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財務省は2026年度の診療報酬改定に向けて、診療所を対象とした「機能強化加算」と「外来管理加算」を廃止または見直すべきだと提言しました。今回の見直し案により、在宅医療を行うクリニックの報酬や評価にも影響が及ぶ可能性があります。
診療所と薬局の「報酬適正化」を強調
11月に開かれた財政制度等審議会(財政審)で、財務省は診療所や薬局を対象に報酬の「適正化」を進めるべきだと主張しました。その中で特に焦点となったのが、「機能強化加算」と「外来管理加算」の廃止です。
財務省は、医療費の伸びが経済成長を上回り、現役世代の保険料負担が重くなっている現状を指摘。病院に比べて利益率が高いとされる診療所については、「経営の安定度が高く、報酬の重点配分先とは言い難い」と説明しています。これを背景に、加算によって上乗せされている報酬を見直し、支出抑制を図る考えを示しました。またこれらの加算について「実態に対して過剰な評価となっている」として、廃止や要件の大幅見直しを求めました。
現場からは「一律な見直しに懸念」の声
こうした提案に対して、医療現場からは懸念の声も上がっています。日本医師会は「診療所の経常利益率は地域や診療科によって大きく異なり、在宅医療を行う診療所では人件費や移動コストの負担が重い」と指摘しています。報酬の一律な引き下げは、地域医療や在宅医療の継続に悪影響を及ぼすおそれがあるとの見方も出ています。
一方で、財務省が強調する「かかりつけ医機能の明確化」は、在宅医療にとって評価を高める機会にもなり得ます。患者の生活背景を理解し、継続的に支える在宅医療は、まさにかかりつけ医の本質を体現しているためです。制度改定の方向性次第では、在宅医療を担う診療所がより高く評価される可能性もあります。
今後の議論
財務省の提案は、年末の「建議」としてまとめられたうえで、厚生労働省との間で本格的な議論が進む見通しです。最終的な改定内容は2026年度の診療報酬改定で決定される予定ですが、今回の提言はその方向性を定めるうえで大きな意味を持ちます。
在宅医療の現場にとっては、今後「かかりつけ医機能」をどのように示し、報酬上の評価につなげていくかが重要な課題となります。制度改定の結果によっては、訪問診療や多職種連携の在り方、さらには請求や報告に関わる業務にも影響が及ぶ可能性があります。今後の議論の動向を注視し、早めに情報収集と体制整備を進めておくことが求められます。









