- #開業

訪問診療クリニックでの電子カルテ選びは非常に重要なポイントです。なぜなら在宅医療・訪問診療向けの電子カルテは、訪問診療に特化した機能が非常に充実しており、業務効率化・作業量削減が見込めるからです。
- 訪問診療クリニックの新規開業で電子カルテを探している
- 訪問診療の割合が大きくなり、外来カルテでの使い勝手が悪い
- 紙カルテから電子カルテに移行したい
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
高まる在宅医療・訪問診療のニーズ
超高齢化社会に突入した昨今、地域医療の重要性は年々増加しています。
人生の最期を自宅で過ごしたいと希望される方も多く、在宅医療・訪問診療のニーズはさらに増えていくでしょう。

そうした背景から、訪問診療クリニックを開業する、外来で診療していた患者さんの希望で在宅医療を開始するというクリニックも多いのではないでしょうか。
2024年度の診療報酬改定でも、在宅医療を充実させる施策が進められており、在宅医療の質を高める評価が見直されています。
その中の1つに【在宅医療におけるICTを用いた連携の推進】があります。ICTを利用した多職種間の情報共有や連携に関しての評価が新設されました。在宅医療・訪問診療カルテはICTを利用した多職種間の連携には非常に有用であり、今後取り組むべき医療DXにも重要な役割を担うでしょう。

在宅医療・訪問診療向けカルテとは?
在宅医療・訪問診療向けカルテはその名のとおり、在宅医療や訪問診療での便利な機能やデバイスを兼ね備えている電子カルテです。ここからは、在宅医療・訪問診療向けカルテの特徴やメリットについて紹介します。
外来カルテとの違い
これまで外来クリニックにおける電子カルテはオンプレミス型のものが多かったのですが、在宅医療・訪問診療向けカルテはクラウド型カルテを導入しているクリニックが多いのが特徴です。
クラウド型電子カルテにすると、患者さんの自宅や施設など、場所を選ばずに様々なデバイスからアクセスが可能となります。
クラウド型電子カルテはオンプレミス型のカルテと比較して、セキュリティ面が気になる、という方もいらっしゃるかもしれませんが、以下のガイドラインに沿った運用を行えば、セキュリティ上の問題に差はありません。厚生労働省・総務省・経済産業省で制定されている2つのガイドライン*に準ずるシステムを選択することが重要となります。
厚生労働省|医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版(令和5年5月)
経済産業省|医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン
外来診療と訪問診療で業務上の大きな違いは作成する医事文書書類の多さです。外来向けカルテではその様式が不足していたり、テンプレートがないなどの状況によって書類作成負担が大きくなりがちですが、在宅医療・訪問診療向けの専用電子カルテを使用することにより、入力作業や書類作成などの時間が短縮され、作業量が軽減します。
その分、患者さんの診療にしっかりと時間を費やすことができます。患者さんの満足度の向上にもつながるでしょう。
指示書や処方箋発行、多職種との連携も即時にできるため、スピーディな対応が可能となります。
在宅医療・訪問診療向けカルテを導入するメリット4選
ここからは在宅医療・訪問診療向けカルテを導入するメリットについて具体的な機能を紹介していきます。
書類作成機能が充実
在宅医療・訪問診療の現場では、通常の外来に比べて作成する書類の量が非常に多くなります。主な書類として
- 在宅療養計画書
- 訪問看護指示書などの各指示書
- 診療情報提供書
- 主治医意見書
- 紹介状
などがあります。在宅医療・訪問診療向け電子カルテでは、これらの書式フォーマットや定型文が搭載されているものから、AI機能を使って診療情報から自動作成する機能を搭載しているものもあります。
訪問診療スケジュール管理機能
訪問診療スケジュール管理機能は、効率的に患者宅や施設を訪問するために役立ちます。訪問スケジュールを関わるスタッフ全員で共有でき、事前準備や当日の行動もスムーズになります。
スケジュール機能に付随して様々な便利な機能を各社揃えているので、自身のクリニックにより合うものを選ぶようにしましょう。
定期的に訪問する患者さんのスケジュールを自動で作成してくれ、即時共有できる機能や、スケジュールに沿って訪問先までのルート設定機能を持つものもあります。
クラウド型カルテによる訪問先でのスムーズな作業
クラウド型カルテでは、ノートパソコンはもちろん、タブレットやスマートフォンでもカルテ閲覧・入力が可能です。
タブレットやスマートフォンを使用すれば、訪問先での患者さんの患部をその場で撮影してカルテに保管することも可能です。
移動時間にカルテ入力や書類作成することもできるので、訪問診療で大きく時間を費やしてしまう移動時間が無駄になりません。
様々な場所から同時にカルテ閲覧、入力することも可能なので、現場のカルテをクリニックで確認してもらい、相談したり指示をもらったりすることもできます。
電子カルテ内で多職種連携・情報共有
在宅医療・訪問診療向け電子カルテでは、連携する職種や機関と一部電子カルテを共有することにより、即時的な情報共有が可能となる機能が搭載されています。
クリニック内はもちろん、訪問看護ステーションやケアマネージャーなどと情報を共有したり、お互いに行った手技や処置を連絡し合うこともできます。
在宅医療・訪問診療向け電子カルテおすすめ6選
homis(メディカルインフォマティクス株式会社)
homisは、単なる電子カルテではなく、訪問診療の業務効率を劇的に改善し、医療の質と経営の安定化までを視野に入れた、現場発想のクラウド型電子カルテシステムです。
>>詳しくはこちら
在宅医療のトップランナーである医療法人社団悠翔会の佐々木淳理事長が開発協力
医療法人社団悠翔会の佐々木淳理事長が開発協力しています。。
多くの患者を抱え、多職種連携を実践する大規模クリニックのノウハウが随所に反映されています。日々現場で発生する課題やニーズに基づき設計されているため、実践的で「使える」機能が満載です。
AI搭載!書類作成を「ワンクリック」で効率化
診療情報や過去のカルテ内容をAIが解析し、手間のかかる「主治医意見書」などの書類がワンクリックで作成可能です。これにより、作成時間を大幅に短縮できます。
ORCA連携やレセ代行プランで「開業時も安心」
新規開業やシステム移行の際の不安を解消する、手厚いサポート体制が整っています。
homisは日医標準レセプトソフト「ORCA」と連携しています。運営元のメディカルインフォマティクス株式会社は日医IT認定サポート事業所であるため、homisの導入からORCAの導入・運用サポートまで、窓口一つで完結します。別々の業者に問い合わせる手間がなく、導入・運用コストを大幅に削減できます。
また、在宅医療の煩雑なレセプト業務を専門スタッフに委託できる「レセ代行プラン」も用意されています。これにより、特に新規開業時など、スタッフが不慣れな時期でも安心して診療に集中できます。
そして開業や運営に関する総合的なサポートデスクも用意されており、システムのことだけでなく、クリニック運営全般の相談が可能です。
homisは、AIによる徹底的な業務効率化、医療安全の確保、そして手厚いサポート体制を兼ね備えることで、医師やスタッフが本来の業務である「患者と向き合う時間」を創出することを目指した電子カルテです。
特に、新規開業を目指すクリニックから、さらなる業務効率化と医療の質向上を求める中・大規模のクリニックまで、幅広いニーズに応えることができる強力なツールと言えるでしょう。
モバカルネット(NTTプレシジョンメディシン株式会社)
出展: https://movacal.net/
在宅医療に特化したクラウド型電子カルテです。
テンプレートや定型文、豊富なシェーマなど、記録入力をサポートする機能が充実しています。
また、60種類以上の医事文書を自動で作成できるほか、インターネットFAX送信、スケジュール管理、訪問先の地図表示など、在宅医療に必要な機能を一つに集約。
さらにチャット機能を活用すれば、スマートフォンからSNS感覚でスタッフ間の情報共有もスムーズに行えます。
>>詳しくはこちら
セコムOWEL(セコム医療システム株式会社)

iPadやAndroidタブレットに対応し、外出先でもスムーズに利用できます。
医療文書の自動作成機能に加え、往診スケジュールの作成や施設ごとの請求書発行、FAX送信、タスク管理など、在宅診療に必要な業務を幅広くサポートします。
>>詳しくはこちら
エムスリーデジカル(エムスリーデジカル株式会社)

iPadアプリによるカルテ入力やオーダー操作が快適に行える、クラウド型電子カルテです。
Mac・Windowsの両方に対応し、台数制限もなく、インターネット環境があれば自宅や往診先でも利用可能。
クラウド上で自動バックアップが行われるため、災害時にも安心です。
診療報酬改定や新薬追加などにも自動で対応し、別途改修費が発生することはありません。
AIによる自動学習機能により、使用頻度の高い処置やオーダーを把握し、次回からは自動でサジェスト。
カルテ作成やオーダー入力の手間を大幅に軽減できます。
>>詳しくはこちら
Medicom-HRf Hybrid Cloud(ウィーメックス株式会社)

在宅医療に精通した担当者が、訪問診療に最適な形にカスタマイズして導入をサポートします。
カルテ情報を更新すれば、文書にも自動で反映される仕組みのため、作成済みの文書をコピーした場合でも内容は自動で最新化。手間を省き、入力ミスの防止にもつながります。
また、患者ごとの課題を一覧で整理できる機能や、ACP(人生会議)・看護師のメモなどの情報も記録・管理可能。
訪問診療の現場で求められる、実用的できめ細かな機能がそろっています。
>>詳しくはこちら
CLIUS(株式会社DONUTS)

また、診療科や診療スタイルを問わず柔軟に対応できるのも特長です。個々の医療機関に応じた機器連携やシステムの提案も積極的に行っており、現場に最適な環境づくりをサポートします。
>>詳しくはこちら
まとめ
在宅医療・訪問診療向けカルテはクリニックを経営するにあたり、非常に重要なツールです。
機能的な電子カルテを選択することにより大きなメリットがあります。
- 医師のカルテ記入、書類作成の時間を短縮し、患者さんの診療により専念できる
- 効率的に患者さんを訪問できる
- 多職種が電子カルテで即時にお互いの指示や行動を把握・共有でき、迅速に対応できる
- 保険請求業務などの事務業務を効率化できる
在宅医療・訪問診療向けカルテを選ぶときにチェックするポイントをまとめました。
- 使用するデバイスの確認:ノートパソコン・タブレット・スマートフォンなど。オフライン機能の有無
- 書類作成機能:訪問診療で必要な書類のフォーマットや自動作成の機能が充実しているか
- スケジュール管理や多職種連携、タイムライン機能:自身のクリニックで使いやすい設計となっているか
- レセコンとの連携:電子カルテと医科レセプトや介護レセプトとの連携はできるか
- セキュリティやサポート:3省2ガイドラインに準じているか。サポート体制は整っているか
上記のポイントを在宅医療・訪問診療向け電子カルテを選ぶ際の参考にしていただき、ぜひご自身のクリニックにマッチした電子カルテを探してみてください。