標準型電子カルテとは?訪問診療クリニックが知っておきたいポイントを解説
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「標準型電子カルテってなに?」
これから電子カルテを導入しようとしている方は「標準型電子カルテ」という言葉を耳にした方も多いのではないでしょうか。
本記事では、標準型電子カルテの概要と在宅医療への対応の見通しについて解説します。
これから電子カルテの導入や乗り換えを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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標準型電子カルテの概要
本カルテは、民間事業者が各施設のニーズに応えられるオプション機能を提供できるようなクラウド型のシステムを想定しています。
現状の問題点として挙げられるのが、情報共有のためのベンダー技術仕様やデータ格納形式が統一されていない点です。仕様が統一されていないことで、メーカー間で情報の送付・受取りがスムーズにいかない点が問題視されてきました。
そこで今後は、HL7 FHIRと呼ばれるアプリケーション連携がしやすい形式の採用や、検査・処方・病名などを標準コードから実装するといった試みが検討されています。
また、クラウド型のシステムを構築することで、安全かつ低額・高速に情報を取り扱うことができるよう標準型電子カルテの開発が進んでいます。
在宅医療は、標準型電子カルテのスコープ案に含まれていません。そのため、在宅医療向けカルテは標準化を待たずに導入を検討することになるでしょう。
標準型電子カルテを普及させる目的
政府は、医療DXを推進することで切れ目のない質の高い医療提供を実現させ、国民の健康増進を図っています。
国民の健康増進を実現するために、標準型電子カルテを活用し、以下の3文書6情報を共有することが重要とされています。
- 3文書(診療情報提供書・退院時サマリー・健康診断結果報告書)
- 6情報(傷病名・アレルギー情報・感染症情報・薬剤禁忌情報・検査情報・処方情報)の共有
上記の情報を共有するためには、各医療機関における電子カルテの導入が必要不可欠です。
一方で厚生労働省の医療施設調査によると令和2年時点の電子カルテ普及率は一般病院で57.2%(200床未満の病院は48.8%)、一般診療所で49.9%という結果が出ており、約半数程度の医療機関は電子カルテを導入していないという結果が出ています。(導入している電子カルテのほとんどは外来向け電子カルテ)
そこで政府は、遅くとも2030年には概ねすべての医療機関に必要な電子カルテの導入を目指すとし、標準型電子カルテの構築を進めています。
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標準型電子カルテにおける普及のメリット
標準型電子カルテが普及していくと、以下のメリットが期待できます。
- 迅速かつ的確な治療が受けられる
- 健康管理・疾病予防につながる
- 医療機関・自治体サービスの効率化つながる
- データの二次利用につながる
標準型電子カルテを導入すると、患者さんが受けられる医療サービスの質が高まり、医療従事者の業務効率の向上が期待できるようになります。
迅速かつ的確な治療が提供できる
たとえば、患者さんが意識不明であっても救急搬送中に患者さんの薬剤情報や検査状況が確認できるため、迅速かつ的確な治療が受けられます。
また、入退院時に医療・介護関係者間でスムーズに情報共有されるため、より良いケアが提供できるでしょう。
健康管理・疾病予防につながる
たとえば予防接種券や予診票がデジタル化されるため、受診勧奨が患者さんに届きやすくなり、受診率の向上が期待されます。
また、患者さん自身で健康状態や病態に関するデータが活用できるようになるため、健康管理につながる行動や適切な受診判断につながるでしょう。
医療機関・自治体サービスの効率化につながる
患者さんが医療機関を受診する際、公費助成対象制度に関する紙の受給者証の持参が不要になります。
そのため、患者さんの情報登録の手間やヒューマンエラー、費用支払いに対する事務コストの軽減が期待されます。
データの二次利用につながる
たとえば、予防接種・感染症・指定難病・がん登録情報などを解析することで新しい医薬品や治療法の研究が進み、より的確な診断につながります。
また、感染症危機への対応力強化にもつながるため、今後も各種データベースと連携した取り組みを進めることが必要です。
標準型電子カルテの課題
標準型電子カルテは、全国医療情報プラットフォーム(患者さんの医療情報が介護施設や他の医療機関で参照できる媒体)に含まれます。
上記にともない、標準型電子カルテが普及していくにあたり、以下の課題が懸念されます。
- 情報セキュリティ
- マスタの整備
- 導入コスト
- ITリテラシー
今後、患者さん・医療従事者の双方にメリットが生まれるような標準型電子カルテの構築が求められます。
在宅医療については現在スコープ案にないため、今後の動向を押さえておくことが必要です。
情報セキュリティ
情報セキュリティが守られていないと、大事な患者さんの情報が漏洩する可能性があります。
たとえば、標準型電子カルテサーバーがウイルスに感染してクラッシュした場合、多くの医療機関で電子カルテが使用できなくなるケースにつながります。
また、全国医療情報プラットフォームを経由して他の医療機関にウイルスが広がる可能性もあるでしょう。
対策として、厚生労働省が出している「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版システム運用編」を参考に、各医療機関で安全管理対策を徹底することが大切です。
情報連携のためのマスタ整備
たとえば、標準型電子カルテ上で検査データが欲しい場合、電子カルテ側から検査システム側へリクエスト(要求)をおこないます。
検査システム側はリクエストに対して、レスポンス(応答)することで、双方向で情報の連携ができるようになります。
しかし、検査システムは複数のメーカーからデータ提供されているため、メーカー別の回答に電子カルテ側が対応するのは困難です。
そのため、今後の課題として、リクエストとレスポンスのやり取りを標準化させるためのマスタが整備が必要になります。
導入コスト
電子カルテを導入する場合、初期導入費用とランニングコストが発生します。オンプレミス型・クラウド型のどちらを選ぶかで費用は異なりますが、5年間の運用を想定した場合、発生する運用費用は数百万円になるでしょう。
そこでおすすめなのが、補助金申請です。申請できるおもな条件は以下のとおりです。
- すでにオンライン資格確認等システムおよび電子処方箋管理サービスを導入(電子処方箋管理サービスにあっては、導入する旨の申し出がある場合は導入済とみなされる)
- 令和13年3月31日までに電子カルテ情報共有サービスの導入を完了した上で、令和13年9月30日までに申請する
- 20床以上の病院である
対象の医療機関として合致する場合は、医療機関等向け総合ポータルサイト「電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金」をご確認のうえ、申請を進めましょう。
ITリテラシー
電子カルテを運用する場合、パソコンやタブレットを活用し、診療記録や患者情報などを参照します。
このとき、パソコンやタブレットの操作に慣れていない高齢層からすると、運用が難しくなるケースがあります。
操作を学ぶために、数ヶ月の操作演習や研修会などが必要になります。操作する側の医療従事者にとって使いやすく、閲覧しやすい電子カルテの構築が求められるでしょう。
標準化電子カルテの導入スケジュール
現在標準型電子カルテのリリースは、以下のスケジュールで進行しています。2024年中には、システムベンダ向けの連携テストが開始され、2025年4月頃には診療所(有床診療所を除く)を対象に試行運用が予定されています。
電子カルテ未導入の在宅医療機関は今すぐ電子カルテ導入を検討しよう
繰り返しとなりますが、在宅医療は標準型電子カルテのスコープ案に含まれていません。
そのため、在宅医療向けカルテは標準化を待たずに導入を検討するのがよいでしょう。
在宅医療では、いつ・どこで・誰が、患者さんに対しどのような処置や治療をおこなっているかを知る必要があります。
また、薬局や訪問看護ステーション間で、診療情報をリアルタイムに共有していく必要もあります。
在宅医療向けの電子カルテを導入すると、多職種間での情報連携をスムーズにおこなうことが可能です。
2024年6月におこなわれた診療報酬改定では「在宅医療DX情報活用加算」として以下が新設されました。
在宅医療DX情報活用加算:10点
在宅医療DX情報活用加算(歯科訪問診療料):8点
訪問看護医療DX情報活用加算:5点
居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスによるオンライン資格確認により、在宅医療における診療計画の作成において取得された患者の診療情報や薬剤情報を活用することで質の高い在宅医療を提供した場合、算定される場合があります。
上記を活用しながら、在宅医療患者さんへ質の高い医療を提供していきましょう。在宅医療機関は、標準型カルテのリリースを待たずに今すぐ電子カルテの導入を検討することをおすすめします。
訪問診療向け電子カルテはAI搭載の「homis」がおすすめ
訪問診療向け電子カルテ「homis」は多くの在宅医療専門医とともに開発された電子カルテです。
AIを搭載し、今一番新しいカルテとしてフルリニューアルしました。
AI搭載で書類作成業務を大幅削減
homisはAIを搭載しており、homis内の診療情報を解析して主治医意見書などの書類を自動作成してくれる機能が搭載されています。
カルテ入力の際にも、過去歴や検査結果から必要な部分のみを自動引用して、カルテ記載を補助する機能があります。
医師の負担となる、日々の書類作成やカルテ入力の時間を大幅に削減することができるでしょう。
オーダリングチェック機能で医療ミス防止
処方時の薬用量誤りや、病名漏れなどを警告し、処方ミスを防止する機能です。
医療ミスを防止できるだけでなく、疑義照会やレセプトチェック工程も大幅に削減することができます。
医療・介護レセコンとの連携機能
homisは日医標準レセプトソフトORCAと連携しており、ORCAの導入・サポートもhomisの基本料金内で対応可能です。
また、介護保険請求には同じくORCA管理機構より提供されている「給管帳クラウド」と連携しており、医療と介護の算定・保険請求をワンストップで行うことが可能です。
医科と介護の保険請求から患者さんへの請求、明細書や領収書の発行、入金管理や未収金管理もhomisとORCAの一連の作業で可能なので、医療事務員の負担の軽減にもつながります。