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厚生労働省は2025年7月23日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会にて、2024年度診療報酬改定後の主な施設基準の届出状況(2024年8月1日時点)を報告しました。
今回の報告では、在宅医療分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と、質の高い医療提供体制の強化が顕著に見られました。
「医療DX推進体制整備加算」は36,949施設が届出、在宅分野でもDXが本格化
2024年度改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」は、病院3,780施設、診療所33,169施設の合計36,949施設が届け出ました 。この加算は、医療機関がオンライン資格確認や電子カルテ、電子処方箋などを活用して、医療の質向上や業務効率化を図るための体制を整備した場合に、診療報酬を算定できる加算です。
在宅医療に特化した加算としてもDX関連の評価が新設され、「在宅医療DX情報活用加算」は病院230施設、診療所4,191施設が届け出ています。この加算は、オンライン資格確認等システムを活用して患者の診療情報や薬剤情報を取得し、在宅医療における診療計画の作成に役立てることで、質の高い在宅医療を提供した場合に算定できる加算です。
ICTを活用して患者の診療情報を他の医療機関などと共有する体制を評価する「在宅医療情報連携加算」(病院118、診療所2,228施設が届出)とともに、今後の在宅医療における情報連携の鍵となることが期待されます。
在宅療養支援診療所・病院の「機能強化型」が増加
在宅医療提供体制の中核を担う「在宅療養支援診療所」および「在宅療養支援病院」の届出数は、全体的に増加傾向にあります。特に、常勤医師数や過去の緊急往診・看取り実績などが要件となる「機能強化型」の届出数の伸びが目立ちます。
- 在宅療養支援診療所(機能強化型)
・単独型: 273施設(前年比11施設増)
・連携型: 4,173施設(前年比315施設増) - 在宅療養支援病院(機能強化型)
・単独型: 342施設(前年比49施設増)
・連携型: 528施設(前年比39施設増)
この増加は、在宅医療において、緊急往診や看取りの実績など、より充実した機能を持つ診療所・病院が増え、在宅医療の質の向上が進んでいることを示しています。
その他の在宅医療関連の動向
在宅医療の質の向上と連携強化を後押しする、その他の主な加算の届出状況は以下の通りです。
- 在宅がん医療総合診療料: 末期がんの患者が自宅で療養する際に、在支診や在支病が計画的な医学管理の下で総合的な医療を提供した場合に算定できる診療料で、病院で993施設(前年比39施設増)、診療所で12,287施設(前年比264施設増)と、着実に増加しています。
- 在宅療養後方支援病院: 在宅療養患者の緊急時の入院先として機能する後方支援病院は、613施設(前年比37施設増)が届け出ており、在宅療養を支えるバックアップ体制の整備が進んでいます。
- 介護保険施設等連携往診加算: 2024年度に新設された、介護施設などからの協力医療機関として連携往診を行う体制を評価する加算は、病院264施設、診療所775施設が届け出ました。
今回の届出状況からは、国が推進する医療DXの流れが在宅医療の現場にも着実に浸透し始めていること、そして、多職種連携や看取り、重症者への対応など、より質の高い在宅医療を提供する体制へのシフトが加速していることがうかがえます。
参考)厚生労働省中央社会保険医療協議会|主な施設基準の届け出状況等(令和7年7月23日)