在宅医療専門の人材採用支援サービス担当者に聞く!理想の人材が集まる訪問診療の求人票作成のコツとは
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訪問診療事業を発展させるうえで、優秀な人材の確保は大きな課題の一つです。しかし、人材不足が深刻化する医療業界において、クリニックや法人が求める人材を採用するのは容易ではありません。
自院にマッチした人材を採用するためには、分かりやすく魅力が伝わる求人票を作成することが重要です。
今回は、在宅医療専門の人材採用支援サービスの担当者に、求人票作成のコツを伺いました。
求人票作成のポイントは「応募者が具体的にイメージできること」
ーまずは、訪問診療の求人票作成で重要視すべき項目について教えてください。
訪問診療の求人は未経験の先生が応募することが多いのが特徴の一つです。そのため、仕事内容をできるだけ詳しく書き、客観的にイメージしやすいように記載することがポイントだと思っています。
具体的には、患者さんの居宅や施設在住の割合、1日の訪問件数やスケジュール、終末期や認知症、難病の患者さんの割合などを記載すると良いでしょう。
訪問診療はクリニックによって診療体制も様々です。看護師やドライバーがいるケースもあれば、医師ひとりで訪問するケースもあります。そのため、実際の業務範囲や、スタッフそれぞれの体制などを詳しく掲載することもポイントです。
ほかには、クリニックや病院ごとに地域の特色が異なるので、自院ならではの強みを伝えるのも大切です。院長の専門性や研修制度、オンコールの対応など、ほかの訪問診療と差別化できるポイントを強調すると良いと思います。
弊社で求人票を作成する際は、外部委託の有無、残業時間の目安、患者さんの主な疾患の傾向なども掲載するようにしています。
応募者が特に知りたがっているのは”私生活との両立”や”スキルアップ”ができるか
ー求人票において、応募者に伝えるべき“魅力的なポイント”はどのようにお考えですか?
訪問診療では、”ワークライフバランス”を重要視される先生が非常に多いので、求人票では、仕事とプライベートの両立が具体的にイメージできるような情報を盛り込むと良いと思います。
たとえば、オンコール対応やファーストコールの対応、訪問件数、非常勤の先生の業務内容、残業時間の月平均なども記載して、ほかの求人と比較しやすくしたり、応募者の生活スタイルとすり合わせたりできるようにしています。
ほかにはスキルアップしたい先生向けに、入社後のサポート体制、院長やその他の医師の専門性についても記載できるといいですね。
院長先生の人柄や、在籍している先生の専門性をアピールすることで、クリニックや病院の雰囲気も感じ取れるようにしています。
給与体系で昇給やインセンティブの有無まで掲載されている求人票も、応募者にとって魅力的にうつりやすいです。
転職後も変わらない生活を送れるかという点は、重要視している先生が多い印象です。
ー訪問診療ならではの魅力は、どのようなものがあるでしょうか?またその魅力を表現するために工夫していることはありますか?
訪問診療の大きな魅力の一つは、地域と連携しながら時間をかけて診療できる点だと考えます。患者さん一人ひとりと向き合いながら、継続的な医療を提供できるのは、訪問診療ならではのやりがいですね。
また、訪問診療では患者さんの生活環境も含めた総合的なケアが求められるため、医師だけでなく、ケアマネージャーや訪問看護師、医療ソーシャルワーカーなど、多職種と連携しながら診療を行います。
こうした訪問診療の魅力を応募者に伝えるために、実際の1日の診療件数や、患者さんの居宅と施設の割合などのデータを詳しく掲載するようにしています。
また「この地域で生まれ育った先生がいる」など、地域医療に十分に貢献できることも強調して、訪問診療独自の魅力が伝わるよう工夫しています。
ーありがとうございます。求人票には色々な情報が掲載されますが、応募者がとくに知りたがっている情報は何だと感じますか?
給与やアクセスなどはもちろんですが、「スキルアップできる環境かどうか」という点を知りたがっている先生は多い印象です。
先ほどもお話ししたように、訪問診療は未経験の先生も多いので、どのようなサポート体制があり、具体的にどのようなスキルアップが見込める環境なのか、という点を細かく記載すると良いと思います。
具体的には、お看取りの件数や、終末期の患者数の割合、また法人の規模感や、研修制度の有無、院長の専門性などを盛り込むと、未経験からでもキャリアのイメージが湧きやすくなると思います。
応募者の不安や疑問を残させないために「明確に記載すること」がコツ
ー応募者の不安や疑問点を解消するためには、どんな情報を求人票に記載すると良いでしょうか?
業務上で扱われる実績を数字で明確に示すことが非常に重要だと考えています。
たとえば、オンコールや常勤の先生が対応する診療の件数、1日に電話がかかってくる回数、スケジュールの時間帯などの数字も細かく記載すると、応募者の疑問が解消され、採用のミスマッチが起こりにくくなります。
それと、訪問診療は基本、24時間365日体制をとる必要があるので、どうしても「忙しそう」というイメージを持つ先生もいらっしゃいます。
そのようなイメージを払拭するためにも、たとえば外部委託を利用して、夜間のオンコール対応がないことをアピールするなども有効だと思います。
ほかには、子育てと仕事を両立したい方向けに、時短勤務などの条件もできるだけ詳しく載せるようにしています。
ー求人票の表現で避けるべき言葉や、誤解を招かないようにするポイントはありますか?
できるだけ抽象的な表現は避けるようにしています。
給与に関しては「高給与」と示すのではなく、具体的な給与体系を十分に明記することが大切だと思っています。
そのほか、仕事のイメージに対して「やりがいのある仕事」や「アットホームな職場」などと記載するのではなく、そこからさらに深堀りして表現することが大切です。
“どんな人員がいるのか?” ”どんな経験ができるのか?”を求人票に具体的に明記して、できるだけ曖昧な表現はなくすようにしています。
入職する医師の属性も求人票の内容で大きく変わる
ー過去に特に反響が良かった求人票の内容はどんなものでしたか?
“給与面をしっかり記載している” “インセンティブ制度が充実している” “スキルアップ体制が整っている”などの求人票は応募件数が多い印象です。
そのなかでも、インセンティブによる年俸の加算体制が良かったり、院長や在籍医師の専門性が詳しく記載されていたりする求人票は魅力的にうつりやすく、応募者の反響が高い傾向がありますね。
ーやはり給与面やスキルアップ体制を詳しく記載することが重要なのですね。実際のところ、求人票の内容によって応募者の属性は変わりますか?
変わってくると思います。
クリニックや病院ごとに特徴が異なるので、その特徴を重視して転職先を探している先生が応募する傾向が強い印象です。
ワークライフバランスを重視している訪問診療では、私生活を両立したい先生が応募されますし、勉強会の開催や研修体制が充実している訪問診療では、スキルアップを特に意識したい先生が興味を持つ傾向にあります。
法人が求めている理想の人物像に応募してもらうためにも、個々の訪問診療の特徴や強みを求人票で表現することは大切だと感じます。
在宅医療専門の人材採用支援サービスとは
在宅医療専門の人材採用支援サービスは、訪問診療事業などの採用業務をアウトソーシングできるサービスです。求人票作成から採用面接まで一気通貫して対応します。訪問診療の転職を希望する人物像の絞り込み(ペルソナ設計)や採用戦略の立案だけでなく、実際に人材採用が成立するまで一環してサポートします。
採用計画から応募者の入職に至るまでのプロセスをプロの目線で支援してもらえるため、訪問診療の求人を出しても経験豊富な人材が見つからない場合や、忙しすぎて採用活動まで手が回らない方にとって向いているサービスです。