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訪問診療における看護師の役割とは?【これから開業される医師向け】|在宅医療事務協会代表理事|神原 充代 先生

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訪問診療における看護師の役割とは?これから開業される医師の方向けに解説【神原先生解説】

第1回「在宅レセプトの基本」第2回「レセプト審査とは?」を通じ、適切なクリニック運営のためにはレセプト業務や診療報酬算定への理解とともに、日頃から丁寧なカルテ記載を行うことが重要である、ということが分かりました。
ですが、日々さまざまな患者さんの訪問診療を行う中で、その場で診療報酬のことを考えながら記録を付けていくというのは、とても大変なことですよね。
この負担が医師にのみかかってしまう状態を解消し、より診療しやすい環境にするにはどうすればよいのでしょうか?今回は、医師1名のみで運営しており、次に看護師の採用を予定しているクリニックを想定して考えてみましょう。
同様の状況で医療事務の採用を予定しているクリニックについては、第4回で解説します。



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訪問診療看護師の役割

訪問診療において看護師が主に担うのは、他事業所と連携する際の医療的な情報共有、患者さんやご家族のサポート役、採血などの医療行為や医師が行う処置の介助です。
もちろんこのような業務を担当してもらえるだけでも、診られる患者さんの幅を広げることができますし、一人で診療する場合よりも効率よく診療を行うことができます。
これに加えて、カルテ記載の確認や診療報酬に関しての補足も同行の看護師さんに担当してもらえたら、さらに良い診療とクリニック運営が実現できるかもしれません。

看護師に担当してもらうべきこと

訪問看護ステーションとの連絡

訪問診療では、クリニックと訪問看護ステーションとの円滑な連携が不可欠です。
各ステーションによって対応できることやできないこと、対応の方法などが異なっています。そのため連携や情報共有が不十分な場合、診療に支障が出てしまう可能性も考えられ、非常に重要な業務となりますが、医師のみでこの情報連携をすべて行うのは大きな業務負担となります。看護師に担当してもらうことにより、診療にかけられる時間が増えるほか、看護師同士のやり取りによるスムーズな連携も期待できます。

診療の準備

実際の診療をより良いものにするためには、事前準備が重要となります。
具体的には当日の診療のスケジュール、カルテ記載の下準備、処方内容の下準備などが挙げられますが、看護師に準備の工程を担当してもらい、最終確認を医師が行う体制とするとよいでしょう。特にカルテ記載については、確認の際には事前にできる記載が完了している状態が理想です。

文書作成補助

特に訪問診療で作成の機会が多くあるのが、訪問看護指示書と主治医意見書です。
最終的な内容の確認は医師が行う必要がありますが、作成の工程を看護師に補助してもらうことにより、一から十まですべて医師が行う場合と比較し業務負担を大幅に軽減することができるでしょう。看護師であれば医療の知識もあり、適切な補助が期待できます。

処方箋関連業務

処方箋の送信や内容の修正、薬局からの疑義照会は、日々頻繁に発生します。
看護師であれば処方箋の内容を理解した上で上記の対応をすることが可能であるため、クリニックと薬局との連携もスムーズに行うことができます。

診療報酬についての理解

冒頭でも述べたように、クリニック運営において診療報酬への理解は不可欠です。
看護師を採用することにより上記のような業務負担軽減につながりますが、スタッフを増やすということはコストが発生するということでもあります。そのため看護師には自分が同行した際のコストについても理解をしてもらうことが重要になります。診療内容によっては必ずしも看護師の同行が必要でない場合もありますので、看護師自身が状況を踏まえた診療スケジュールを提案できるようになるとよいでしょう。

看護師を採用するメリット

医療用語がそのまま理解できる

医療事務は算定のプロですが、看護師は医療のプロです。診療現場で医師とのコミュニケーションが欠かせない際、看護師の存在は非常に有益です。医療用語や専門的な表現がそのまま理解できるためスムーズな意思疎通が可能となり、実際の診療や事前準備、事務作業においても円滑に進めることができるでしょう。

カルテ記載内容が理解できる

看護師は診療に同行することも多く、患者さんの症状や処置内容を直接目にすることができます。また同行していない診療であっても、診療記録から内容を理解することが可能です。現場での実際の状況を把握できるためカルテの不備や修正点を理解しやすくなり、より正確で適切なカルテ記載が可能となります。

診療行為に集中できる

医師一人であっても看護師同行であっても、一人の患者さんの訪問にかけられる時間は変わりません。その限られた時間で、医師のみで丁寧な診療とレセプトを意識した適切なカルテ記載を両立させるのは非常に難しいことです。看護師がいれば、看護師による処置中に医師がカルテ記載を進めることができるなど、時間を効率的に使うことができ、現場でより診療に専念することができるようになります。

まとめ

看護師の採用をお考えの皆さん、実際にどのような業務を担当してもらうべきか、参考になりましたでしょうか。日々のさまざまな業務補助を行ってもらうことの他、診療報酬についても理解してもらうことが大切であることが分かりました。診療そのものだけではなく、それによって発生するコストへの意識も高めてもらい、看護師とともによりよいクリニック運営をめざしましょう。

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この記事を書いた人

神原 充代

1998年からレセプト業務に就きクリニック勤務を経て、2012年医師のレセプトサポートを行う(株)スマイルを設立。在宅医療の診療報酬の難しさから、現在では在宅医療のレセプト代行を行っている。また、在宅レセプトができる人材を育てるため、2019年(一社)在宅医療事務協会を設立し、在宅医療事務認定士®の育成や講演活動を行っている。

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