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訪問診療・訪問看護の採用競争が激化する中、カギとなるのが「給与以外の魅力」です。
しかし、その魅力をどう見つけ、どう候補者に伝えればいいのでしょうか。
今回は、訪問診療と訪問看護の採用を専門とするコンサルタントに、多くのクリニックやステーションが陥りがちな課題から、それを乗り越えるための具体的なノウハウまで詳しく伺いました。
この記事を読めば、以下のことが分かります。
- なぜ今、医師や看護師は「給与以外」を重視するのか
- 給与以外の魅力を発見する具体的な方法
- 求人票や面接で、その魅力を効果的に伝えるためのコツ
採用のプロだからこそ語れる知見を基に、明日から実践できるポイントを分かりやすくご紹介します。
給与や待遇だけでは医師・看護師の採用は難しい?
ーーまず、現在の訪問診療クリニックや訪問看護ステーションの採用市場について、採用コンサルタントとしてどのようにお考えでしょうか?給与や待遇だけでは、なぜ採用が難しくなっているのでしょうか?
現在の医療業界、特に医師や看護師の採用市場は売り手市場です。
多くのクリニックや訪問看護が人材を求める中で、給与水準に大きな差がなくなりつつあります。
そのため、候補者は単純な給与額だけで就職先を選ぶのではなく、自身が大切にしたい働き方や、働きやすい環境を重視する傾向が強まっています。
具体的には、以下のような点が新たな判断基準となっています。
- 残業の少なさや、時短勤務への柔軟な対応
- スキルアップを支援する勉強会の定期的な開催や学会への補助
- 一人ひとりの患者に向き合える、忙しすぎない訪問件数
- (訪問診療クリニックであれば)医師向けの送迎の有無
- (訪問診療クリニックであれば)未経験者でも安心な、複数の常勤医がいる体制
このような状況下で、給与以外の魅力を伝えられないクリニックや訪問看護は、採用競争で後れを取ってしまう可能性があります。
ーー実際に「給与以外の魅力」をうまく伝えられているクリニックや訪問看護ステーションでは、採用にどのような良い変化が起きていますか?具体的な事例があれば、ぜひお聞かせください。
給与以外の魅力を効果的にアピールし、採用に成功している事例は数多くあります。
専門性を「学べる環境」としてアピールしたケース
あるクリニックでは、小児在宅医療に精通した院長の専門性を前面に押し出しました。
求人票に具体的な症例などを記載し、「未経験からでも専門知識を学べる環境」をアピールした結果、意欲の高い人材の採用に成功しました。
柔軟な勤務体制で魅力を伝えたケース
別の訪問看護ステーションでは、給与が市場平均より高くはないものの、個々の事情に合わせた柔軟な勤務シフト調整が可能であることを強調し、採用に成功した事例があります。
「相談しやすい環境」が決め手となったケース
勉強会の開催や、複数の常勤医がいることによる「何かあってもすぐに相談できる安心感」を伝えることで、候補者に選ばれたクリニックもあります。
"働く魅力"発見のために、まず何から始めるべきか?
ーー日々の診療で多忙な院長先生が、自院の魅力を洗い出すための「最初の一歩」は何でしょうか?また、スタッフから本音を引き出すためのヒアリングの極意を教えてください。
院長先生が明日からできる「最初の一歩」は、「スタッフの声に耳を傾けること」です。
院長自身が気づいていない魅力を発見するためには、現在働いているスタッフからのヒアリングが最も効果的です。
ヒアリングの際は、以下のような質問を投げかけてみてください。
「なぜ、うちのクリニック/訪問看護ステーションに入職してくれたのですか?」
「転職を考えたきっかけは何でしたか?」
「実際に働いてみて、どんな点にやりがいや働きやすさを感じますか?」
「客観的に見て、ここはどんな雰囲気の職場だと思いますか?」
より率直な意見を集めるためには、Googleフォームなどを活用した匿名のアンケート調査も有効です。
集まった声は、そのままではなく、候補者に伝わるよう分かりやすい言葉に変換して求人票や採用資料に反映させることが重要です。
ーー競合の分析も重要とのことですが、多忙な院長が効率的に競合を分析するには、求人票やWebサイトのどこに注目すべきでしょうか?
自院の魅力を相対的に把握するためには、競合の分析が欠かせません。
やみくもに情報を見るのではなく、以下のポイントに絞って確認することをお勧めします。
仕事内容と働きやすさ:
まずは訪問件数、看護師の同行体制、対応症例、(訪問看護ステーションであれば)リハビリ職の有無といった具体的な仕事内容を比較し、「働きがい」や「働きやすさ」の違いを見つけます。
その上で、給与水準が市場においてどの位置にあるかを確認することで、自院がアピールすべき「給与以外の魅力」の重要度を測ります。
診療体制:
クリニック全体の規模感だけでなく、医師や看護師の人数や、居宅と施設の訪問割合などを確認します。
求人の見せ方:
競合がどのような言葉で自院の魅力を伝えているかを見ることで、自院の求人票作成のヒントが得られます。
見つけた魅力を「伝わる言葉」にする方法
ーー見つけた「自院の魅力」を、候補者の心を動かす言葉として求人票に記載する際に、工夫されているポイントは何ですか?
求人票を作成する上で最も重要なのは、「ペルソナ設計」です。
「どのような経験や価値観を持った人に来てほしいのか」という求める人物像を、具体的に一人の人間として描き出すことが成功のカギとなります。
例えば、スキルや経験年数だけでなく、「どんな性格で」「転職において何を重視し」「どんな働き方を求めているのか」といった内面まで深掘りして設定します。
ターゲットをここまで明確にすることで、誰にでも当てはまる当たり障りのないメッセージではなく、そのたった一人に「これは自分のための求人だ」と感じてもらえるような、心に届く情報を盛り込めるようになります。
※ペルソナ設計の具体的なステップや、設定すべき項目についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの資料もぜひご覧ください。
>>「訪問診療クリニックの医師採用を成功させる求人票の作り方」
ーー面接の場で、候補者に「このクリニック/訪問看護ステーションで働きたい」と強く感じてもらうために、院長先生や管理者はどのようなコミュニケーションを心がけるべきでしょうか?
面接は、クリニック/訪問看護ステーションが候補者を選ぶ場であると同時に、「候補者から選ばれる側」でもあるという意識を持つことが非常に重要です。
特に訪問看護師の採用では、この視点がまだ薄い傾向が見られます。
まず、理念や大切にしていること、具体的な仕事内容を丁寧に説明する時間を取りましょう。
院長先生や管理者ご自身の言葉で、ビジョンや想いを伝えることが大切です。
その上で、一方的な質疑応答に進むのではなく、まずはクリニック/訪問看護ステーション側から自己紹介をし、候補者がリラックスして話せる雰囲気を作ることが重要です。
そして、候補者の話にじっくりと耳を傾け、お互いの理解を深めるための「ディスカッション」の場として面接を進めることをお勧めします。
候補者との対話を通じて、お互いが「ここで一緒に働きたいか」を誠実に見極めることが、入職後のミスマッチを防ぎ、長期的な活躍につながります。
まとめ
ーー本日お伺いしたような"働く魅力"の発見から、それを伝わる言葉にしていくプロセス全体を、専門家として伴走支援されているのがmics採用支援サービス、という認識でよろしいでしょうか?
はい、その通りです。
給与以外の"働く魅力"の発見から、求人票の作成、面接の改善まで、採用活動全体を専門家として、まるっとご支援することが可能です。
お困りの際は、ぜひご相談ください。