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在宅医療における新たな選択肢|往診代行サービスのメリットとは

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在宅医療における新たな選択肢|往診代行サービスのメリットとは

在宅医療のニーズが高まる中、訪問診療クリニックにおける夜間や休日対応の負担が大きな課題となっています。この課題を解決する一つの選択肢として注目を集めているのが往診代行サービスです。

今回はメディカルインフォマティクス株式会社の在宅医療専門経営コンサルタントに、往診代行サービスについて伺いました。

往診代行サービスの基本的な仕組み

―訪問診療クリニックにおける往診代行サービスとはどのようなものでしょうか?

サービスを提供している会社によって対応範囲は様々ですが、基本的には夜間や休日の電話対応から往診までを一貫して代行する、というケースが多いです。

患者さまからの入電に対してまずは電話での初期対応をして、往診が必要かどうかを判断する。ここの判断は、「電話再診」として医師が対応するパターンと、オペレーターが対応するパターン、代行業者によっても違いがあります。

往診が必要と判断されたら、代行業者に登録されている医師が往診まで行う、または代行業者から連絡を受けたクリニックの医師が対応を引き継ぐこともあります。

院長先生のご希望や先生方のシフトなどに応じて、最適なサービスを選んでいくことが重要です。

ー往診代行サービスの利用範囲は、どのようなエリアが中心なのでしょうか?

サービス提供会社によっても異なりますが、基本的には都市部が中心で、地方での利用はまだ難しいのが現状です。

首都圏以外では東海や関西、福岡あたりでサービスを展開しているところがあります。

地方では医師会による輪番制をとっていたり、近隣のクリニックが連携して曜日ごとに対応を分担したりしていることが多いですね。

往診代行サービスを利用するクリニックが抱えている課題

― 実際に往診代行サービスを利用しているクリニックは、どのような課題を抱えていることが多いのでしょうか?

クリニックの規模によって抱えている課題やサービスの利用状況が異なります。共通して言えるのは、やはり夜間の当直医師の人員不足から往診代行サービスを検討されるケースが多いです。

その中でも小規模のクリニックでは、開業時からワークライフバランスを重視して夜間対応をしない方針をとっていらっしゃる先生方のご利用が多いですね。他にも普段はクリニックの医師で対応するが、夏休みや冬休み、学会に参加するときなど、スポット的に利用するパターンもあります。

中規模から大規模のクリニックでは、医師の体力的な面からも自院ですべての対応をすることが難しいという課題を抱えていることが多いです。たとえば、週末だけは代行業者を利用するとか、特定の曜日のみ利用するケースがあります。

さらに規模が大きくなると、近隣の複数のクリニックで当直室を設けて往診体制をとっているケースもみられますが、状況が予測できない夜間の当直体制を維持することは経営的にも非常に大きな課題になります。

そこで、全面的に外部に委託したほうがいいと判断されるケースも増えてきています。

往診代行サービスにより労働環境の改善を目指す

―往診代行サービスを導入することにはどういったメリットがあるのでしょうか? クリニックからのお声があればお聞かせください。

最も分かりやすいメリットとして、夜間業務から解放されることがあります。仮に夜間帯のみ非常勤の医師を雇用したとしても、トラブルが発生した場合は、クリニックの医師もしくは事務長などの責任者が対応しなければなりません。

往診代行サービスを取り入れることでこういった負担から解放されるため、導入によって得られた価値が大きいというお声が多いです。

また、常勤の先生がシフト制で夜間対応する場合、海外では勤務間にインターバルを設ける制度が一般的ですが、日本ではまだ十分に浸透しておらず、しっかりと休息をとれないまま翌日の診療を行うことも多いのが現状です。

そのため、往診代行サービスを導入することで、長時間勤務による事故発生のリスクを減らせたり、健康管理ができたりすることも重要なメリットです。

―医師の過重労働が国としても大きな課題となる中、夜間対応できる人材を確保することも難しいかと思います。採用におけるメリットなどもあるのでしょうか?

そうですね。オンコール対応を条件とした医師の求人は応募が減少する傾向があるため、 往診代行サービスを導入することで医師を採用しやすくなったとの声が多いです。

ほかにも、夜間対応における労務管理の課題の解消につながるというメリットもあります。往診一件一件の比重は患者さまの状態によって大きく異なり、正確な労務管理が難しい側面があります。

たとえば、簡単な処置で診療を終えられるケースもあれば、看取り後の対応まで必要となるケースなどさまざまです。

対応した内容に違いがあるにもかかわらず、まとめて「一件」として換算されることもあり、経営者と労働者との間でトラブルが発生することも少なくありません。

このような状況においても往診代行サービスを導入することで、労働安全をきちんと担保できるといったメリットがあります。

情報管理の徹底により、患者の不安を解消する

―主治医以外の医師が訪問することの難しさなどもあるかと思います。患者さまが不安に思われることなどはありませんか?

病院の救急外来なんかも同じですが、担当する医師が変わっても、患者情報は漏れなく共有することが非常に重要となります。

患者さま一人ひとりの基礎疾患や症状の把握、また終末期の患者さまでは、お看取りを希望されているのか、搬送が必要なのかなどの事前指示をしっかりしておく必要があるので、サービス提供業者は、情報共有のルール設計に非常に力を入れています。

どうしても患者さまの中には主治医と異なる医師が自宅へ来ることに対して、不安を感じる方もいらっしゃいます。ただ、夜間に医師と連絡がとれなかったときの不安は非常に大きいので、心配な状況のときにスムーズに診てもらえるという安心感が勝るのではないでしょうか。

もちろん患者さまに安心してもらうためには、先ほども言ったように、情報管理の徹底というところが重要なポイントになってきます。

医師の人手不足などの状況を考えると、こういったサービスを利用することは患者さま側にとってのメリットも大きいと考えています。

往診代行サービスを導入するコストと価値のバランスとは?

―ありがとうございます。最後に、往診代行サービスの導入によるコストと得られる価値とのバランスについて教えていただけますか?

代行業者によって価格は異なりますが、自院で往診の対応をする場合と比較すると、もちろんコスト的には高くなりやすいです。

ただ、採用にかかるコストや管理費など、可視化しづらいコストなども考えて、委託した場合のメリットと、どちらが大きいかを考えると良いかと思います。

とくに、人手不足や、体力的な負担から解放されることは、安全性の担保や安心感につながるため、このような代行サービスの需要が高まっているのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

一坊寺 唯

医療ライター・コンテンツディレクター/Cuddle Writing(カドルライティング)代表。大学卒業後、ヘルスケア関連企業にて企画職に従事。2019年にフリーランスWebライターとして独立し、医療・健康ジャンルを中心に多数メディアの記事制作を手がける。「信頼できる医療・健康情報を通じて、ヘルスリテラシーを向上させる」というミッションのもと、医療系記事制作チームCuddle Writingを運営。

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