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訪問診療では、患者様とご家族との信頼関係がそのまま事業の継続性につながります。しかし、日々の手応えだけでは、満足度の実態や改善すべき点を正確に把握することはできません。そこで役立つのが、ロイヤルティを数値化できるNPS(ネット・プロモーター・スコア)による患者満足度調査です。本記事では、訪問診療にこの調査が必要とされる理由と、改善につながるアンケート設計の考え方を解説します。
なぜ訪問診療で患者満足度調査が必要か
訪問診療において患者様とそのご家族との信頼関係は、事業の安定した継続に不可欠なものです。生活の場に入り込む在宅医療では、提供する医療サービスだけでなく、スタッフの態度や緊急時の対応といった業務のすべてが評価の対象となります。
訪問診療の利用者は、クリニックを選ぶ際口コミや紹介に頼ることが多く、ロイヤルティ(サービスに対する信頼・愛着)の高さが直接事業成長につながります。しかし、「なんとなく満足しているだろう」という感覚的な評価では、自院の真の強みや、改善すべき弱点を特定できません。
そこで重要となるのが、ロイヤルティを数値化する指標、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を用いた患者満足度調査です。
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NPS(ネット・プロモーター・スコア)とは?
NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、「あなたは当サービスをご友人や知人にどの程度すすめたいですか」という質問に対し、0〜10の11段階で推奨意向を尋ねることでロイヤルティを測る指標です。
NPSが単なる「満足度」と異なるのは、「他人に薦める」という責任を伴う行動を聞く点にあります。この質問により、真にロイヤルティが高い患者様(推奨者)がどの程度いるのかを把握することができます。
NPSの回答者分類
| スコア | グループ名 | 役割 |
| 9〜10点 | 推奨者 | サービスに愛着を持ち、積極的に他者に薦めてくれるロイヤルティの高い顧客。 |
| 7〜8点 | 中立者 | 満足はしているが、熱狂的な支持には至らない顧客。 |
| 0〜6点 | 批判者 | サービスに不満を持ち、ネガティブな口コミを広げる可能性のある顧客。 |
NPSは、「推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)」で算出されます。このスコアを改善するためには、次項で解説する「患者様の体験」に沿った詳細なアンケート項目で、推奨度への影響が強い要因を特定する必要があります。
訪問診療のアンケート項目設計の3つの切り口
訪問診療のアンケート項目は、単に「満足していますか?」と聞くだけでなく、患者様やご家族がクリニックと関わるすべての「体験場面」に沿って設計することで、具体的な改善ポイントが明確になります。
理想的な質問票は、回答者の負担にならない設問数のシンプルな設計にすることが重要です。
診療サービス開始前(初回接点)の質問項目
初めての訪問診療への依頼は、大きな不安を抱えている状況でなされることが多く、最初の対応がロイヤルティに強く影響します。
| 設問例 | 調査項目 |
| 設問1 | スタッフの対応は丁寧でしたか。 |
| 設問2 | 訪問診療や緊急時の対応などに関する説明はわかりやすく、あなたの知りたいことを知ることができましたか。 |
| 設問3 | 説明を受けた時に渡された資料はわかりやすかったですか。 |
| 設問4 | 訪問診療の依頼をしてから、受け入れ可否の返答は迅速に行われていたと感じますか。 |
定期診療についての質問項目
継続的な信頼関係の構築に欠かせない、日々のコミュニケーションの質を測ります。
| 設問例 | 調査項目 |
| 設問6 | 話しやすい雰囲気だと感じますか 。 |
| 設問7 | あなたの希望・要望を踏まえた療養方針を提案し、詳しい説明をしてくれますか。 |
| 設問8 | あなたが心配していることについて話す時間を十分にとっていますか。 |
複数の医師による診療についての質問項目
24時間体制を支えるチーム医療において、医師間の連携の質と、それに対する患者様側の安心感を評価します。
| 設問例 | 調査項目 |
| 設問10 | その際の医師の電話対応によって、あなたの不安はなくなりましたか。 |
| 設問11 | その際の医師の臨時往診によって、あなたの不安はなくなりましたか。 |
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まとめ:NPS調査を改善活動に活かす
質の高いアンケート項目は、NPSスコアの裏側にある具体的な改善ポイントを浮かび上がらせるための設計図です。
訪問診療の満足度向上を目指す上で重要なのは、以下の3点を押さえることです。
- NPSでクリニック全体のロイヤルティを把握する。
- 詳細な設問で、その点数に影響を与えている具体的な体験の場面を特定する。
- 自由記述コメント(「その点数をつけた理由」)から、改善活動のヒントを得る。
この調査結果を分析し、「推奨度への影響度」と「満足度」を組み合わせることで、どの項目から優先的に改善すべきかが明確になります。
NPS調査は「やって終わり」ではなく、「結果を改善に活かすPDCAサイクル」こそが重要です。Okitell365は、訪問診療に特化したサポートにより、貴院がこの調査の実施・分析、そして導き出された改善活動に集中できる体制を構築します。
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※)株式会社Qlife,「患者満足度調査」診療所での実施実態に関する調査結果報告書
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