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診療報酬改定DXは、クリニックの業務効率化やシステム運用時のコスト削減に寄与する施策です。
しかし、具体的な施策の内容について把握できていない方がいるのではないでしょうか。
本記事では、診療報酬改定DXの目的や施策の詳細、メリット・デメリットについて解説します。
診療報酬改定DXの概要を理解したうえで施策を進め、クリニックの業務効率化を図りましょう。
診療報酬改定DXとは
診療報酬改定DXとは、DXによる業務効率化を目的とした改定です。
DXとは、デジタルトランスフォーメーションを指し、デジタル技術の利用によって生活をより良いものにする取り組みです。
診療報酬改定DXでは、以下の4つのテーマを掲げ、医療機関の負担軽減を目的に制定されました。
- 共通算定モジュールの開発・運用
- 共通算定マスタ・コードの整備と電子点数表の改善
- 標準様式のアプリ化とデータ連携
- 診療報酬改定施行時期の後ろ倒しなど
上記の施策は、令和5年度から段階的に実施されています。
診療報酬改定DXにおける4つの施策
診療報酬改定DXでは、4つの施策が設けられています。それぞれの詳しい内容は以下のとおりです。
共通算定モジュールの開発・運用
共通算定モジュールとは、診療報酬の算定や患者さんの窓口負担金を算出するための電子計算プログラムです。
従来、診療報酬改定の告示があると、システムベンダーがプログラムを開発し、医療機関のシステム改修をおこなっていました。
共通算定モジュールが導入されると、政府が開発した改定プログラムをクラウド上で医療機関へ直接提供できるようになります。
そのため、システムベンダーがプログラムを開発する必要がなくなり、医療機関のサポートに注力できるようになります。
その結果、医療機関側の作業負担やコストが削減され、業務効率化につながるでしょう。
共通算定マスタ・コードの整備と電子点数表の改善
共通算定マスタやコードとは、以下のとおりです。
- マスタ:電子レセプト請求のための統一コードに対し、点数や価格、算定条件などの情報を付与した電子的マスタファイル
- コード:医療機関が電子レセプトを審査支払機関に提出する際、レセプト電算処理システムで使用する9桁のコード
マスタやコードを共通化すると、レセプト処理が迅速に進み、診療報酬改定に伴う改修の負担を抑えられます。
また、電子点数表の改善も進められるため、算定チェックの精度が向上し、効率化も期待できます。
標準様式のアプリ化とデータ連携
「標準様式のアプリ化とデータ連携」とは、診療報酬請求に必要な帳票類を標準化し、アプリケーションを介して活用できる仕組みです。
医療や介護の現場では、診療情報提供書といった各種書類を手書きで作成し、郵便やFAXで送付している施設が存在します。
診療報酬改定DXでは書類の様式を統一し、電子的に共有できる仕組みが整うため、事務作業の効率化も期待できます。
診療報酬改定における施行時期の後ろ倒しなど
診療報酬改定の施行時期を延期すると、システムベンダーや医療機関側がスケジュールに余裕をもたせることが可能です。
そのため、システムベンダー・医療機関ともに業務負担が軽くなり、作業のミスを減らしやすくなります。
また、診療報酬改定の内容を十分に把握しやすくなるメリットもあります。
診療報酬改定DXによるメリット
診療報酬改定DXが進むと、医療機関側ではさまざまなメリットが期待できます。以下のメリットを踏まえ、今後の診療報酬改定DXに対応していきましょう。
業務効率化
共通算定モジュールの開発・運用が進むと、システムベンダーが医療機関のサポートに注力できるようになります。
また、共通算定マスタ・コードが整備されると、複数の医療機関をまたいだ診療費の計算が可能です。
これにより、従来よりもレセプト請求が効率化され、クリニックの作業負担が軽減できるようになります。
さらに診療報酬改定DXでは、統一された書面の様式を電子的に共有する仕組みが作れるため、事務作業の効率化も期待できます。
院内の業務効率化が進むと、診療効率が良くなり、残業代削減の効果も見込めるでしょう。
システム導入費用の削減
共通算定モジュールの開発・運用により、政府が開発した改定プログラムをクラウド上で医療機関へ直接提供することが可能です。
従来システムベンダーが実施していたプログラム開発を政府が引き受けるため、ベンダーが独自にプログラムを開発する必要がなくなります。
そのため、医療機関が支払うベンダーへのメンテナンス料や新規導入時の費用が抑えられます。
診療報酬改定DXによるデメリット
診療報酬改定DXのデメリットは、システム更新後の運用に時間と労力がかかる点です。システムの運用方法が変わるため、円滑に運用するための研修や予行演習などが必要になります。
また、診療報酬改定DXの各施策におけるプロジェクトの難易度は高いため、必ずしもDXが実現するとは限りません。
施策の遅延やトラブルを見据え、計画的にDXを進めていくことが大切です。
診療報酬改定DXの実施スケジュール
令和5年度から段階的に実施されてきた診療報酬改定DXでは、これまで以下の施策が進められています。
- 共通算定モジュールの開発
- 共通算定マスタ・コードの整備
- 電子点数表の改善
- 施設基準届出の電子化
- 国公費・地単公費マスタ・コードの整備
- 上限額管理票の電子化
- 国公費・地単公費に係るオンライン資格確認
- 標準型レセプトコンピュータの開発
令和7年度から8年度にかけて、共通算定モジュールが本格的に提供され、共通マスタ・コードなどの現物給付が拡大する予定です。
レセプト代行サービスで診療報酬改定DXを効率的にサポート
診療報酬改定DXでは、新しいシステムの構築が必要になるため、運用方法が変わる可能性があります。
新しい運用方法を習得するためには、スタッフの教育や予行演習などが必要です。これらを実施するには時間と労力がかかり、日々の業務が圧迫されることもあるでしょう。
在宅医療専門レセサポでは、業界歴15年・在宅医療レセプト経験歴10年のプロフェッショナルがスタッフの教育や業務支援をスムーズにおこないます。
クリニックの皆さまが診療に集中できるよう、診療報酬改定DXに伴うスタッフの育成もサポートします。
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まとめ
診療報酬改定DXは、DXによる効率化を目的とした改定です。医療機関における負担の軽減を目的に制定され、主に以下の4つの施策が進められています。
- 共通算定モジュールの開発・運用
- 共通算定マスタ・コードの整備と電子点数表の改善
- 標準様式のアプリ化とデータ連携
- 診療報酬改定施行時期の後ろ倒しなど
診療報酬改定DXの施策を進めることで、クリニック側の業務効率化やシステム導入費用の削減が可能です。
一方で、デメリットとしては、システム更新後の運用に時間と労力がかかる点が挙げられます。
今後は、令和8年度にかけて、共通算定モジュールが本格的に提供され、共通マスタ・コードなどの現物給付が拡大する予定です。
診療報酬改定DXをスムーズに実施し、クリニックの運用を効率化させるために、各施策を計画的に進めていきましょう。