患者満足度調査を始めるべき3つのタイミングとは?

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患者満足度調査を始めるべき3つのタイミングとは?

「うちは患者さんやご家族との関係も良好だし、わざわざ満足度調査なんてしなくても大丈夫」
日々の診療やケアに真摯に向き合っている訪問診療クリニックや訪問看護ステーションほど、そうお考えになるかもしれません。

しかし、その「良好なはずの関係」が、実は見えないところで少しずつ変化しているとしたらどうでしょうか。

突然ですが、あなたのクリニック・ステーションは、以下の項目にいくつ当てはまりますか?

  • 最近、ケアマネジャーや連携病院からの新規紹介が減ってきた
  • 医師や看護師の人数が増え、「誰が担当するか」でサービスの質にバラつきがある気がする
  • 患者数が300人を超え、経営者として一人ひとりの患者・家族の反応が直接見えづらくなった
  • スタッフの頑張りを正当に評価し、モチベーションを上げる仕組みを作りたいと感じている

もし、ひとつでもチェックが付いたなら、それは「患者満足度調査」という次の一手を検討すべき重要なサインかもしれません。

この記事では、なぜ今、在宅医療において患者満足度調査が重要なのか、そして、調査を始めるべき具体的なタイミングとメリットについて詳しく解説します。

なぜ今、「患者満足度調査」が必要なのか?

在宅医療の需要が高まる一方で、地域の訪問診療クリニックや訪問看護ステーションの数も増え、選ばれるための「質の差別化」がより一層求められる時代になりました。

日々のコミュニケーションで得られる「ありがとう」という感謝の言葉は、もちろん何よりの財産です。
しかし、それだけでは見えてこない「声なき声」が存在します。

「本当はもう少し詳しく説明してほしいけど、忙しそうだから言い出せない…」
「あの先生は親身だけど、別の先生は少し事務的に感じる…」
「ケアマネジャーとして、もう少し情報共有を密にしてほしい」

こうした小さな不満や期待とのズレが、気づかぬうちに積み重なり、連携先からの信頼低下や、予期せぬ患者の離脱につながることが少なくありません。

患者満足度調査は、こうした「感覚」や「暗黙知」に頼った運営から脱却し、客観的なデータに基づいて組織を改善するための、最も有効なツールなのです。

在宅医療における患者満足度調査の3つのメリット

患者満足度調査は、単に患者さんの声を聞くだけでなく、クリニック・ステーションの経営そのものに大きなメリットをもたらします。
具体的には、以下の3つの好循環を生み出す起点となります。

メリット1:的確なサービス改善による品質向上

患者満足度調査を行うことで、クリニック・ステーションが提供する診療やケアに対し、どこに不満が集まっているのか、逆にどこが高く評価されているのかを客観的に把握できます。

「説明が専門的で少し難しい」
「電話対応がいつも丁寧で安心する」

こうした具体的な声をもとに、課題となっている点を的確に改善し、強みである点をさらに伸ばすことで、サービス品質全体の向上につなげることができます 。

メリット2:リピーターや紹介の獲得

調査を通じて、接遇や電話対応など、診療以外の部分での満足度や改善ポイントも明らかになります。
患者満足度を高めることは、患者さんが「これからもこのクリニック・ステーションにお願いしたい」と感じるだけでなく、友人や知人へのおすすめ、ケアマネジャーへの高評価といった推奨行動につながります。

これが、紹介患者の増加という形で、クリニックの安定経営に直結するのです 。

メリット3:地域からの信頼性・ブランド力の向上

患者さんやその家族、連携先からのポジティブな口コミは、「あのクリニック・ステーションは信頼できる」という評判を地域に広げます。
満足度調査の結果を真摯に受け止め、改善に取り組む姿勢そのものが、高評価のクリニック・ステーションとしての信頼性を高めることにつながるのです。

実は、これら「患者満足度」の向上は、「従業員満足度」や「クリニックの収益性」とも密接に関係しています。

ヘスケットらが示した「サービス・プロフィット・チェーン(※)」という理論では、従業員満足度が高まるとサービスの質が向上し、それが患者満足度を高め、結果として収益が上がり、その収益を従業員に還元することでさらに満足度が上がる、という好循環が示されています。
(※)Heskett JL, Jones TO, Loveman GW, et al: “Putting the service-profit chain to work.” (Harvard Business Review, 166, 1994)

サービスプロフィットチェーン




つまり、患者満足度調査は、クリニック全体の成長サイクルを回し始めるための重要なエンジンなのです。

【セルフチェック】満足度調査を始めるべき3つの危険信号

具体的に、どのような状況が調査を始めるべきタイミングなのでしょうか。
ここでは3つの重要なサインをご紹介します。

1. 連携先からの紹介が減ってきたと感じるとき

    紹介数の減少は、経営の根幹を揺るがす深刻な問題です。
    その原因が、“満足度の低下”による静かな信頼の揺らぎであるケースは少なくありません。

    ケアマネジャーや連携病院は、患者本人や家族からの評判に敏感です。
    「あのクリニックは、連絡が遅れがち」「担当者によって対応が違うらしい」といったネガティブな情報が少しでも耳に入れば、大切な患者さんを紹介することをためらうのは当然です。

    満足度調査は、患者・家族だけでなく、ケアマネジャーや連携先の施設スタッフといった多角的な視点から自院の評価を「見える化」します。
    これにより、紹介数が減ってきた真の原因を探るための、具体的な仮説を立てることが可能になります。

    Point:満足度調査は、失われた信頼を取り戻すための第一歩です。

    2. 医師・スタッフが増え、サービスの質にばらつきが出てきたとき

    組織が拡大し、複数の医師やスタッフが在籍するようになると、理念や方針を共有していても、
    診療スタイルやコミュニケーションの質に差が生まれます。これは組織の成長過程で避けられない課題です。

    この「サービスのばらつき」は、患者や家族にとって「担当者によって診療・ケアの質が違う」という不安や不信感の原因となり得ます。

    • どの医師・スタッフの、どのような対応が高く評価されているのか?
    • 患者や家族は、具体的に何に不安を感じているのか?
    • 組織として標準化すべきサービスレベルはどこか?


    これらを明らかにするには、個人の感覚に頼るのではなく、全員を同じ尺度で評価する定量的な調査が極めて有効です。
    優れた対応を“個人のスキル”で終わらせず、組織全体の財産として共有・標準化するきっかけになります。

    Point:属人化を防ぎ、組織全体のサービス品質を底上げする羅針盤となります。

    3. 患者数が300人を超え、全体像が見えにくくなったとき

    患者数が50人、100人の頃は、経営者や管理者が一人ひとりの顔と名前、その家族背景まで把握できていたかもしれません。
    しかし、300人を超える規模になると、すべてを把握するのは物理的に不可能です。
    この段階で「個別の声」だけに耳を傾けていると、一部の意見に振り回されてしまい、全体最適を見失うリスクがあります。

    患者数300人という規模は、アンケート調査において統計的に意味のある傾向を掴める一つの目安です。
    集計・分析によって、漠然とした課題が明確な数値として浮かび上がります。
    これにより、感覚的な経営判断から、客観的なデータに基づいた戦略的な経営へとシフトすることが可能になるのです。

    Point:データに基づいた意思決定で、組織的な改善を加速させます。

    とはいえ…調査をする余裕はない!それなら「Okitell365」にまるっとお任せ!

    「重要性は痛いほどわかる。でも、これだけの準備と実施、分析をする時間も人手もない…」
    そのお悩み、当然です。

    全国の診療所・クリニックを対象にした調査(※)によると、クリニックの5割が患者満足度調査を「必要と考えているのに実施できていない」と回答しており、その理由のトップは「手間がかかる」ことでした 。
    ※)株式会社Qlife,「患者満足度調査」診療所での実施実態に関する調査結果報告書

    その手間が障壁となっている医療機関には「調査代行サービス」の活用がおすすめです。
    訪問診療・訪問看護に特化した満足度調査代行サービス「Okitell365」が、面倒な業務の多くをサポートします。

    よくいただくご相談とOkitell365ができること

    • Q

      満足度調査で何を聞いたらいいかわかりません。

      A

      満足度調査の専任スタッフが貴院の課題に合わせて、患者・家族・ケアマネ・施設向けの最適な質問項目を設計・提案します。

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      A

       郵送・電話・Webなど最適な方法で調査を代行。回答率を上げるための工夫も凝らし、クリニックの手間はほぼゼロです。

    • Q

      結果をどう活かせばよいかわかりません。

      A

       課題が一目でわかるグラフや、具体的なコメントをまとめたレポートを納品。経営会議やスタッフミーティングですぐに活用できます。

    質問項目の設計からアンケートの実施・回収、レポートの作成まですべての工程をお任せいただけます。
    まずはお気軽にお問合せください。

    満足度調査レポート例

    調査結果はわかりやすくグラフ等で集計し、分析したものをレポートとしてお渡しします。
    そのままミーティングや振り返りの場でお使いいただくことができます。

    満足度調査レポート例①

    満足度調査レポート例②

    患者満足度調査導入事例:敬二郎クリニック西信先生インタビュー

    チーム医療を強みとする敬二郎クリニックは、サービスの質をさらに高めるため、Okitell365患者満足度調査サービスを導入しました。
    院長の西信先生に、その効果を伺いました。

    >>詳しいインタビュー記事はこちら

    「個人的な印象」から「客観的な事実」へ

    以前は患者満足度を測る客観的な指標がなく、組織としてのサービス品質をどう評価するかが課題でした。
    導入後は、患者様の声を「個人的な印象」ではなく「客観的な事実」として全体で共有できるように。

    「看護師が支えてくれた」「電話対応が丁寧」といった声は、普段フィードバックを得にくい看護師や医療事務スタッフのモチベーション向上に大きく貢献しています。

    第三者機関だからこそ得られる率直な評価

    継続利用のメリットは、第三者機関による調査で「率直な評価」が得られる点です。さらに、結果がグラフで可視化されるため、クリニックの強みと弱みをひと目で把握できることも高く評価しています。

    患者数が多く、客観的な指標を参考に成長したいと考えているクリニックに特におすすめできるサービスです。

    未来への投資として、満足度調査を始めませんか?

    Okitell365を使えば、自前で準備する時間や手間は一切かかりません。
    まずは自院の現状を客観的に把握し、次の一手を打つための羅針盤を手に入れてください。

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