電子カルテ情報共有サービスとは?メリットや補助金情報を解説
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電子カルテ情報共有サービスは、2024年秋から運用テストが始まり、2025年より本格稼働が予定されています。
本記事では、電子カルテ情報共有サービスの概要やメリット、補助金申請などの情報について解説します。
電子カルテ情報共有サービスを活用し、医療機関における業務を効率化させ、医療の質を向上させましょう。
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電子カルテ情報共有サービスとは?
それぞれの詳細は、以下のとおりです。
文書送付サービス
文書サービスとは、診療情報提供書(紹介状)をデジタルデータとして、医療機関間で共有するサービスです。
従来の医療機関では、他医療機関や患者さんとやり取りしながら、FAXや書面を活用し、診療情報の提供書を送付していました。
とくに患者さんの入院時には、入院調整をするために、医療機関の間で複数回の電話やFAXのやり取りをしていました。
一方で、電子カルテ情報共有サービスを利用すると、医療機関の間で退院時のサマリーや診療情報提供書を電子的に送受信できるようになります。
そのため、従来発生していたスキャン業務をせずとも、スムーズに紹介先の医療機関とやり取りできるようになります。
6情報閲覧サービス
6情報閲覧サービスとは、患者の6情報(処方情報・検査・傷病名・感染症・薬剤アレルギー・その他アレルギー)を、他の医療機関や患者本人が取得・閲覧できるサービスです。
従来、患者さんの診療情報は、オンライン資格確認などのシステムによって薬剤情報・受診歴・手術情報などを閲覧できました。
一方で、リアルタイムで電子カルテ情報の一部を医療機関や患者さん自身が確認できずにいました。
6情報閲覧サービスを利用すると、従来確認できなかった情報が容易に確認できるようになります。
健診文書閲覧サービス
健診文書閲覧サービスとは、各種健診結果を本人だけでなく、受診した医療機関や加入する医療保険者が電子的に閲覧できるサービスです。
従来、健診機関が健診結果の報告書を作成し、事業主と医療保険者を介して支払基金に登録されてきました。
40歳以上の方が対象となる特定健診の場合は、オンライン資格確認の利用により、支払基金が保有する健診結果データを本人同意のもとで閲覧できていました。
一方で、健診文書閲覧サービスでは各健診機関が特定健診だけでなく、さまざまな種類の健診文書を電子カルテ情報共有サービスに登録できます。
そのため、他の医療機関や医療保険者がリアルタイムで検診文書を閲覧できるようになります。
なお、対象となる健診の種類は以下のとおりです。
- 学校職員健診
- 人間ドック(任意健診など)
- 後期高齢者健診
- 事業者健診(40歳未満の方を対象としたものを含む)
- 特定健康診査(特定健診)
電子カルテ情報共有サービスで期待されるメリット
電子カルテ情報共有サービスの利用によって期待できるメリットは以下のとおりです。
文書送付サービスのメリット
文書が電子化されることで、紹介元・紹介先の医療機関で金銭的・人的コストが削減できます。また、情報共有が迅速におこなわれるため、業務効率の向上も期待できます。
また、情報漏洩のリスクや、患者さんが紹介状の持参を忘れるといった事態を防止することも可能です。
データフォーマットが共通化されるため、情報照会のコスト削減が実現されます。
6情報閲覧サービスのメリット
問診や患者さんの申告に6情報を組み合わせられるため、より質の高い診察や服薬指導がしやすくなります。
患者さん自身も、自分の健康状態が把握しやすくなるため、治療に対するモチベーションが上がるでしょう。
他のシステム・サービスとの連携を深めることで、医療情報の共有が今後効率化されていくことが予想されます。
とくに訪問診療では、他機関連携や患者情報の共有により、診療効率・品質の向上が期待されています。
健診文書閲覧サービスのメリット
患者さんが健診結果を持参しなくても医療機関側で結果を活用できるようになるため、情報量が増え、質の高い診察・処方が期待できます。
また、患者さん自身が健診結果を確認できるようになるため、健康状態をより詳細に把握することが可能です。
そのため、健康維持・増進のモチベーションが高まり、健康管理に注力できるようになるでしょう。
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電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金支援
2024年3月31日より、厚生労働省から「電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金」として全国の全病院が対象となる補助金の交付が発表されました。具体的な補助内容は以下のとおりです。
出典:厚生労働省「電子カルテ情報共有サービスについて」
補助金申請をする際は、以下の流れに従って申請しましょう。
- 電子カルテ情報共有サービスを利用できるシステムの環境整備の完了する
- システムベンダなどへ費用を精算する
- システムベンダなどから領収書および領収書内訳を受け取る
- 必要な書類を添付して補助金を申請する
- 電子カルテ情報共有サービスの利用申請を実施する
- 電子カルテ情報共有サービスの運用開始日を入力する
2024年秋より運用テスト・2025年より本格稼働がスタート
2024年1月より始まった設計・開発・総合テストを経て、2024年秋より医療機関などで運用テストがスタートします。
翌年からは医療機関等システムベンダ向け接続テスト、医療機関等運用テストと並行します。本番環境でのモデル事業の実施は、2025年1〜3月にかけて実施される予定です。
運用テスト・本格稼働にあたっては、以下の整備が求められます。
- 電子カルテ情報共有サービスの稼働に合わせた院内業務や運用の見直し
- 電子カルテ情報共有サービスに接続するための既存システムの環境設定
- 電子カルテ情報共有サービスに接続するためのシステム改修
電子カルテ情報共有サービスに関するよくある質問
電子カルテ情報共有サービスに関するよくある質問は、以下のとおりです。これから電子カルテの導入を検討している医療機関は参考にしてください。
新規で電子カルテを導入する場合はどこまでが交付対象範囲となる?
新規で電子カルテを導入した場合、電子カルテ情報標準規格準拠対応機能の導入費用が補助金の対象です。
一方で、電子カルテ情報標準規格準拠対応機能以外に関する導入費用は、補助金の対象になりません。
補助金の申請について領収書を添付することになっているが、リースの場合はどのように対応したらいい?
リースの場合であっても、実施要領に定める電子カルテ情報標準規格準拠対応機能を導入するための費用は補助金の対象です。
電子カルテ情報共有サービスの環境整備のためのシステム改修などに関して、どのタイミングで補助金申請をおこなうことになる?
システム改修後、システムベンダなどに費用を支払ったあと、添付書類を添えて申請する必要があります。
電子カルテの入れ替えに合わせて電子カルテ情報標準規格準拠対応機能を導入した場合などにより、費用が高額となった場合、分割の支払いでも補助金申請の対象になる?
分割支払いであっても、申請することは可能です。実施要領に定める電子カルテ情報標準規格準拠対応機能を導入するために必要な全ての費用を精算後、その領収書を添付し申請する必要があります。
まとめ
電子カルテ情報共有サービスを利用すると、患者さんに対する診療効率の向上や、医療従事者の業務効率向上などが期待できます。
また、患者さんの治療に対するモチベーションが向上し、健康維持・増進に貢献するでしょう。
これから電子カルテによる運用を検討する施設は、補助金を活用し、円滑な導入を進めていくことが求められています。
今後、電子カルテ情報共有サービスの導入に向けてテストや稼働準備が進んでいきます。電子カルテ未導入施設は、院内業務や運用の見直しや既存システムの環境設定・改修を実施し、導入の準備を進めましょう。
訪問診療向け電子カルテはAI搭載の「homis」がおすすめ
訪問診療向け電子カルテ「homis」は多くの在宅医療専門医とともに開発された電子カルテです。
AIを搭載し、今一番新しいカルテとしてフルリニューアルしました。
AI搭載で書類作成業務を大幅削減
homisはAIを搭載しており、homis内の診療情報を解析して主治医意見書などの書類を自動作成してくれる機能が搭載されています。
カルテ入力の際にも、過去歴や検査結果から必要な部分のみを自動引用して、カルテ記載を補助する機能があります。
医師の負担となる、日々の書類作成やカルテ入力の時間を大幅に削減することができるでしょう。
オーダリングチェック機能で医療ミス防止
処方時の薬用量誤りや、病名漏れなどを警告し、処方ミスを防止する機能です。
医療ミスを防止できるだけでなく、疑義照会やレセプトチェック工程も大幅に削減することができます。
医療・介護レセコンとの連携機能
homisは日医標準レセプトソフトORCAと連携しており、ORCAの導入・サポートもhomisの基本料金内で対応可能です。
また、介護保険請求には同じくORCA管理機構より提供されている「給管帳クラウド」と連携しており、医療と介護の算定・保険請求をワンストップで行うことが可能です。
医科と介護の保険請求から患者さんへの請求、明細書や領収書の発行、入金管理や未収金管理もhomisとORCAの一連の作業で可能なので、医療事務員の負担の軽減にもつながります。