点数や要件が見直され、2025年4月から電子処方箋の導入有無やマイナ保険証利用率によって評価が異なるようになります。

加算 医科点数 電子処方箋 マイナ保険証利用率
医療DX推進体制整備加算1 12 導入あり 45%以上
医療DX推進体制整備加算2 11 導入あり 30%以上
医療DX推進体制整備加算3 10 導入あり 15%以上
医療DX推進体制整備加算4(新) 10 なし 45%以上
医療DX推進体制整備加算5(新) 9 なし 30%以上
医療DX推進体制整備加算6(新) 8 なし 15%以上


参考|厚労省(中医協)医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直し|令和7年1月29日

在宅医療DX情報活用加算の見直し

在宅医療においても、2025年4月から電子処方箋の導入状況に応じた評価が導入されます。

加算 医科点数 電子処方箋
在宅医療DX情報活用加算1 11 導入あり
在宅医療DX情報活用加算2 9 導入あり

今後の展望と医療機関への影響

電子処方箋の導入が必須に近づく

今回の見直しにより、電子処方箋を導入している医療機関がより高く評価されるため、今後は電子処方箋の導入が事実上の必須要件になりつつあります。医療機関は、早めに電子処方箋システムの導入準備を進めることが重要です。

マイナ保険証利用促進の必要性

加算の要件としてマイナ保険証の利用率が引き上げられたことで、医療機関は患者に対して積極的に利用を促す必要があります。患者への案内やスタッフの教育を強化し、利用率向上に取り組むことが求められます。

医療機関のDX対応が今後の経営に直結

医療DXの推進は、単なる加算の要件ではなく、今後の医療機関の経営に大きく影響を与える要素になります。デジタル化による業務効率化や、患者満足度の向上につながるため、今回の見直しを機に、医療機関は積極的なDX対応を進めることが推奨されます。

まとめ

2025年4月から適用される「医療DX推進体制整備加算」と「在宅医療DX情報活用加算」の見直しは、電子処方箋の導入やマイナ保険証の利用促進を目的としたものです。これにより、医療機関はDX対応を一層強化することが求められます。早めの準備を進め、デジタル化の波に適応することが、今後の医療経営の重要なポイントとなるでしょう。

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在宅医療カレッジ編集部

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