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カルテの保存期間とは?紙カルテ・電子カルテの保存方法や注意点も解説

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カルテの保存期間とは?

カルテの保存期間や適切な保存方法がわからず、管理にお困りではないでしょうか。紙カルテを適切に管理できないと、情報漏洩のリスクが高まり、法律で罰せられる可能性があります。

また、データの紛失や改ざんなどの問題に発展するリスクがあるため、適切に対策しなければなりません。

本記事では、カルテの保存期間や保存方法を解説します。紙カルテ・電子カルテを保管する際は、正しいルールに沿って管理していきましょう。

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カルテの保存期間は?

カルテは、診療が完結した日を起点とし、5年間の保管が義務付けられています。もし、保存期間内に破棄すると、法律違反として罰則が与えられる可能性があります。カルテを含めた各種データの保存期間は以下のとおりです。

保存期間 項目
2年
  • 病院日誌
  • 各科診療日誌
  • 手術記録
  • 検査所見記録
  • エックス線写真
  • エックス線装置などの使用時間に関する帳簿
  • 病院・診療所または歯科技工所で行われた歯科技工に係る指示書
  • (病院の)入院患者・外来患者の数を明らかにする帳簿
  • (特定機能病院の)紹介状
  • 3年
  • 調剤済み処方箋
  • (保険医療機関の)療養の給付の担当に関する帳簿・書類その他の記録
  • (保険薬局の)療養の給付に関する処方箋・調剤録
  • 歯科衛生士の記録
5年
  • 診療録(カルテ)
  • 救急救命処置録
  • 助産録
  • エックス線装置などの検査結果
  • 放射線障害が発生するおそれのある場所の検査結果

紙カルテの長期間の保存方法

紙カルテを保存するおもな方法は以下のとおりです。

  • 院内で保管する
  • 倉庫で保管する
  • 電子化する


院内でカルテを保管するのが難しい場合、倉庫での保管や電子化の手段を取りましょう。

院内で保管する

カルテ保管用の棚を準備し、保存する方法です。クリニックの規模が小さく、患者さんの数が多い場合、カルテの収納場所を確保するのが難しくなるケースがあります。

そのため、収納スペースを確保するために、設備投資をおこなう必要があるでしょう。

倉庫で保管する

院内でカルテを保管するスペースが確保できない場合、倉庫を借りて保管する方法があります。

利用する場合、以下の条件を満たす必要があります。

  • 必要に応じてすぐに利用できる体制を作ること
  • 個人情報の保護がなされていること
  • 保存する際は、保存の義務を有するクリニックの責任において実施すること
  • 事故が発生した場合の責任の所在を明確にすること

電子化する

紙カルテをスキャナなどで電子化する方法です。実施する際は、実施計画書を作成する必要があります。
ただ、事前に対象となる患者さんにカルテを電子化して保存することを周知しなければなりません。

紙カルテをデータ化する方法

紙カルテをデータ化するおもな方法は以下の3つです。

  • オートフィード式
  • スタンド式
  • フラットベット式


1枚ずつカルテを正確にスキャンしたい場合はフラットベット式が適しています。一方で、複数枚のカルテを効率的にスキャンしたい場合は、スタンド式やフラットベット式がおすすめです。

オートフィード式

オートフィード式とは、複数のカルテをスキャンする方法です。近年では、スキャナの性能が向上しており、高画質かつ読み取りスピードが早いものが普及しています。現在、最も選ばれている手法です。

スタンド式

スタンド式とは、自立しながら内蔵カメラで撮影することでスキャンできる方法です。書類や本をスキャンする際は、開いて置くだけでスキャンできます。比較的導入費用が安く、A4サイズやA3サイズなどの形式でも柔軟にスキャンできる点が特徴です。
一方で、ページを1枚ずつめくりながらスキャンする必要があり、手間がかかるのがデメリットといえます。

フラットベット式

フラットベット式とは、1枚ずつスキャンする方法です。一般的なコピー機でスキャンする方法であり、比較的精度の高い方法とされています。そのため、1枚ずつ確実にスキャンしたい方におすすめです。一方で、スキャンする時間と手間がかかるのがデメリットといえます。

紙カルテをデータ化する際の注意点

紙カルテをデータ化する際のおもな注意点は以下のとおりです。

  • 電子署名・スタンプを押す必要がある
  • 紙カルテを廃棄する際はルールを遵守する
  • 電子保存の3条件を遵守する

患者さんの大事なカルテを扱ううえで、適切な管理方法を守る必要があります。

電子署名・スタンプを押す必要がある

電子署名・スタンプは、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)で推奨されている保管方法です。
電子署名・スタンプを押すことで、電子的な保管が認められ、破棄できるようになります。

紙カルテを廃棄する際はルールを遵守する

データ化した後の紙カルテは、適切な方法で破棄する必要があります。正しく破棄できていないと、患者さんの氏名や住所、治療歴や家族歴などが流出し、医師法やプライバシーの人権侵害につながります。

紙カルテを破棄する際は、シュレッダーにかけて適切に処理しましょう。クリニック内で処理できない場合は、プライバシーマーク(「個人情報を適切に管理している」と評価された事業者が使用できるマーク)を保有した廃棄業者に依頼することをおすすめします。

電子保存の3原則を満たす

カルテを電子化する際は電子保存の3原則を守らなければなりません。電子保存の3原則とは、「診療録及び診療諸記録の電子媒体による保存に関するガイドライン」で規定された以下3つの基準を指します。

  • 真正性
  • 見読性
  • 保存性


カルテが正しいもので、かつ誰でも確実に読める状態が担保されつつ、適切に保存されていることが重要です。

真正性

真正性では、カルテの責任と所在が明確になっており、虚偽や改ざんなどがないことが必要になります。
真正性を担保するためのおもな対策は以下のとおりです。

  • 不正入力を防止するためのセキュリティ対策を実行する
  • 機器やソフトウェアの品質を管理する
  • 更新履歴の保存する
  • 識別情報の記録する
  • 作成者の識別・認証をするためにID・パスワードを設定する
見読性

見読性では、誰が読んでも「確実に見て読めること」が必要になります。カルテは医師や看護師だけでなく、患者さんやその家族にも共有しなければなりません。
また、必要なタイミングで情報に対して適切にアクセスし、情報を抽出できる環境を整える必要があります。

保存性

保存性では、保存すべき期間を守りながら、真正性や見読性を確保した状態で保存することが求められます。
保存性を担保するためには、記憶媒体の劣化対策やウイルス対策を徹底し、バックアップをこまめにおこなうことが大切です。

訪問診療クリニックの情報セキュリティ対策に関するよくある質問

紙カルテ・電子カルテの保存方法に関するよくある質問は以下のとおりです。
カルテの保存に関するルールや今後の動き、罰則について把握し、適切に管理していきましょう。

  • Q

    閉院する際のデータ保管義務はどうなる?

    A

    以下の3つのパターンに応じて適切に対処する必要があります。
    ■ 管理者が死亡した場合
    公的機関における保管が推奨されています。一方で、損害賠償責任は遺族に移るため、重要な書類は保管しておくとよいでしょう。

    ■ 他院へカルテを継承する場合
    保管義務は継承先の医療機関の管理者に移行します。

    ■ カルテを継承せずに閉院する閉院する場合
    カルテの保管期間である5年間は保管し続ける必要があります。

  • Q

    いつから電子カルテは義務化される?

    A

    政府により、遅くとも2030年には概ねすべての医療機関にて電子カルテの導入を目指すことが発表されています。

  • Q

    電子保存の3原則が守られていない場合の罰則は?

    A

    即座に罰則が課されるわけでないないものの、医師法や個人情報保護法に違反するおそれがあります。

カルテの長期保存ならクラウド型電子カルテがおすすめ

カルテの保管期間は5年です。この期間内では、院内や倉庫などを利用し、データを適切に管理する必要があります。

しかし、紙カルテの場合、保管スペースが必要になるため、クリニックによっては保管場所を確保するのが難しいケースがあります。また、セキュリティ面で紛失や改ざんのリスクがあることがデメリットといえます。
カルテの保管スペースやセキュリティ上の問題がある場合は、電子化をおこない、データを適切に管理しましょう。

カルテの長期保存の面からもクラウド型電子カルテはおすすめです。

クラウド型電子カルテは外部のクラウドサーバーにカルテ情報を保存する方法で、カルテ保存の観点からも以下のメリットがあります。

  • 保管スペース不要・データ消失リスクを最小限に
  • 法改正や制度変更に自動対応
  • 訪問診療など遠隔地からもアクセス可能
  • 自動バックアップと堅牢なセキュリティ体制
  • 医療情報ガイドライン準拠の設計で安心

現在紙カルテやオンプレミス型のカルテをお使いの方は、セキュリティ面からもクラウド型カルテへの切り替えをおすすめします。

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患者さんの個人情報が蓄積されるカルテは情報セキュリティ面も考慮して選ぶことが大切です。
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安心のセキュリティ

国内のデータセンターでデータを管理しています。また、インターネット通信時の伝送データはhttpsという技術を用いて暗号化を行なっています。最新の暗号化技術でデータのやり取りを保護しているので、情報の漏洩を防止しています。
また、運営会社のメディカルインフォマティクス株式会社は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO27001」を取得しております。

万全のバックアップ体制

データセンターのデータについても定期的にバックアップを取っているので、災害時等有事の際にも最新のデータが確保されております。

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この記事を書いた人

ゆし

医療ライター。医療機器メーカー(東証プライム市場上場)の営業職に約10年間従事。クリニック開業サポート・医院継承サポート実績あり。日々、多くの医師やコメディカルと関わり合いながら、医療ライターとして多くの医療記事を執筆している。

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