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訪問診療専門経営コンサルタントに聞く!在宅医療の未来を支えるアウトソーシングサービスの活用術

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訪問診療専門経営コンサルタントに聞く!在宅医療の未来を支えるアウトソーシングサービスの活用術

在宅医療の需要が高まる一方で、訪問診療クリニックが直面する課題は多岐にわたります。
人手不足や診療報酬の減少にどう対応していくのか——
これらの課題を解決する手段として注目されるのが、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスです。

今回は、在宅医療のBPOサービスを提供するメディカルインフォマティクス株式会社の在宅医療専門経営コンサルタントに、訪問診療クリニックにおけるBPOサービスの活用術について伺いました。

訪問診療クリニックが直面する2つの大きな課題

ー訪問診療クリニックが抱えている課題について教えてください。

多くの訪問診療クリニックが直面している課題のひとつに「人手不足」があります。
ご存じのとおり、日本全体の労働力人口は減少している中、その影響は医療業界にも及んでいます。医師だけでなく、医療事務スタッフの採用も難しく、安定した人材確保に悩んでいるクリニックは多いかと思います。

もうひとつの課題として挙げられるのが「診療報酬の引き下げ」です。
日本の医療費は2040年まで増加し続けると予測されており、医療費適正化の取り組みが進んでいます。
他の診療科と同様に、訪問診療クリニックも診療報酬の引き下げの問題に直面しており、収益を維持するためにはより多くの診療件数をこなす必要があります。
そのためには業務の効率化が不可欠で、効率化が進まなければ収益の減少に直結してしまうのが現状です。

こうした「人手不足」と「診療報酬の引き下げ」という2つの課題に、どのように対処していくかが、訪問診療クリニックにとって重要なポイントとなってくるのではないかと考えています。

ーおっしゃるとおり、医療業界全体で人手不足というのは大きな課題かと思います。その中でも訪問診療クリニックにおける人材確保の難しさにはどのような特徴がありますか?

訪問診療クリニックの場合は、365日24時間の対応が求められるため、働き手の確保がさらに難しくなっています。
また、在宅医療は多職種連携が欠かせません。地域のさまざまなステークホルダーとの関係を良好に築くことが、クリニックの経営には求められます。

単に医療に携わりたいというだけでなく、地域の関係機関の方々と密接に関わりながら働きたいと考える人材を採用しなければならない点が、一般のクリニックとは異なる難しさだと感じています。

課題解決のためのポイントは「幅広い選択肢をもつこと」

ー人手不足や診療報酬の引き下げなどの課題を解決するためのポイントがあれば教えてください。

「これをやれば全ての課題が解決できます」と一概には言えないのですが、経営者が人材採用や業務効率化に関する”引き出し”を多く持ち、その中から最適な手段を選べるようになることが必要だと考えています。

たとえば、人材採用ひとつとっても、求人広告や人材紹介会社の利用、スカウト、派遣会社の活用など、さまざまな方法があります。

これらの選択肢にはそれぞれメリットとデメリットがあり、それを正しく理解したうえで、クリニックの状況に応じた最適な方法を選択することが求められます。

しかし、医療に精通した先生方でも、人材マネジメントや経営に関する幅広い選択肢を把握し、適切な判断を行うのは容易ではありません。
そこで、弊社のようなBPOサービスを提供する企業を活用し、客観的な情報をもとに適切な選択をしていただくことが、課題解決のポイントになると考えています。

― クリニックの経営に必要な情報を収集する際には、どのようなことを意識すると良いでしょうか? 

偏りなく多方面から情報を集めることがポイントだと考えています。信頼できる同業の方などからの情報収集も非常に有益ですが、弊社のようなBPOサービスを提供する企業のコンサルティングを活用するのもひとつの方法です。
弊社は、メディカル・サービス法人として数多くの医療機関の経営に携わってきた実績がありますので、フラットな視点であらゆる選択肢のメリットとデメリットをお伝えすることができると考えています。
BPOサービスのプロダクトのほかにも、コンサルティングサービスも行っておりますので、ぜひご活用いただければと思います。

BPOサービスの導入により業務効率化が進み、診療の質の向上へ

― 在宅医療におけるBPOサービスにはどのような種類がありますか?またどのようなメリットがあるか教えてください。

レセプト作成や請求業務などの医療事務関連のものから、電子カルテの入力代行やオンコール代行など、さまざまなサービスがあります。
当社でも、訪問診療クリニック向けにさまざまなBPOサービスを提供しています。たとえば『Okitell365』という在宅医療専門の電話対応の代行サービスでは、365日24時間、患者さまからの受電対応を行い、内容の緊急度に応じてクリニックへ報告するなど、クリニックの業務負担を大幅に軽減することができます。

ほかにも、『レセサポ』という在宅医療専門のレセプト業務の代行サービスも提供しています。これは医療事務の経験豊富で高い知識を持つスタッフが、クリニックの算定業務や請求業務をサポートするもので、医療事務の採用に関して課題を抱えているクリニックにとって、非常に役立つサービスです。

また、地域は限定されますが当直代行サービスや、医師や看護師の採用を支援する採用代行サービスも展開しています。

―BPOサービスを導入することで期待できる効果について教えてください。

BPOサービスの導入により期待できる効果として、大きく「人手不足の解消」と「業務効率化」の2点が挙げられます。
まず、「人手不足の解消」についてですが、レセプト業務や電話対応業務のBPOサービスを導入することで、高い専門的なスキルをもつ外部のスタッフに委託することができます。そのため、自院での採用活動や教育の負担を軽減することが可能になります。
次に、「業務効率化」についてです。レセプト業務や電話対応業務にかかる時間を大幅に削減し、業務の効率化を図ることができ、診療業務に集中できる環境が整います。
その結果、より多くの患者さまに対応することができ、診療の質が向上するとともに、診療件数の増加や患者さまへのサービス向上も期待できます。

開業時のコスト削減から業務負担軽減まで、規模に応じたBPOサービスの活用術

― ありがとうございます。最後に、BPOサービスをうまく活用するためのポイントを教えていただけますか?

クリニックの規模によってBPOサービスの活用方法は異なりますが、生産性の向上、業務効率化、不足するリソースを補うという目的は変わりません。
その中で、小規模なクリニックでは、とくにコストカットの面でのメリットが大きいでしょう。たとえば、クリニックを開業する際に、人件費などの初期費用や固定費用を抑えたいという場合には、必要な分だけBPOサービスを利用するという活用方法が効果的です。
一方で、規模の大きいクリニックでは、業務効率化のメリットがより顕著になります。患者数が300名以上の大規模なクリニックでは、医療事務員を複数名必要とするため、採用業務や欠員があった場合の業務負担が増大します。
BPOサービスをうまく活用することで、スタッフの負担を軽減し、診療に集中できる環境を整えることが期待できます。

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この記事を書いた人

一坊寺 唯

医療ライター・コンテンツディレクター/Cuddle Writing(カドルライティング)代表。大学卒業後、ヘルスケア関連企業にて企画職に従事。2019年にフリーランスWebライターとして独立し、医療・健康ジャンルを中心に多数メディアの記事制作を手がける。「信頼できる医療・健康情報を通じて、ヘルスリテラシーを向上させる」というミッションのもと、医療系記事制作チームCuddle Writingを運営。

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