医療法人経営情報データベース(MCDB)、2026年4月から第三者提供開始へ

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医療法人経営情報データベース(MCDB)、2026年4月から第三者提供開始へ

2025年9月4日に開催された社会保障審議会・医療部会において、「医療法人経営情報データベース」(MCDB)のデータを2026年4月から研究者などの第三者へ提供する制度設計の方向性について報告・了承されました。これは、学術研究の促進やデータに基づいた医療政策の立案・検証を可能にするための重要な一歩です。

MCDBは、2023年8月に施行された改正医療法に基づき、原則すべての医療法人に国への経営情報の届け出が義務付けられたデータベースです。国はこのデータを政策立案、医療従事者の処遇改善、医療機関の経営支援などに活用するとともに、研究者への提供を通じて医療経済研究を推進する方針です。

今回の制度設計により、MCDBのデータは「個々の医療機関を判別できない」形に加工された上で、学術研究や医療提供体制の確保に資する目的で利用できる仕組みが整えられます。厚労省は今後、手数料に関する規定の政令(医療法施行令)や、データ提供ガイドラインの作成などを進め、来年4月の施行をめざします。

2つのデータ提供方法と利用条件

研究者などへのデータ提供は、秘匿性や利用目的に応じて以下の2種類で行われます。

1. オーダーメイド集計(統計処理結果の提供)

研究者からの申請を受け、厚労省の下で福祉医療機構(WAM)がデータを集計・統計処理し、その結果を提供する方法です。統計結果のみを提供するため、情報漏洩や個別医療機関の特定リスクは低いとされます。

  • 利用目的:学術研究、教育目的、医療提供体制の確保に資する研究(成果公表が要件)
  • 安全対策:特定につながらないよう最小集計単位を定め、下回る集計結果は非表示とするなどの措置をガイドラインに規定

2. 医療法人情報の提供(匿名加工個別データの提供)

MCDBから匿名加工した個別データを研究者に提供する方法です。リスクが高いため、より厳格な条件が課されます。

  • 利用場所:原則として、情報セキュリティが確保されたオンサイトセンター(福祉医療機構に設置)でのみ利用可能。ただし、公的機関や補助金による研究者は、安全管理措置が確認された場合に自施設での利用も可能
  • 審査:利用目的や必要性を社会保障審議会の部会で審査し、提供可否を判断
  • 提供情報:法人名や医療機関コードなど直ちに特定できる情報は除外。病床機能報告や外来機能報告データとの連結解析を希望する場合も、別途審査が必要

データ提供にかかる手数料と減免措置

データ提供にはNDB(ナショナルデータベース)の規定を参考にした手数料が設定されます。

提供方法 主な手数料内訳 備考
オーダーメイド集計 統計処理費用(1時間あたり6,300円)+その他実費 福祉医療機構の人件費を基に算出
医療法人情報の提供 匿名加工費用(1時間あたり6,300円)+審査経費+その他実費 審査経費(上限162,100円)は当面ゼロ円

手数料の減免措置

  1. 全額免除:国の行政機関、自治体、厚労省補助金を受ける研究者(委託含む)
  2. 50%減額:厚労省以外の公的機関補助金を受ける研究者、ナショナルセンター、厚労省令で定める公共法人・公益法人など
  3. 2の50%免除+追加減額:2の対象者のうち、更なる減額を行わなければ業務の遂行に著しい支障が生じると厚生労働大臣が認めた場合(※令和9年3月31日までは別途経過措置あり)

今後の展望

MCDBデータの提供開始は、日本の医療政策と研究基盤に大きな変化をもたらすと期待されています。
このデータにより、医療法人の経営実態や地域ごとの収益構造を詳細に分析でき、地域医療構想の実現に資する施策立案や医療機関の経営支援が可能となります。研究者にとっても、これまで入手が難しかった医療経済の実データを活用した研究が進展する見込みです。
厚労省は、データの有用性を高めつつも、医療法人のプライバシー保護と公平性確保を重視した透明性の高い運用ルール整備を進めていくことが求められます。

参考資料:医療法人の経営情報のデータベース(MCDB)に係る第三者提供制度について

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