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在宅医療専門の人材採用支援サービス担当者に聞く!スタッフの納得感・満足感が得られる訪問診療の給与設定とは

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在宅医療専門の人材採用支援サービス担当者に聞く!スタッフの納得感・満足感が得られる訪問診療の給与設定とは

優秀な人材を確保し、長く働き続けてもらうためには、スタッフが納得し、満足できる給与設定が重要です。
適切な戦略に基づいた給与設定をすることで、求人の応募率や入職後のモチベーションの向上にもつながります。では、具体的にどのような給与設定をすれば良いのでしょうか。

今回は、在宅医療専門の人材採用支援を行うコンサルタントに、訪問診療の給与設定のコツや、スタッフが長期的に働き続けるためのポイントについて話を伺いました。

給与設定のポイントは「地域相場の調査」

ー訪問診療の給与設定の基本的な考え方について教えてください。

訪問診療の給与設定では、地域の相場が大きな影響を与えます。同じ訪問診療でも、地域によって医師の確保が難しいエリアもあれば、競争が激しいエリアもあります。
そのため、漠然と「だいたいこれくらいだろう」と決めるのではなく、市場調査を行い、周辺の訪問診療クリニックの給与水準を確認したうえで、適正な給与設定をする必要があります。

また、給与設定は単に基本給を決めるだけではありません。昇給の基準や資格・経験による加算条件も、しっかりと設定しておきましょう。求人を出す際に、これらの条件が分かりづらいと、応募者の関心を引きにくくなってしまうことが考えられます。

ほかには、インセンティブ制度(※)を導入しているクリニックもあります。やはり、実際の業務量が給与面に加算されていると、スタッフのモチベーションアップにもつながりやすいと考えます。
たとえば、1日の診療やお看取り、オンコールの件数、勤務日数、医師が足りていない勤務地への診療など、通常よりも負担が増える業務の場合には、きちんとそれらが給与に反映されると良いと思います。また診療業務以外にも、マネジメント業務や院内の勉強会開催、患者さんのアンケート評価の結果などを給与に加算しているところもあります。

(※)インセンティブ制度:法人がスタッフの成果に応じて追加で報酬を与える制度のこと。主にスタッフのモチベーションアップを目的にしており、設定の有無や内容は法人によって異なるが、訪問診療では訪問件数などで設定されていることが多い。

求人の応募率や入職後のモチベーションを上げるために必要な給与設定のコツ

ー給与設定に関して、訪問診療ならではの難しさや工夫が必要な点は何ですか?

訪問診療は、診療内容や訪問エリアによって1日に対応する件数が変わったり、お看取りの件数などによっても大きく変動することがあるので、給与設計が難しいことがあります。

また、開業してからあまり年数が経っていないクリニックでは、前例が少なくモデル年収の決定に悩まれることも多いですね。モデル年収は、臨床経験年数や在宅医療の経験、勤務日数などを考慮し、具体的な基準を設けることが重要です。
求人票にモデル年収が掲載されていれば、入職前からある程度の年収をイメージできるため、その求人に応募しやすくなったり、採用後のミスマッチが起こりにくくなったりするでしょう。

どうしても地域の相場より低い求人は応募者の目にとどまりにくいので、できるだけ待遇を改善する工夫も必要だと思います。

ー入職した後のスタッフのモチベーションを維持・向上させるために意識するべきポイントは何かありますか?

入職時から長くモチベーションを保つために、今までの経験や実際の仕事量を評価して、給与面に反映させることは、大事なポイントだと考えます。

入職時の給与設定では、臨床経験の年数に加え、在宅医療の経験の有無やそれに対する評価なども反映すると良いでしょう。
入職時以降は、周りのスタッフよりも多くの診療件数を回っているスタッフが不利にならないように、訪問件数に応じた加算を設けることも重要です。

スタッフが運営に携わっている場合であれば、勉強会の開催や、専門医の取得、研修の受講、学会活動、論文発表なども評価に加えると良いでしょう。
また、管理者の場合は、スタッフの事務役や医師会の活動などを評価項目に入れることもあります。

こういった加算条件やインセンティブ制度も意識すると、個人の成長だけでなく、法人に対するモチベーションにつながることも期待できます。

入職したスタッフが長く働き続けるためには社内の環境も大切

ースタッフが長期的に働けるようにするためには、給与面以外にどのような待遇が必要だと感じますか?

給与面以外だと、しっかりと休める環境を整えることが非常に重要です。訪問診療ではワークライフバランスを重視している先生も多いので、休暇の取りやすさは職場選びの大きなポイントになります。

たとえば、祝日勤務がある職場であれば振替休日を付与したり、有給休暇の日数や年末年始の休暇が充実していたりすると、体力的な面でも無理なく働きやすくなりますね。さらに、急な体調不良や家族の事情で休む必要がある場合に、周りのスタッフでカバーし合える体制を整えておくことも大切です。

スタッフが働きやすい環境づくりを支えるためには、外部委託を活用するのも一つの方法です。
たとえば、夜間対応やオンコール業務の一部を外部の業者に委託すれば、常勤スタッフの負担を軽減し、休みを取りやすい環境を整えることができます。さらに、レセプト作成などの事務作業を外部委託することで、医師や看護師が本来の診療業務に集中しやすくなり、働きやすい職場づくりにもつながります。

常勤以外のスタッフや外部業者にも滞りなく業務に対応してもらえるように、クラウド上で電子カルテを閲覧できるシステムなどを導入するのも良いと思います。

確実な人材採用戦略を立ててスタッフが満足できる給与設定を

ー給与設定に対してスタッフの納得感・満足感の高い訪問診療の特徴を教えてください。

給与に反映される評価基準が明確で、それを適切に運用できている訪問診療クリニックは、スタッフの納得感や満足感も高い印象です。

そのほか、資格取得の支援制度や研修費の補助費用、業績に応じた賞与設定などがある訪問診療もスタッフからの不満が少ないと思います。

ーありがとうございます。最後に訪問診療の人材採用に悩まれている方に向けて、メッセージをいただけますか。

訪問診療を経験している医師の割合はまだ少なく、人材確保に悩むクリニックや法人も多いのが現状です。しかし、高齢化が進む現代において、訪問診療の需要はますます高まり、優秀な人材の確保がクリニックの発展には欠かせません。

当社の人材採用支援サービスでは、訪問診療における人材採用の課題に対し、転職を希望する人物像の絞り込みや競合クリニックの調査、法人の強みなどを徹底的に分析して、人材採用戦略の構築まで一貫してサポートします。

また、クリニックの魅力を最大限に伝えるためプロモーション活動もサポートしています。クリニックの特色や強みを明確に打ち出し、求職者にしっかりとアピールできるような採用サイト・ピッチ資料作りなども対応可能です。
当社は多数の信頼できるエージェントと連携しているので、採用活動のスピードを加速させ、より良い人材を効率的に確保することができます。

「院長が診療だけでなく採用業務まで担っており、負担が大きい」「なかなか採用が進まない」といった課題を抱えているクリニックが多いですが、採用代行サービスを活用することで、クリニック運営の負担を軽減し、本来の診療業務に専念できる環境を整えることができます。

訪問診療の現場に最適な人材をスムーズに確保するためにも、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

一坊寺 唯

医療ライター・コンテンツディレクター/Cuddle Writing(カドルライティング)代表。大学卒業後、ヘルスケア関連企業にて企画職に従事。2019年にフリーランスWebライターとして独立し、医療・健康ジャンルを中心に多数メディアの記事制作を手がける。「信頼できる医療・健康情報を通じて、ヘルスリテラシーを向上させる」というミッションのもと、医療系記事制作チームCuddle Writingを運営。

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