誤嚥性肺炎の歴史
- #疾患別
高齢化がますます進み、誤嚥性肺炎についての現場での悩みはつきません。
誤嚥性肺炎について、歴史から現場でのマネジメントまで解説いたします。(こちらは「歴史」編です)
※こちらの記事は在宅医療従事者のための動画プラットフォーム「peer study 在宅医療カレッジ」のプレミアムセミナーの内容の一部を公開したものです。
講師
医療法人愛仁会 明石医療センター
官澤 洋平
チャプター
- 誤嚥性肺炎の歴史 過去
- 誤嚥性肺炎の歴史 近代から現代
誤嚥性肺炎の歴史(過去)
まずは誤嚥性肺炎の歴史から振り返ってみましょう。
みなさん、誤嚥性肺炎をイメージしたときにどのような像を思い描くでしょうか?
こちらの図を御覧ください。
時間軸についても急性から慢性までがありますし、重症度も変わってきます。
このように誤嚥性肺炎は疾患のグラデーションが広く、その時に対象としている誤嚥性肺炎がどのあたりに位置しているのかを意識するのが大事になってきます。
では歴史を遡ってみましょう。
時は遡ること紀元前古代ギリシャ。
アナクレオンという古代ギリシャの詩人がぶどうの種を誤嚥してしまったということが史実で残っています。これが私が調べた限りで一番古いエピソードです。
次のエピソードは18世紀。このころには「ランセット」が発売されていて、ここでケースが記載されています。少女が窒息して亡くなっていることが1948年に発表されている。これが論文の中では一番古いエピソードになります。クロロホルムによる全身麻酔が広がった2か月後に起きたエピソードでした。
次は1940年代です。メンデルソン症候群がメンデルソンによって報告されました。初めて症例で報告されたのが出産中の全身麻酔下での誤嚥で66例の報告がまとめられていました。
次に1970年代まで来ると誤嚥性肺炎に対する多角的なマネジメントが図示されています。
この頃には炎症に対してステロイドが試みられていたことがわかります。
そしてこの頃から原因微生物・予防的抗菌薬について言及が登場してきます。
1980年代になるとみなさんがイメージされているような誤嚥性肺炎の像が見えてきます。