患者満足度調査とは?準備の前に押さえておきたい3つのキーワード
- #運営
- #品質

この記事はこんな方におすすめ
- 在支診や訪問看護ステーションの運営にかかわる院長や、管理者、事務長のみなさま
- サービス品質を向上させたい
- 患者さんの声を聞きたい
この記事を読むとこうなります
- 患者満足度調査とは何かがわかる
- 患者満足度調査を行う際に必要な基礎的な知識が身につく
地域の数ある事業所の中から選ばれるために、サービスの品質向上は欠かすことのできない課題です。サービスの品質向上のためには現状を把握する、つまり患者さんの声を知ることが鍵となります。
「患者満足度調査」はそのような患者さんの声を知ることのできる有効な方法です。
患者満足度調査は事前に正しい知識を身につけていないとただアンケートを集めるだけに終わってしまい、効果的な活用ができません。
今回は「患者満足度調査」について、事前に身につけておくべき基礎的な知識やポイントについて解説していきます。
患者満足度調査とは
患者満足度調査とは、診療を受ける患者さんが診療等のサービスに対してどれだけ満足しているかを調査するものです。
調査結果から患者さんのニーズを把握し、組織の強みや改善すべき点を抽出することで、サービスの品質改善に活用することができます。
患者満足度調査の3つのメリット
患者満足度調査はサービス品質の向上に活かせるのはもちろんのこと、その他にも多くのメリットがあります。
売上の向上
調査結果を活用してサービス品質を向上させることで既存の患者さんの継続率があがる、またよい口コミが広がって新規の患者さんが増えるという効果が期待でき、売り上げの向上が見込めます。在宅医療業界は多職種の関係機関も多く、よい口コミは患者さんだけでなく関係機関を通して広く広がることが期待できます。
効率的に業務改善ができる
今まで見えなかった課題や改善点を患者さんの視点を通すことで見つけることができます。優先度の高い改善項目が判断できるようになるため、業務改善を効率的に行うことができます。
人事評価に活かせる
患者さんから評価の高いスタッフ、また改善が必要なスタッフがわかり、人事評価の指標にも活用することができます。
押さえておきたい3つのキーワード
患者満足度
もともとはマーケティング用語の「顧客満足度」を医療に取り入れた言葉です。
「顧客満足度」とは企業の商品やサービスに対して顧客がどの程度満足しているかの度合いを示しています。満足度には商品やサービスに対して持っている事前の期待値が大きく関係していると言われています。事前の期待値を大きく超える、つまり「想像よりよかった」と感じると満足度は高くなります。逆に、事前の期待値を下回ってしまうと満足度は低くなります。
つまり患者満足度は、診療を受ける前の患者さんの期待をどれだけ超えることができるかで決まります。
事前の期待に沿うことができると、まずは患者さんに満足してもらうことができます。さらに、期待を上回ると、満足度は「満足」から「感動」に変わります。「感動」レベルに達すると、他社に乗り換えることなくその会社の商品やサービスを購入し続けるという継続利用意向がぐっと高まると言われています。
患者さんの継続利用意向を高めるためには、期待通りではなく期待を超えることを目指すことが必要です。
ネット・プロモーター・スコア(NPS®)(※1)
患者満足度調査は直近のサービスの利用にあたっての短期的な満足度を確かめるものです。一方で、短期的に満足していても代替案が見つかったときに診療サービスを受けることをやめてしまう可能性もあります。そこで使われるのが、ネット・プロモーター・スコア(以下、NPS®)と呼ばれる指標です。
NPS®はサービスのロイヤルティ(お客様が企業の商品やサービスにもつ信頼感や愛着のこと)を測るために広く使われています。実際の購買行動と連動しており、その組織の業績との相関があると言われています。
NPS®は以下の計算方法で算出されます。
- 1)顧客に「あなたはこの商品・サービスを親しい友人や知人に、どの程度勧めたいと思いますか」という質問をし、0から10点の11段階で評価してもらいます
2)10~9点と回答した顧客を「推奨者」、8~7点を「中立者」、6~0点を「批判者」として3つのセグメントに分類します
3)推奨者の割合から批判者の割合を引きます
例えば、
「推奨者」40%
「中立者」30%
「批判者」30% の場合、
NPS® = 40(%) ー 30(%) = 10 となります。
(NPS®は%の表記を省いた数値で表されます)
NTTコムオンラインが実施しているNPS®ベンチマーク調査(※2)によると、日本のNPS®の平均値は業界トップ企業で0から-30前後、業界平均は-30から-50前後となっています。
医療現場でNPS®との関連を調査したミズーリ大学の研究では、平均再入院率や緊急外来再診率が高いほどNPS®が低いということが分かっています。つまりNPS®は医療の質の指標にも繋がっていると言えます。今後、医療現場でのNPS®の測定数が蓄積されていくと同時に、患者さんがどのような診療サービスを受けたかというNPS®に与える要因が整理されていけば、医療現場におけるNPS®についてさらなる活用が進んでいくでしょう。
(※1)ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
(※2)NTTコムオンライン,NPS®(顧客推奨度)業界別ランキング
サービス・プロフィット・チェーン
サービス・プロフィット・チェーンとは、顧客満足・従業員満足・組織の収益性がそれぞれ関わり合い循環しているモデルのことです。
1990年代にハーバードビジネススクールのへスケット教授らによって考案されました(※3)。
従業員満足が高まるとサービス品質が高まり顧客満足が上がり、顧客満足が高まると収益が上がり、収益が上がると従業員に還元され従業員満足度が高まるという好循環の構図が出来上がります。
サービス・プロフィット・チェーンは医療業界においても有用であるとされており、様々な分野においてその研究が進められています。
(※3)Heskett JL, Jones TO, Loveman GW, et al: “Putting the service-profit chain to work.” (Harvard Business Review, 166, 1994)
まとめ
- 患者満足度は患者さんの事前の期待をどれくらい超えられたかで決まる。
- 患者さんの期待を超えると診療サービスに対して患者さんの満足度が高まる。
- ロイヤルティが高まることで組織の収益性が上がるという関係にある。
- ロイヤルティを測る指標としてはNPS®が使用され、医療の質との関係性も報告されている。
- 患者満足度と従業員満足度と組織の収益性は相互に関わっている。
いかがでしたでしょうか?
患者満足度調査への理解を深めていただけたでしょうか?
次回は患者満足度調査を行うための事前準備について詳しく解説していきます。
手間となる準備や集計は満足度調査代行サービスへ!
全国のクリニック・診療所を対象にした調査(※4)によると、クリニックの5割が患者満足度調査を「必要と考えているのに実施できていない」、調査を実施しない理由のトップは「手間がかかる」が挙げられていることがわかりました。
(※4)株式会社Qlife,「患者満足度調査」診療所での実施実態に関する調査結果報告書
患者満足度調査は準備から実施、その先の集計や分析まで多くの時間が必要です。その手間が障壁となって実施できていない医療機関におすすめなのが調査代行サービスです。
在宅医療専門のコールセンターOkitell365の満足度調査サービスでは、調査計画から集計、分析までアンケート実施する上で面倒となる業務の多くをサポートいたします。
どのような些細なことでも、
まずはお気軽にご相談ください。