できる在宅医療事務の育成方法とは?必要なスキルと育成のポイントを紹介

できる在宅医療事務の育成方法とは?必要なスキルと育成のポイントを紹介

高齢化に伴った人手不足が課題であるクリニックにとって、早く確実に在宅医療事務の育成をしたいと考えていませんか。
医療事務はクリニックの顔にもなるため、優秀な医療事務の育成はクリニックの信頼を高めます。
ここでは、医療事務に必要なスキルと効果的な育成方法について紹介します。
医療事務スタッフのスキル向上を図り、患者様に選ばれる医療機関を目指しましょう。

なぜ今、在宅医療事務の育成が必要なのか

  1. 高齢化による在宅医療の拡大により、業務範囲が広くなっているため、対応力や判断力、専門知識を身につける必要がある。
  2. 事務員の人手不足に伴い、現場スタッフの即戦力が必要である。

厚生労働省の推計では、2025年には65歳以上が約3,657万人に達し、60%以上が在宅療養を希望していることから、在宅医療の需要が急増しています。

これに伴い、業務範囲が広くなっていることやスタッフの人手不足により、対応力や判断力、専門知識を身に着けた即戦力が求められているため、在宅医療事務の育成が必要不可欠と言えます。

できる在宅医療事務に求められるスキル5つ

1. 多職種連携に必要なコミュニケーション能力

医師・看護師・介護職など、院外含め多職種と円滑に情報共有できる力が必要です。
クリニック内での他部署との連携や施設・薬局や病院、他クリニックなどの外部の関連機関のスタッフと連携する場面が多々あるため、これらの人と円滑にコミュニケーションが取る必要があります。

2. 訪問スケジュールや業務全体の調整・管理能力

訪問診療やスタッフ勤務に応じた調整が求められるため、全体を見渡し優先順位を付ける能力が重要です。また、日常業務でのスケジュール管理スキルも同様に不可欠であり、全体を俯瞰してスケジュール管理できるスキルが必要です。

3. ICTツールや電子カルテの活用スキル

電子カルテや情報共有アプリを活用することで、業務効率や情報伝達を正確に迅速に行えます。ICTツールを使用し、スタッフ間や多職種との連絡・情報共有や医師の指示の確認などを効率よく行うためにも、ICTツールや電子カルテの活用スキルは在宅医療事務に必須のスキルになります。

4. 算定項目や診療報酬改定への対応力

在宅医療事務では、訪問診療料や管理料、加算など多岐にわたる算定項目を正しく理解し、診療内容に応じて適切に請求する能力が不可欠です。さらに、診療報酬は定期的に改定されるため、最新の制度や通知を把握し、業務に迅速かつ正確に反映させる対応力も重要です。

5. 利用者やその家族などへの共感力や柔軟性

在宅医療事務は直接患者さんやご家族と接する場面が多いため、共感力や状況に合わせた柔軟な対応力が求められます。
このように電話対応や書類手続きだけでなく、不安や要望に寄り添う姿勢がクリニックへの信頼につながります。

現場で活かせる育成方法と定着を促すポイント3つ

1. 日ごろからのコミュニケーションを大切にする

日常の業務から、細かいコミュニケーションをとるように心がけ、失敗しても大きいミスにならないような配慮を最大化。

在宅医療事務の業務は複雑で状況判断を求められる場面も多いため、職員同士の日常的なコミュニケーションが非常に重要です。
日ごろから声をかけ合い、質問や相談をしやすい雰囲気を作ることで、業務の不安や疑問を早期に解消できます。
また、日常的なやりとりで報連相を意識すると、ミスの防止や業務の効率化にもつながります。
コミュニケーションは信頼関係の構築にも役立ち、安心して働ける職場づくりに欠かせない要素と言えます。

2. 具体的なマニュアルとOJTを活用する

実践的な内容、経験例を掲載したマニュアルの作成や先輩との同行訪問により患者さんとのかかわり方などを学べる機会をつくれるようなOJT体制の構築。

在宅医療事務では制度や算定ルールが複雑なため、業務の標準化を図る具体的なマニュアルの整備が欠かせません。
実際の業務フローに基づいたマニュアルを用意し、新人職員にはOJTを通じて実務を体験しながら習得してもらいます。マニュアルとOJTを組み合わせることで理解が深まり、定着もスムーズになります。
また、定期的な見直しを行うことで、現場に合わせた内容へと改善を重ねて現場で使いやすいマニュアル作成を心がけるとよいでしょう。

3. 定期的に自己評価と振り返りを行う

業務に関するスキル評価表の作成や定期的な上司による評価体制による育成する組織開発。

業務に対する理解やスキルの定着を促すためには、定期的な自己評価と振り返りの時間を設けることが効果的です。
自身の業務を見直すことで、できている点や改善が必要な点を客観的に把握でき、成長の実感にもつながります。
上司や指導担当者との面談を通じてフィードバックを受けることで、方向性を確認しながら次の目標を設定でき、在宅医療事務スタッフの自主性や意欲の向上にもつながります。

まとめ

高齢化により在宅医療の需要が急増し、在宅医療事務職にも専門知識や判断力、即戦力が求められています。
人手不足が深刻化する中、対応力のある人材育成は急務です。
多職種連携、ICT活用、診療報酬対応など幅広いスキル習得が重要であり、マニュアル整備やOJT、定期的な振り返りがスタッフの定着支援に効果的です。

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在宅医療カレッジ編集部

在宅医療に関わる方・これから始めたい方を応援する在宅医療の情報プラットフォーム「在宅医療カレッジ」編集部です。 「学ぶ」「働く」「役立つ」をテーマに在宅医療に関するあらゆる最新情報を配信しています。

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