電子処方箋リモート署名サービス、4月からの有償化に波紋
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HPKIセカンド電子証明書を使用した電子処方箋へのリモート署名サービスは、これまで無料で利用することが可能でしたが、運営元である医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)は、今年に入り、「2025年4月より、経費の一部としてサービス利用料を負担してほしい」旨を医療機関に通達しました。
突然の有償化に医療現場では波紋が広がっています。
HPKIセカンド電子証明書とは?
「HPKI(Health Professional's Public Key Infrastructure)カード」は、医師資格証や薬剤師資格証とも呼ばれ、ICチップに電子証明書が格納されています。紙の免許証の代わりとして、本人確認や電子署名を行うことができます。
そして「HPKIセカンド電子証明書」は、HPKIカードの電子証明書をスマートフォンなどに紐づけることで、HPKIカードを用いずに、スマートフォンやPCからリモート署名が可能な仕組みです。これは、オンライン診療やクラウド型電子カルテの普及を見据え、利便性向上のために2022年12月から導入されました。
有償化の経緯
これまでHPKIセカンド電子証明書による電子処方箋(および電子調剤記録)への電子署名サービスは無償で提供されていましたが、2025年4月から有償化されます。MEDIS-DCは「公的資金を用いて無償で提供しておりますが、継続的な公的資金の確保が困難な状況」との理由を挙げています。
費用体系
2025年4月以降、医療機関の規模に応じて以下の費用が発生します。
施設区分 | 年間費用(税別) |
診療所・薬局 | 10,000円 |
病床数400床未満の病院 | 50,000円 |
病床数400床以上の病院 | 100,000円 |
※上記は年間利用料であり、年度ごとに支払いが必要となります。
※支払い手続きを行わない場合、サービス利用ができなくなるため注意が必要です。
医療界の反応
- 日本病院団体協議会(日病協)
電子処方箋を普及させる方針を掲げる中で、医療機関に新たなコスト負担を課すのは矛盾しているとして、国からの「十分な補助」を求めています。 - 日本医師会
2025年度に限り、一部の医療機関に対し利用料の補助を実施するとしています。
参考)https://www.izumo-med.or.jp/news/11972/
今後の正式な発表や、補助金制度の動向に注意しつつ、医療機関ごとに最適な対策を検討することが重要です。