在宅レセプトを外注する5つの目的とは? 内製化と比較するメリット・デメリット

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在宅レセプトを外注する5つの目的とは? 内製化と比較するメリット・デメリット

在宅医療の現場では、患者さんの自宅や施設を訪問し、一人ひとりに寄り添った医療を提供されています。その一方で、在宅医療ならではの複雑な診療報酬算定や書類作成など、レセプト業務は多くの医療機関にとって大きな負担となっているのではないでしょうか。

「医療の質を向上させたい」「スタッフの負担を減らしたい」「経営を安定させたい」ー。

これらの課題を解決する一つの有効な手段が、レセプト業務の外注(アウトソーシング)です。

この記事では、レセプト業務を外注する5つの主な目的と、外注と内製化それぞれのメリット・デメリットを徹底的に比較解説します。

レセプト業務を外注する5つの主な目的

レセプト業務の外注は、単なるコスト削減や作業の効率化だけではありません。多くのクリニックが抱える根本的な課題を解決するための、戦略的な経営判断です。その主な目的は以下の5つに集約されます。

1. 特定のスタッフへの業務負担軽減と離職防止

レセプト業務は専門性が高く、特定の熟練した医療事務スタッフに業務が集中しがちです。これにより業務の属人化が進み、そのスタッフへの過度な負担が離職リスクにつながります。外注することで専門スタッフの負担を軽減し、心身のストレスを和らげることができます。

2. 返戻・査定率の低減と収益安定化

複雑な在宅医療のレセプトでは、算定ミスや記載漏れによる返戻・査定が起こりやすい傾向にあります。これはクリニックの収益減に直結する重要な課題です。レセプト代行サービスを活用すれば診療報酬のプロによる正確な業務が実現し、返戻・査定を抑制し経営の安定化に寄与します。

3. 医師やスタッフが本来業務に専念できる環境構築

レセプト業務に追われる時間が減ることで、医師は診療に、その他のスタッフは患者対応や訪問準備など、本来の業務に集中できます。これにより医療の質そのものが向上し、患者さんやご家族の満足度向上にもつながります。

4. 急な人材不足への備え

医療事務スタッフの急な退職や休職はレセプト業務の停滞につながります。特に業務が属人化している場合引き継ぎが困難になり、業務が停止するリスクもあります。外注しておけば担当者が不在になっても業務が滞ることがなく、安定したクリニック運営が可能です。

5. レセプトのプロフェッショナルなノウハウ活用

レセプト代行サービスは、長年の経験と膨大なデータに基づいた専門的な知識を持っています。最新の診療報酬改定情報や、返戻・査定の傾向分析など、自院だけでは得られない高度なノウハウを得ることで、経営改善のヒントを得ることも可能です。

外注と内製化を徹底比較!目的別のメリット・デメリット

ここからは、前述の5つの目的ごとに、レセプト業務を「外注するケース」と「内製化するケース」のメリット・デメリットを比較します。貴院の状況に照らし合わせて、最適な選択肢を検討する際の参考にしてください。

スタッフの業務負担軽減と離職防止

メリット デメリット
外注
  • 特定のスタッフへの業務集中を解消できる
  • 残業代を削減し、スタッフのワークライフバランスを改善できる
  • 専門スタッフを本来の業務に振り向けられる
  • 外注先との情報連携コストが発生する
  • 院内スタッフの業務範囲が狭まり、スキルアップの機会が減る可能性がある
内製化
  • 院内での業務が完結するため、情報共有がスムーズ
  • スタッフが育つことで、クリニック全体のレセプト知識が向上する
  • 特定のスタッフに業務が集中し、属人化リスクが高まる
  • 業務量が増加し、残業や精神的な負担が大きくなる
  • 新規スタッフの教育に時間とコストがかかる


在宅医療のレセプトは、外来診療と比較して複雑な算定ルールが多いため、医療事務スタッフの負担が非常に大きくなりがちです。特に経験の浅いスタッフにとって、正確なレセプト作成は大きなストレスとなります。外注はこの業務の負担を軽減し、離職を未然に防ぐ上で大きな効果を発揮します。

返戻・査定率の低減と収益安定化

メリット デメリット
外注
  • レセプトのプロによる正確な点検でミスを削減できる
  • 最新の診療報酬改定情報に基づいた対応ができる
  • 自院では見落としがちな算定漏れを防ぎ、収益を最大化できる
  • 自院の診療内容を外注先に正確に伝える必要がある
  • 外注先の業務品質によっては、返戻が増加するリスクがある
内製化
  • 診療内容とレセプト作成の連携が密になり、情報のズレが生じにくい
  • 査定・返戻の原因を詳細に分析し、今後の改善策に活かしやすい
  • 医療事務の専門知識不足が、そのまま返戻・査定リスクとなる
    診療報酬改定のたびに学習コストが発生する
  • 属人化している場合、担当者が変わると返戻率が上がる可能性がある


返戻や査定は、クリニックの収益を直接的に損なうだけでなく、経営計画にも大きな影響を与えます。特に在宅医療では算定項目が複雑で多岐にわたるため、ミスが発生しやすくなります。レセプト代行サービスはこれらの専門的な知識を豊富に持っており、返戻・査定を減らし、安定した経営基盤を築くことができます。

医師やスタッフが本来業務に専念できる環境構築

メリット デメリット
外注
  • レセプト業務から解放され、本来の業務に集中できる
  • 医師は診療計画や学会参加、スタッフは患者サービス向上に時間を割ける
  • 業務の効率化が図れ、生産性向上につながる
  • 患者情報や診療記録の共有に、セキュリティ上の注意が必要
  • 院内スタッフがレセプト業務を経験する機会が失われる
内製化
  • 診療から請求までの一貫した流れを院内で管理できる
  • レセプト業務を通じて、診療内容への理解が深まる
  • レセプト業務が膨大になると、医師やスタッフが本来の業務の時間を奪われる
  • 診療の合間や残業でレセプト業務を行うことになり、疲弊につながる
  • 多忙なあまり、レセプトの正確性が低下するリスクがある


医療機関の最大の使命は、患者さんに質の高い医療を提供することです。しかし、レセプト業務に多くの時間を費やしてしまうと、この使命を十分に果たせなくなります。外注は、医療従事者が本来の専門業務に集中できる環境を整え、クリニック全体のサービス品質を高めるための重要な投資といえます。

急な人材不足への備え

メリット デメリット
外注
  • 担当者が急に不在になっても、業務が停止しない
  • 人材採用・教育コストが削減できる
  • 経営のリスクを分散し、安定的な運営が可能になる
  • 緊急時の個別対応が難しい場合がある
  • 外注先への引き継ぎに時間がかかる
内製化
  • 急な対応が必要な際でも院内ですぐに対応できる
  • 引継ぎの際も院内で完結できる
  • 担当者の退職、休職が業務停止に直結するリスクがある
  • 人材採用や教育に莫大な時間とコストがかかる
  • 採用がうまくいかず、慢性的な人手不足に陥る可能性


医療機関では、特に医療事務スタッフの採用や定着が課題となることが多くあります。経験者の採用は難しく、未経験者の育成には時間と労力がかかります。また、突然の退職や休職は、日々のレセプト業務に大きな穴を空けます。外注はこのような人材リスクに備えるセーフティネットとしての役割を果たします。

レセプトのプロフェッショナルなノウハウ活用

メリット デメリット
外注
  • 外部の専門的な知識やノウハウを自院に還元できる
  • 最新の診療報酬改定情報を迅速かつ正確に把握できる
  • 第三者の視点で、自院のレセプト業務の問題点を発見できる
  • 自院の知識が蓄積しにくい
  • 外注先の業務品質に、自院の経営が左右されるリスクがある
内製化
  • 院内でレセプトのプロを育成できる
  • 診療内容とレセプトの関連性を深く理解できる
  • ノウハウの蓄積には時間とコストがかかる
  • 最新情報のキャッチアップや教育体制の構築に手間がかかる
  • 属人化により、そのノウハウが失われるリスクがある


レセプト業務は、診療報酬改定によって常に変化しています。その都度正確な情報をキャッチアップし、適切に業務に反映させるには専門的な知識が不可欠です。レセプト代行サービスは常に最新の情報を更新しており、その知識を自院のレセプトに活かすことができます。

在宅医療に特化したレセプト代行サービスという選択肢

在宅医療のレセプトは、外来診療に比べて複雑になりがちです。

これらの複雑な業務をすべて院内スタッフだけでこなすには、大きな負担がかかります。だからこそ、在宅医療の特性を深く理解したレセプト代行サービスを活用することが、経営安定化と医療の質向上につながります。

在宅医療専門のレセプト代行サービス「レセサポ」は、貴院のレセプト業務を正確かつ効率的にサポートします。レセプト業務の負担から解放され、本来の医療提供に集中できる環境を整えませんか?

お悩みやご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。貴院の課題解決に向けた最適なソリューションをご提案いたします。

この記事を書いた人

在宅医療カレッジ編集部

在宅医療に関わる方・これから始めたい方を応援する在宅医療の情報プラットフォーム「在宅医療カレッジ」編集部です。 「学ぶ」「働く」「役立つ」をテーマに在宅医療に関するあらゆる最新情報を配信しています。

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