地域在宅医療体制強化へ:2027年度計画策定に向けワーキンググループで議論本格化

  • #運営
地域在宅医療体制強化へ:2027年度計画策定に向けワーキンググループで議論本格化

概要

2025年9月24日、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(在宅WG)」が東京都内で開催され、2027年度から始まる新しい在宅医療整備計画を見据えた議論が始まりました。
地域の在宅医療提供体制の充実、医療・介護連携の強化、そして評価指標の見直しなどが主なテーマとして挙げられています。

今回のWG立ち上げは、現行の2024〜26年度計画がまさに最終局面を迎えており、次期計画の方向性を早期に固めておく意図が背景にあります。

在宅医療に特化した人材紹介サービス

在宅医療に求められる役割の明確化

地域の在宅医療体制を支えるためには、2つの重要な機能が求められます。
一つは、実際に患者の元へ訪問し、中心となって医療を提供する「在宅医療において積極的役割を担う医療機関」。
もう一つは、地域の多職種・多機関のスムーズな連携を支える「在宅医療に必要な連携を担う拠点」です。
現状は、これらの機関・拠点の機能や要件が必ずしも明確に定義されておらず、地域によって取り組みに差があるのが実情でした。
このため、今後の計画において、これらの機関や拠点が具体的にどのような機能を持ち、どのような要件を満たすべきなのかを整理し、明確化していくべきだという議論が進められています。
これにより、患者が地域で安心して療養生活を継続できる、切れ目のない支援体制の構築を目指します。

地域の実情に応じた「在宅医療圏」の柔軟な設定

都道府県が設定する「在宅医療圏」についても、より地域の実情に合わせた弾力的な運用が論点となっています。
例えば、医療資源が比較的豊富な都市部では「市町村単位」の狭い圏域を設定する一方で、医療資源の乏しい地域では「二次医療圏単位」など広域な圏域を設定するといった具体例が挙げられました。
地域ごとの特性に応じた圏域設定を可能にすることで、効率的かつ効果的な医療提供体制の構築が期待されます。

評価指標は「量」から「質」へ転換

これまでは診療所数や訪問回数といった「ストラクチャー(体制)」や「プロセス(過程)」に関する指標が中心でした。
今後は、「患者の満足度」「急変時の救急搬送件数の低減」といった、医療の「アウトカム(成果)」に着目した指標の重要性が強調されています。
これにより、在宅医療の質の向上を客観的に評価し、改善につなげていく狙いです。

まとめ

    • 2027年度からの新計画に向け、在宅医療において積極的役割を担う医療機関の役割明確化と、在宅医療に必要な連携を担う拠点の整理が進められています。
    • 地域の実情に応じた圏域設定が議論されています。
    • 評価指標の見直しでは、従来の量的指標に加え、アウトカム指標に着目されています。
      今後のワーキンググループでの議論を経て、各都道府県で具体的にどのような政策が進められていくのか、その動向が注目されます。

出典:厚生労働省「第1回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」


「医師の応募が来ない」「診療業務で忙しく採用業務まで手が回らない」
「訪問診療の採用ノウハウがない」
そんなお悩みはありませんか?

今なら無料で貴院周辺エリアの“採用市場調査”をしています。
全国で多数の訪問診療クリニックを展開する大手医療法人も導入している、実績ある調査サービスです。

  • 競合クリニックの給与水準や採用条件
  • エリアでアプローチ可能な潜在医師候補の数
  • 競合にはない、貴院だけの魅力やアピールポイント


\ お申し込みは1分で完了! /
 「採用市場調査を依頼する」フォームはこちらから

在宅医療に特化した採用市場調査無料受付中

関連記事

  • 訪問診療クリニックの医師採用を成功させる求人票の作り方|無料ダウンロード
    • 採用

    訪問診療クリニックの医師採用を成功させる求人票の作り方|無料ダウンロード

  • まちづくり系医師・井階友貴先生に聞く ――社会的処方と地域に根ざした医療のかたち
    • 在宅医療を学ぶ
    • 特集

    まちづくり系医師・井階友貴先生に聞く ――社会的処方と地域に根ざした医療のかたち

  • 後期研修なしで在宅へ進む医師たち 新たな可能性を秘める「直在」というキャリア
    • 在宅医療で働く
    • 転職

    後期研修なしで在宅へ進む医師たち 新たな可能性を秘める「直在」というキャリア

  • 医学部生の6割超が「大学病院以外での勤務」を希望|広がる「直在」医師という新たな選択肢
    • 業界ニュース
    • 制度

    医学部生の6割超が「大学病院以外での勤務」を希望|広がる「直在」医師という新たな選択肢

この記事を書いた人

在宅医療カレッジ編集部

在宅医療に関わる方・これから始めたい方を応援する在宅医療の情報プラットフォーム「在宅医療カレッジ」編集部です。 「学ぶ」「働く」「役立つ」をテーマに在宅医療に関するあらゆる最新情報を配信しています。

おすすめ記事

  • 長崎から東京へ。在宅医療との出会い かわかみ内科外科クリニック 川上悠介院長

    在宅医療を学ぶ

    長崎から東京へ。在宅医療との出会い かわかみ内科外科クリニック 川上悠介院長
  • 神津島で実践する「何でも診る」医療|神津島診療所 栗原 智先生

    在宅医療を学ぶ

    神津島で実践する「何でも診る」医療|神津島診療所 栗原 智先生
  • 2025年10月|人気資料|ダウンロードランキング

    在宅医療を学ぶ

    2025年10月|人気資料|ダウンロードランキング
  • 外来クリニックのための訪問診療スタートアップ講座 |【第6回】外来から訪問診療へ──地域に寄り添う医療のかたち たかねファミリークリニック・高根紘希先生インタビュー

    開業・運営に役立つ

    外来クリニックのための訪問診療スタートアップ講座 |【第6回】外来から訪問診療へ──地域に寄り添う医療のかたち たかねファミリークリニック・高根紘希先生インタビュー

新着お役立ち資料

  • 外来クリニックのための訪問診療スタートアップガイド|無料ダウンロード

    集患

    外来クリニックのための訪問診療スタートアップガイド|無料ダウンロード
  • 訪問診療医師の採用メソッド|無料ダウンロード

    診療品質

    訪問診療医師の採用メソッド|無料ダウンロード
  • 在宅療養支援病院届出のメリットとは|無料ダウンロード

    診療品質

    在宅療養支援病院届出のメリットとは|無料ダウンロード

「開業・運営に役立つ」の新着記事

  • 財務省、機能強化加算・外来管理加算の廃止を提案
    • 業界ニュース
    • 診療報酬

    財務省、機能強化加算・外来管理加算の廃止を提案

    • #制度
    • #運営
    • #診療報酬
  • 在宅医療におけるAI活用最前線:作業効率化から診療支援まで、医療現場はこう変わる
    • 開業・運営に役立つ
    • DX

    在宅医療におけるAI活用最前線:作業効率化から診療支援まで、医療現場はこう変わる

    • #開業
    • #運営
    • #DX
  • NPSで測る患者満足度調査!失敗しないアンケート項目の作り方
    • 開業・運営に役立つ
    • 品質

    NPSで測る患者満足度調査!失敗しないアンケート項目の作り方

    • #運営
    • #品質
  • 「介護保険施設」も慢性期の受け皿として検討へ 厚労省・新たな地域医療構想素案
    • 在宅医療を学ぶ
    • 制度

    「介護保険施設」も慢性期の受け皿として検討へ 厚労省・新たな地域医療構想素案

    • #制度
    • #運営

「運営」の新着記事

  • 在宅レセプトを外注する5つの目的とは? 内製化と比較するメリット・デメリット
    • 開業・運営に役立つ
    • 運営

    在宅レセプトを外注する5つの目的とは? 内製化と比較するメリット・デメリット

    • #運営
    • #診療報酬
  • 訪問診療クリニックの成長を支える事務長の役割と育成のポイント
    • 開業・運営に役立つ
    • 運営

    訪問診療クリニックの成長を支える事務長の役割と育成のポイント

    • #運営
    • #育成
  • 在宅医療における応召義務の実際:法的解釈から現場での対応まで
    • 開業・運営に役立つ
    • 運営

    在宅医療における応召義務の実際:法的解釈から現場での対応まで

    • #運営
    • #開業
  • 在宅医療クリニックのオンコール体制とは?持続可能な体制構築のポイント
    • 開業・運営に役立つ
    • 運営

    在宅医療クリニックのオンコール体制とは?持続可能な体制構築のポイント

    • #運営
    • #品質